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2006年4月

2006年4月29日 (土)

映画「理想の女」

「理想の女」 2004年 英、西、伊、米、ルクセンブルク

オスカー・ワイルドの戯曲「ウィンダミア夫人の扇」を映画化した作品です。「理想の~」というタイトルは、前に映画化されている同じくワイルドが原作の「理想の結婚」を意識した部分も多いのでしょう。そして、「理想の結婚」と同様に、強くオススメできる大人のドラマでした(どちらかというと「理想の結婚」のほうが上な気もしますが・・・。)。ワイルドの作品は、一つ一つの台詞に重みがありますね。

舞台は1930年代、社交界で名の知れた結婚1年目の夫婦メグとロバートは、イタリアでのセレブな休日を楽しんでいた。ある日、彼らが過ごす地に、男を手玉に取って遊んでいるともっぱらの噂になっている中年女性アーリンが現われる。アーリンはロバートに近づき、いつしか、2人の関係が噂されるようになるというお話。ここに、メグに一目ぼれしたイギリス紳士ダーリントン卿や、アーリンと恋仲になるダピィなどが加わり、夏のイタリアの海岸を舞台に社交界の人間模様が描かれていく。

映画館で見たという人から、ラスト近くになると、映画館にいた中年女性が皆泣いていたという話を聞いたのだけれど、見初めて30分ほど経っても、ただの社交界恋愛模様の映画でしかなくて、感動の要素がどこにあるのかが全く分かりませんでした。しかし、途中で、衝撃の展開が用意されていて、最後まで見てなるほど納得、これは中年女性たちが涙する映画ですよ。「理想の結婚」でも思ったけれど、ワイルドの戯曲ってストーリーに卒がないし、それぞれのキャラクターたちの心の機微を描くのがとても上手です。ストーリーの面白さは、原作の良さがそのまま反映されたのでしょう。でも、ちょっと調べてみたところ、原作では、そのタイトルにも入っている「扇」という小道具がもっと生かされた作品のようです。この映画では、原題も「A good woman」となっていて、「扇」そのものはそれほど生かされていませんでした。このままでも十分面白いけど、きっと原作の戯曲はもっと面白いに違いない。

この映画、「真珠の耳飾~」のスカーレット・ヨハンソンがメインと思わせつつ、最大の功労者は、アーリンを演じたヘレン・ハントです。最初は、すっかりオバサンになってしまったヘレン・ハントにちょっと衝撃を覚えたりもしたのだけれど、この映画での彼女は本当に素晴らしいです。細かな感情の表現は言うまでもなく、色気を感じさせた貫禄のある演技には本当に引き込まれました。これまでのイメージは、「恋愛小説家」や、「ハート・オブ・ウーマン」、テレビドラマ「Mad about you」などの大人のラブコメのイメージが強かったのですが、この映画での彼女は、新境地発掘といったところでしょうか。逆に彼女があまりに良すぎて、スカーレット・ヨハンソンが完全にのまれてしまっている印象も受けたのが、ちょっと残念。

タイトルの「理想の女」の意味が分かるラストは、本当に良いです。この場面でのヘレン・ハントとスカーレット・ヨハンソンの熱演が、ジンワリと感動を誘っていたように思います。人間の暖かさ、心遣い、そして、愛情の深さを感じることのできる、傑作ではないでしょうか。こういうハッピーエンドも気持ちが良い。あと、舞台となってるイタリアの景色や、衣装、小物などもかなり良い雰囲気なので、その辺も楽しめる映画でした♪

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2006年4月27日 (木)

