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2006年2月20日 (月)

映画「宇宙戦争」

「宇宙戦争」 2005年 アメリカ

昨年の話題作。スピルバーグ×トム・クルーズの「マイノリティ・リポート」コンビです。

では簡単なネバタレしない程度のあらすじを。事件は主人公が離婚した元妻と一緒に暮らしている子供達と久々に過ごせる休日に起こります。怪しげな雲が空に現われ、次の瞬間、激しい落雷が連続で起こり、その現場へ行ってみると、地面の中から、謎の巨大マシーンが現われ、レーザービームのようなものを撒き散らしながら周囲にいる人々を次々と襲っていく。そして、子供達を守るため、主人公は必死になって逃げて逃げて逃げまくるという物語。母親である元妻のもとへ子供達を連れて行こうと、これまで父親らしいこと一つできなかった主人公が全力で子供達を守ろうとする姿がメインで描かれて、襲撃してきた宇宙人と積極的にバトルするような内容ではないのがこの手のパニックものとしては新しい感じです。まぁ、敵が圧倒的に強すぎるんですけどね・・・。

この物語、原作は未見なのですが、70年ほど前に全米を恐怖に陥れた伝説ラジオドラマのほうはCD&スクリプトがセットになったものを5年位前に買ったのがあって、何度か聞いたことがありました。このラジオドラマはとてもよくできていて、普通に天気予報やら音楽やらが流れている途中に、臨時ニュースが入って、何度か番組に戻るんだけど、そのうち、番組が中断されて、宇宙人が襲撃している現場からのリポートや、学者のコメントなどを普通のラジオのニュースのようにつないでいくという構成になっているのです。で、いわゆるラジオドラマみたいな展開はなくて、あくまで本物のニュースのように展開するので、知らずにこれを聞いていた人たちが、本当に宇宙人が襲撃してきたのかと思い全米がパニックになったそうで、それも納得のなかなかよくできたラジオドラマです。そのイメージが強いので、今回の映画化は話を聞いたときからスピルバーグがどのように作るのかということがかなり気になっていましたが、蓋を開けてビックリ、パニックものなのに、ただひたすら子供を守るために逃げまくるという内容とは・・・。

突然の襲撃にパニックに陥った人々が暴徒と化して主人公達に襲ってくるという中盤の展開は、なかなか面白かったです。さらにその後の場面で、主人公がつい先ほど暴徒に言われた台詞と寸分も変わらぬものを言う立場になるという描き方も、主人公が「ヒーロー」ではなくて、1人の「人間」として描かれいる感じでなかなか面白かったと思いました。これほどのパニックが起こったら日本もどうなるかは分かりませんが、いつかの台風のとき、アメリカでは、避難所の住民達が配給の食糧を巡って殺人を犯したりしているというニュースがあって、日本とはずいぶん違うなぁと思ったのを思い出しました。日本って、災害が起きたときに、自分だけが助かることを考えないで、地域なりなんなりである程度のコミュニティで一体となって助かろうとする傾向があるように思うのだけれど、先のニュースや、今回の映画を見ると、アメリカは自分の命を守ることが最優先という印象です。さらに言えば、家族の命よりも自分みたいな部分まで感じられるところもあって、ちょっとビックリしました。

で、この映画、やっぱり、ダコタ・ファニングが上手いです。彼女、見せ方を心得ています。どのタイミングで目を見開いて、絶叫すればいいかとか、カメラのアングルとかを意識して、パーフェクトに見せ場を盛り上げるのには感心させられます。しかし、逆に言えば、台詞回しも合わせて、全てが演技演技しすぎているような感じもします。インタビューなんかで出てくる彼女は割りと子供らしい子供なので、もっと素の子供らしさを生かせばいいのになぁなんて思うのだけれど、どうなんでしょうか。

最後に一言。で、何故大坂!?

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