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2006年2月21日 (火)

映画「ぼくの伯父さん」

「ぼくの伯父さん」 フランス 1958年

夜にBSで仏映画「ぼくの伯父さん」がやっていました。見るのは5回目くらいなんですけど、普通に楽しめました。当時のアカデミー外国語作品賞&カンヌの特別賞を受賞しています。

下町に暮らすユロとその甥っ子ジェラールの物語。ジェラールの父は工場の社長をしていて、住んでいる家も、超未来的なデザイン住宅。母は客がきたときにだけ、庭の噴水から水を出して、家の自慢を繰り返している。そんなジェラールは堅苦しい家にいるよりも、無職で自由気ままに下町で暮らす伯父と遊ぶのが大好き。しかし、毎日遊んでいる伯父を心配して、ジェラールの父母は仕事や恋人を紹介しようと試みるのだが・・・。という物語。とにかく見てください。そして、1958年製作だということに度肝を抜かされてください。

作品全体を通してゆる~い感じのトーンが一貫して続くので、後半、ちょっと飽きてくるのは事実なんですけど、前半1時間くらいまでは確実に楽しめます。恐らく2日くらいに分けて、後半だけ単独で見れば、十分に楽しめると思うので30分くらいの短編作品でシリーズ化したらもっともっと伝説的になったかもしれませんね。半世紀ほど前の映画のはずなのに、映像も音楽もとにかくオシャレなのです。当時、これを映画館で見た日本人は恐らく、外国の文化は未来そのものに違いないと強く憧れたのではないでしょうか。しかし、この映画の持つセンスの良さは、21世紀の今でもなお光り輝いていると僕は感じます。とにかくセンスが良いんです。そして、クスリとさせてくれるさりげない笑いがまた良い。カラー作品ですけど、カラー映画が登場して間もない頃の作品のはず。それなのに、今年公開された映画といわれても全く疑う余地が無いような斬新な個性があるので、最初に見たときは本当に衝撃をうけました。

オープニングのスタッフ名の表示の仕方、タイトルの出し方からして、この映画の持つ独特のセンスの良さが感じられて、かばんに魚をさして歩くシーン、近未来的な少年の家、魚の噴水、伯父さんの家、子供たちのいたずらなど、全編にわたって、ほのぼのとした暖かさ、そして、無邪気なイタズラ心にあふれているのですが、それでいて、サラリと風刺をきかせているのがこの映画の憎めないところ。台詞が少ない映画なのだけれど、BGMとして登場するテーマ音楽がまた非常に心地が良い。この音楽とセンスの良い映像を楽しむだけで十分に価値のある作品です。

この映画好きだなぁ。ジャック・タチ作品、これしか見てないんだけど(その割りにこれだけは何度も見てる)、他の作品もかなり気になります。

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コメント

あたしもtati大好き
一番好きかも
次点は小津

投稿: halcan | 2006年3月 8日 (水) 23時19分

お、珍しい書き込み。
結局風邪をこじらせて1ヶ月くらい寝込んでしまいました。
せっかくの春休みが台無し。
でも春休みだから被害も少なかったのかな。

「ぼくの伯父さん」を初めて見たときはかなり衝撃だったよ。
他の作品も見てみたいな。

ジャックタチコレクションていうDVD-BOXが出てて、
箱とかもかなり凝ったデザインで気になってるんだけど
値段も結構高くてなかなか手が出ません。

投稿: ANDRE | 2006年3月12日 (日) 00時48分

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