映画「夢駆ける馬ドリーマー」

「夢駆ける馬ドリーマー」 2005年 アメリカ

一般公開は5月末ですが、試写会が当たって、1ヶ月くらい早くフライングで見てきました。ダコタ・ファニング主演の競走馬と、とある家族の物語です。

主人公ケールの父ベンは、かつては騎手だったが、今はほそぼそと牧場を経営しつつ、有力馬主のもとでトレーナーとして働いていた。ある日、ベンは娘を自分の仕事場である競馬場へと連れて行き、ケールはそこでソーニャという牝馬に出会い、一目見た瞬間からその馬のことを気に入ってしまう。しかし、その日のレースでソーニャは負傷していまい、ケガをした競走馬は使えないので、馬主から安楽死させるように指示が出るのだが、ベンは、娘の手前、自らの仕事を放棄して、ソーニャを引き取ることに。かくして、ケールの家のボロボロの牧場に1頭の馬がやってくることになるのだが、彼らの前には様々な困難が待ち受けいていた・・・。ケールとベン、そして、かつての意欲をとり戻した夫と、イキイキと馬の世話をする娘を見守る母、ベンとは犬猿の仲だった祖父、ベンの仲間の2人の厩務員たちの夢を乗せたソーニャは果たして、復帰することができるのか!?

実は上映の直前になって猛烈な眠気に襲われ、あまり期待していなかった映画ということもあって、冒頭は睡魔との格闘だったのだけれど、中盤くらいから、映画の面白さに引き込まれて、気づけば、あっという間の2時間弱でした。ストーリーは、「えー!!!」という展開も多々あるし、単に、親ばかにもほどがあるくらいに娘に甘い父親(病的ともいえるくらいです!)の物語ともとれるのですが、「実話に基づいている」といわれてしまっては、その辺はもはや突っ込めません。それを危惧したのか、冒頭のタイトルシーンではっきりと「true story」の文字が出てましたし。でも、「inspired by~」だったので、脚色している部分も多いのだとは思いますが・・・。全体的にはちょっと前にやってた朝ドラ「ファイト」と似た感じのストーリーでしたね。

さて、この映画は、ダコタ嬢がこれでもかというくらいに頑張っているんですけど、彼女は相変わらず「見せ場」を心得ている女優さん。普通に、見てしまっていたんですけど、アップになったときに歯が抜けているのを見て、まだまだ小さい少女なんだということに気づかされてハッとしてしまいました。彼女は確かに上手ではあるんですけど、あどけなく馬と戯れる場面などでは、「演技」っぽさがちょっと気になったの確か。もしかしたら、特に役のない純真無垢な子供を演じるのは苦手なのかなぁと思ってしまいました。他のキャストも、父親を演じるカートラッセルをはじめとして、各キャラクターが丁寧に作りこまれていて、安心してみていられる映画でした。

ただし不満な点も。説明不足な場面が多く、父と祖父との確執が何なのかなど、物語の背景にあるはずの設定が、はっきりと語られないので、なんだかよく分からない感じが残ってしまったのも確か。そして、一番の失敗は、ケールとソーニャの交流を描く作品なのに、ケールがなぜソーニャのことをコレほどまでに気に入っているのか、というのを説得させるシーンがほとんど描かれることなく、中盤のクライマックスを迎えるので、「(ネタバレ台詞なので反転で)家族よ!」と涙ながらに訴える場面の説得力があまり感じられませんでした。

悪いことも書いたのですが、この映画は見終わった後に残る爽快感が本当に素晴らしい作品です。特にラストのシーンは、思わず立ち上がって歓声を上げたくなるような(本気で)素晴らしい臨場感と盛り上げ方でした。スポーツを扱った作品は多くあっても、こういう感じを味わえる映画はそんなに数が多くありません。本当に素晴らしいクライマックスです。このラストの盛り上がりを体感するにはやはり劇場で見るほうが楽しめる作品なのでしょうね。

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2006年4月26日 (水)

