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2006年3月27日 (月)

「虹の家のアリス」 加納朋子

「虹の家のアリス」 加納朋子 文春文庫

「螺旋階段のアリス」の続編、アリスシリーズ第2弾です。加納さんの書くミステリーはきわめて「日常」を大切にしていて、おどろどろしい事件ではなくて、生活密着型の小さな謎を解決するだけなのに、紛れもなく「本格ミステリ」であるところが大変良い。ホームズでも「赤毛連盟」とかが好きだった僕としては、加納さんのこのスタイルはとても好きです。

脱サラ探偵の仁木とその助手の少女安梨沙の2人が様々な日常の謎に迫ります。育児サークルでの不可解なできごと、病院から赤ちゃんが消えた事件、婚約者にせまる嫌がらせ、バラ泥棒などの様々な事件が描かれて、前作同様、全ての物語で「アリス」の何かしらかがモチーフとして登場します。アリスファンとしてはこの辺はニヤニヤしっぱなしです。そして、近作は「家族」をテーマにしているということで、全体に家族愛を感じるようなエピソードばかり。さらに2人の主人公それぞれの家族の問題も色々と明らかになって、物語世界がぐんと深くなったような印象です。しかし、前作では、謎の少女だった安梨沙が今作ではそのミステリアスさが解消されてしまっていたので、ちょっとつまらなかったなぁとも思いました。

どれもこれもさすがは加納作品という感じでとても上手にできているのですが、ちょっと残念だったのは、加納さんが得意とする、連作短編と思わせて実は長編だったというサプライズが今回は感じられなかったこと。単体で見たら面白い作品ではあるけれど、加納作品にはもっと多くを望みたくなります。

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