「夢みるピーター七つの冒険」 イアン・マキューアン
「夢みるピーター七つの冒険」 イアン・マキューアン 中公文庫
マキューアン作品はこれで3作目。「アムステルダム」と「愛の続き」は非常に緻密に構成された大人向けの心理サスペンスのような物語でしたが、こちらはすべての子供たちを対象にした児童文学。彼が書く児童文学とはどんなものなのか全く想像つかなかったのですが、いやはや読んでみるとこれがまた面白いのです。マキューアン作品は安定していてハズレがないですね。
主人公はいつも空想にふけっているピーター少年。彼が空想する様々なできごとを連作短編の形式で描いた作品です。妹の持っている人形たちが突如として襲ってきたり(この空想のトリップ状態はかなりヤバイですねー。妹とか普通に怖いんじゃないの!?と思ってしまいました)、猫の体に魂が入ってしまったり、赤ん坊になってしまったり、存在を消してしまうクリームで遊んでみたりと様々な物語が描かれます。一話完結の様々な空想物語なんですけど、話数が進むにつれて、ピーター少年が確実に成長していっているのが、なんともほほえましい作品集です。
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コメント
こんばんは。
先日は、読書メーターではありがとうございました。
わたしも、この人が児童書?と大いに興味が沸いてやっと読んだのですけど、
イアン・マキューアンという人は、なんて繊細な想像力をお持ちなのでしょうね。
「冒険」という割りには、とっても素っ気無くて日常的なタイトルが並んでいると思ったら、
別に、彼はどこかの国の王になったり、宇宙旅行をしたりするわけじゃなく、
家庭や学校など、とても日常的な場所で、想像力の世界でこのような冒険をしてたなんて、
それこそ、わたしの想像力はそこまで至らなかったです。
児童書だとは思うけれど、どちらかと言えば、大人にオススメしたい1冊でした。
投稿: 悠雅 | 2010年6月28日 (月) 22時25分
>悠雅さん
お返事遅くなってしまい申し訳ありません。
コメントどうもありがとうございます。
イアン・マキューアンは作品の幅があって
どれも面白いのでかなり好きな作家です。
この作品も、児童書ではありながらも、
日常の中で冒険をするピーター少年が
とても微笑まくて、大人が読んでも
しっかりと楽しめる作品なのが嬉しいですよね。
投稿: ANDRE | 2010年7月 3日 (土) 01時13分