映画「大いなる休暇」

「大いなる休暇」 2005年 カナダ

ゆるーい感じのコメディが見たくて借りてきました。

舞台は人口が122人の小さな島。島民たちは主要産業の漁業が衰えてしまい、島を離れて仕事をするのを拒否する住民たちは、その大半が失業手当を受けて暮らしていた。ある日、この島に工場誘致の話が盛り上がり、島民達は大盛り上がり。しかし、それには、島に医師がいなければいけないという条件が。かくして島民達は工場を誘致するために、島に無理矢理呼び込んだ1人の医師を島に定住させてしまおうと、あの手この手で「彼に気に入ってもらえる島」を演出するのだが・・・。というお話。

カナダ映画だから英語かと思ってたら、ケベック州のお話で、全編フランス語でした。そのせいかどうか分からないけれど、メインテーマになっている音楽が、妙にジャック・タチ「ぼくのおじさん」っぽい曲。映画のゆる~い感じとはよくあっていたけれど、あまりにも似ていたのがちょっと残念。

カナダでは「パイレーツ・オブ~」を上回るヒットだったそうですが、自分はそこまで楽しめませんでした。確かに面白い場面は面白いですよ。クリケットで「いえ~い」って騒ぎはじめるとことか、ビンゴ大会のとことかは、クスリというよりかは声を出して笑いそうな勢いでした。基本的にボロが出まくりの彼らの演出の数々はとてもよい味を出しています。しかし、本当にそれだけの印象が強い作品です。医師が整形外科医であることと、村人たちのウソとが「見かけと本音」みたいな点で対比されるんだろうけど、ちょっとパンチが弱い。さらには、(ネタバレ注意:反転させてください)最後の最後、医師が島に残る決意をする際に何が決め手になったのかがイマイチ伝わってこない。確かに愛らしい優しい素朴なウソの数々ではあるけれど、やっぱ盗聴などの犯罪的な行為もしてたんだし、自分が医者だったら相当嫌だろうなぁと思うのではないでしょうか・・・。(ネタバレ終わり)

冒頭と最後の映像から考えるに、この映画はファンタジーであって、そうとらえれば、幾分納得のいかない部分も多少は許せてしまいます。全体的にのほほんとした素朴な田舎の人々のが大奮闘という映画なんで、タイトルどおりに休日にゆっくり楽しみたいような作品でした。あと、この映画、字幕が不親切。大勢の人が同時に話し始めると、字幕が出なくなっちゃうんです。その部分、吹替えにしたら、普通に面白かっただけに、これはかなり痛い。フランス語が分からない人は(自分もそうですが)、吹替えで見たほうがより楽しめるかも。ちなみに似たような映画だと、「ウェールズの山」のほうが断然レベルが高い気がします。この映画にそこまでのれなかったのは、常に「ウェールズの山」を意識してしまったからかもしれません。

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2006年4月23日 (日)

映画「旅するジーンズと16歳の夏 トラベリング・パンツ」

「旅するジーンズと16歳の夏 トラベリング・パンツ」 2005年 アメリカ

あまり前情報もなく、恵比寿ガーデンシネマでやってた映画だよなぁという記憶だけを頼りに、面白いに違いないと思い、借りてみました。あそこの映画館で上映する作品は良作が多いのです。

主人公たちは高校1年生の女の子4人組。ほぼ同時期に生まれた4人は、幼少の頃からずっと一緒に過ごしてきた親友。そんな彼女たちが、高校1年生の夏に初めて、夏休みをバラバラに過ごすことに。そんな夏休みを前に一緒に買い物に出かけた彼女達は、そこで、体型がバラバラの4人全員にフィットしてしまう不思議なジーンズを見つけます。彼女達は、バラバラに過ごす夏の間、このジーンズを順番にそれぞれの滞在先に送り、はきまわすことに。祖父母のいるギリシアへの一人旅、メキシコでのサッカーの合宿、離婚した父を訪ねる南部への旅行、行くところがなく地元でバイトをしながらドキュメンタリーを撮影と4人それぞれが過ごす夏を、4人の友情の絆であるジーンズが繋いでいくという作品。

非常によくできた作品でした(←最近こういうのばっかりですが、本当に面白かった)。4人のキャラクターがそれぞれ上手く描かれていて、それぞれのエピソードにちゃんと見所を作っていました。

