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2006年1月 6日 (金)

「黄色い目の魚」 佐藤多佳子

「黄色い目の魚」 佐藤多佳子 新潮文庫

この作者さんは、「しゃべれどもしゃべれども」、「神様がくれた指」に続いて3冊目。「神様~」は途中で読むのをやめてしまったのですが、「しゃべれども~」はかなり面白かったので、この本は、果たしてどうだろうかとドキドキしながら読みました。

最初に2つの短編があって、それから本編となる連作短編があるといった感じの構成になっていて、1話目は、木島悟という両親が離婚している10歳の少年が初めて父親に会うというお話で、2話目はクラスに馴染めない中学生の少女村田みのりが、イラストレーターである叔父のアトリエに通うというお話。そしてそれ以降、高校生になった悟とみのりが同じクラスになったという設定で、1章ごとに語り手を悟とみのりで交互に入れ替えながら、2人の高校生活を描いていきます。最初の2話で、主人公2人の小学生、中学生のときのエピソードを描くことで、2人の性格や抱える悩みなどの背景を丁寧に描き、それから本編が始まるので、とても読みやすいし、主人公に感情移入しやすい1冊です。また、主役2人が交互に語り手になることで、同じ場面が2度語られる場面もあるのだけれど、それぞれの視点で違うように描いたりと、そういうところも面白い小説です。ちょっとピュアで切ない青春ストーリー。

主人公2人は表紙のイラストだと、いまどきっぽい子たちなのだけど、どちらかというと、昔ながらの正統派なピュア学生だったりして、不器用な2人が自分コンプレックスと向き合って成長していく物語なので、ちょっと表紙のイメージは自分のものとは違ってみたり。女性の作者さんが書く男子高校生ってのは、実際のそれよりも、ちょっと理想化された像が多いのは確かで、この本でもそれは感じられるのですが、テンポの良い物語や、明確なキャラクターの設定などで、とても読みやすく、そういう点もあまり気にならずにサクサクと読み進んでしまうような本でした。「しゃべれども~」のほうが好きだけれど、この作品も個人的にはかなり面白い部類。「神様~」でめげずに読んでみて良かったです。「しゃべれども~」はドラマ化したら良さそうだなと思える作品でしたが(今となっては「T&D」があったから難しいかもしれないけど)、こちらは映画化したら良さそうな爽やかな作品。オススメです。

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