祖父母のいるギリシアに行った少女は言葉も通じない異邦の地で孤独を味わうのだけれど、その島の景色が絶景と呼ぶにふさわしい美しさで、島の観光プロモでも見ているような感じ。彼女のエピソードは祖父との交流が味わいぶかい。特典にあった削除された祖父とのシーンはあったほうがこのエピソードの質が上がった気がします。

サッカー合宿に行った少女は、美しい容姿を持っているのだけれど、幼い頃の母の死という呪縛から逃れられずにいる子。このエピソードは爽やかなサッカーシーンが印象的なのだけれど、主人公の美しさばかり目立っていたような気がします。

どこにも行かず、地元でドキュメンタリーを撮影した少女のエピソードは涙なしでは見られない感動のストーリーでした。これだけでも一つの映画が作れそうな内容ですね。全体を通して、一番良い夏を経験したのは、ずっと地元にいた彼女なのかもしれません。

離婚した父を訪ねる少女は、そこで、父の秘密を知ることになります。このエピソードは容姿にコンプレックスを持つ主人公ということで、決して綺麗とはいえない女優さんなのだけれど、とても魅力的な演技を見せる人で、彼女がグイグイとエピソードを引っ張りかなり見所がありました。

4人のエピソードが平行して描かれていくんですけど、その繋ぎ方も、緩急のつけ方が上手でとてもテンポが良いので、時間があっという間に経過してしまう印象です。4人が初めてバラバラに過ごし、それぞれが大人に向かって一歩成長するわけですが、まだまだ1人立ちすることはできなくて、「仲間」と悩みを共有しながら、成長していく姿がとてもリアルで、心に染み入りました。「スタンド・バイ・ミー」は、4人がこの後バラバラになってしまうのだろうなぁということを強く感じさせつつ、それでも、忘れがたい夏の日を共有したという思い出が残るところが、「少年の思い出」っぽいんですけど、この映画で描かれる少女の友情は、恐らく彼女達は一生4人で仲良く過ごしていくんだろうなというのが感じられる友情で、そういうところに女性っぽさを感じてみたり。

原作が全米をはじめとして全世界でベストセラーになっているようなので、原作勝ちという部分も多いとは思うのだけれど、映画化の仕方も非常に上手だったのではないでしょうか。原作はこの後も、彼女達のその後の夏を描く続編があるようなので、映画のほうも是非シリーズ化してもらいたいですね。特に3人が高校を卒業した夏を描くという第3作目が見てみたいですねー。

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2006年4月22日 (土)

映画「サマータイムマシン・ブルース」

「サマータイムマシン・ブルース」 2005年 日本

映画館でやっているときに、エアコンのリモコンを持参の人は割引という企画をやっていて、とてもとても気になっていた映画をついに見ました。

とある大学のSF研究会の部室が舞台。猛暑の夏休み、ちょっとしたアクシデントでエアコンのリモコンが故障してしまい使えなくなってしまい、部員たちは半狂乱の状態に。そんな彼らの前に突如としてタイムマシンが出現。どうやらホンモノらしいこのタイムマシンを前にして彼らがとった行動は、昨日に戻って故障する前のリモコンをとってくるということだった。彼らがタイムマシンを無駄遣いしまくる夏の1日を描く青春コメディSF(こんなジャンル他にあるのか分からないけど)の傑作。

面白い、面白い、面白い!本当に面白い!もっともっとメジャーになっても良いんじゃないかと思うけれど、そういうややB級な雰囲気がまたこの映画にはふさわしい。

なんだかよく分からない映像が続き、とっつきにくい感じがする冒頭の15分はかなりフラストレーションがたまるのだけれど、タイムマシンが登場してから物語は俄然面白くなります。そして、冒頭の15分がすべてすっきりと明らかになっていく爽快感は、時間旅行を扱った映画としても屈指の面白さ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が3作品かけて描いたことを2時間でやってのけてるような作品ですね。「BTTF」といえば、この映画、ポスターは出てくるは、それっぽい時計台がでてくるはで、製作サイドもかなり意識しているのがまた嬉しいですねー。

しかし、この映画の面白さは、そういうSF的な部分にあるのではないのです。大学のサークルの仲間達の本当に下らない台詞&行動の数々が非常に良い。もともと演劇だった作品ですが、脚本が非常に素晴らしいんですねー。見ている間中、自分も彼らと一緒になって、SF研究会のバカバカしい夏の1日を過ごしているような気分になれる、そんな映画。大学生の夏休みって時間ばっかりあって、本当にバカでどうしようもないことに情熱をかけちゃう感じがこれほどまでに出てる映画も珍しいですよね。SFである以前に最高級の青春映画なのだと思います。なので、SFとしては先が読めてしまう展開ではあるのに、全く飽きさせません。さらには自分の世代にバンバンヒットしてくる小ネタの数々に終始笑いっぱなしでした。個人的には「白とか黒とかどうでもいい」ってのと、「といいつつ・・・」のしつこさと「ツーペア」がかなりツボ。

最後まで見てから、もう1度最初から見ると、シックスセンス以上の感動がある映画です。この感じは伊坂幸太郎の小説なんかと共通するところがありますねー。会話が本当に面白いから、何度見ても笑える映画だと思う。2500円ていうDVDの価格は大正解なのでは?ちょっとDVD買おうかななんて気にさせてくれる映画でした。

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2006年4月20日 (木)

「トリツカレ男」 いしいしんじ

「トリツカレ男」 いしいしんじ 新潮文庫

いしい作品はこれで3作目。前に読んだ「ぶらんこ乗り」と「麦ふみクーツェ」の2冊では、ひとつひとつのエピソードはとても好きなのだけれど、1つの物語として全体を見たときに、なにかが物足りないという印象でした。エピソード負けしてるとでも言うのでしょうか。しかし、それぞれのエピソードの面白さと、その暖かな語り口が心地よくて、文庫化するたびに、次回作が気になる次第。

ジュゼッペは何かに夢中になると深く没頭してしまい、とりつかれたようになってしまうので、村の人々からは「トリツカレ男」と呼ばれていた。しかも彼は、とりつかれたことを完全にマスターしてしまい、オペラにとりつかれれば見事な歌唱力を身につけ、三段跳びにとりつかれれば世界記録、探偵にとりつかれれば、一流の探偵術を身につけてしまうのであった。ある日、そんなジュゼッペがとりつかれてしまったのは、1人の風船売り少女ペチカ。ジュゼッペは彼女の笑顔を見ようと、必死になってそれまで見つつけた様々な特技を駆使して彼女を喜ばせようとするのだが・・・。というお話。

本当に素晴らしい物語でした。これまで読んだいしい作品の中では間違いなく1番よかったし、普通に物語としても、屈指の素晴らしさです。純粋な主人公がはじめて恋をして、ただひたすらに彼女を喜ばせようと奮闘する物語ですが、物語の暖かさと語り口の暖かさが相乗効果をなして、なんともいえない余韻を残す作品です。あと、翻訳された海外の童話のような独特の雰囲気がまた、物語の空気と非常によく合っていて、なんとなくノスタルジックな雰囲気を味わえるのもよかったです。あと、どことなく宮沢賢治のような味わいもあって、そこもお気に入り。

登場人物たちのキャラクターの素晴らしさ、胸にしみこむ数々の台詞、切ない展開を盛り込みつつ迎える限りなく幸せなラスト、短い中に沢山のものがぎゅっと凝縮された物語は、どこかで愛を叫ぶのよりもずっとずっと泣ける愛の物語かもしれません。

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「カンバセイションピース」 保坂和志

「カンバセイションピース」 保坂和志 新潮文庫

保坂作品は芥川賞作品の「この人の閾」に続いて2作目。他の作品もずーっと興味があったのですが、「カンバセイションピース」の評判が良いので、とりあえずそれを読もうと思って文庫化を待ち続けていた次第。

幼少時代に自分の一家と従兄弟一家とが一緒に暮らしていた一軒家。叔母がなくなり、住む人のいなくなったこの家に、中年になった主人公とその妻が引っ越してくるところから始まります。2人で住むには大きすぎるこの家に、やがて、友人がやっている従業員3人の会社と主人公の妻の姪が引っ越してくる。小説家の主人公とその家に暮らす人々、そして3匹の猫たちの淡々と過ぎていく日々を、時に主人公が子供時代にこの家で過ごした記憶などを織り交ぜながら、タイトルの通り、いくつもの会話の破片を繋げて描いていく作品。

「ストーリーのない小説」の真骨頂とも呼べる作品です。しかし、それにもかかわらず、最後に向かって、ある種独特の不思議な盛り上がりを見せて、ちょっとした感動さえ味わってしまうという不思議な作品でした。作品を通してずっと語られるのは、「存在とは何か」ということ。いくつもの思い出話、小さなエピソードと会話をつなげていく中で、読者の我々も一緒になって登場人物の会話に参加し、色々なことに思いをめぐらせる。そして、気づくと一緒になって哲学している自分がそこにいたりする。そんな作品です。読後に何かが深く残るというよりも、読書をしているその瞬間にこれほどまで強く働きかけてくる作品も珍しいのではないでしょうか。自分は今読書をしているんだ!ということをこれほどまでに実感させるような1冊でした。傑作!「この人の閾」もかなり感動したんですけど、これは、またさらに違う次元で感動しました。他の本も読まなくては!

この本、解説をしている方の職業が「書店員」とあって、解説を任せてもらえるなんて、こういう店員さんのいる本屋さんは良い店なんだろうなぁなんて思っていました。しかし、この解説、どこかで見覚えがありました。この書店員さんのいる書店、僕が一番好きな、あの書店じゃないですか!!!そんなに規模が大きいわけではないのに、自分が良いと思った作品に必ずと言っていいほどポップがついている書店。文庫コーナーのラインナップが「売れてる本」ではなく、「面白い本」に絞っていて、他店では見つけるのも困難な在庫僅少本も置いている書店です。明日でもまた立ち寄ろうっと。

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2006年4月16日 (日)

映画「チャーリーとチョコレート工場」

「チャーリーとチョコレート工場」 2005年 アメリカ・イギリス

本当にようやく見たという感じです。原作、多分小さいとき1回くらい読んでるんだとは思うんだけど、ほとんど記憶になしです。とあえずティム・バートン×ロアルド・ダールの「ジャイアント・ピーチ」はかなり好きなので、こちらにもかなり期待してました。

主人公チャーリーは4人の祖父母と両親と共に貧しいながらも暖かい家庭で暮らす少年。彼の住む町にあるウォンカ氏が営む世界一のチョコレート工場はチャーリーにとっての憧れの夢の工場であった。あるとき、ウォンカ氏はチョコレートの中に封入した5枚のチケットを手に入れた子供達を工場に招待すると発表。誰も人が出入りをするのを見たことがない、謎のチョコレート工場に入れるということで世界中は大興奮。果たして、チャーリーはチョコレート工場へのチケットを手にすることはできるのか。そして、チョコレート工場に秘められた謎とは?という物語。

非常にテンポの良い作品で、2時間弱はあっという間でした。とりわけ、序盤のチョコレート工場へのチケットを手に入れるまでが、個性豊かな5人の子供達の紹介、チョコレート工場ができるまでの歴史、チャーリーの工場への思いなどをサクサクとテンポよく見せていて、映画の世界にあっという間に引き込まれてしまいました。この辺りとても上手だなぁと思いました。まぁ、チケットの入手方法に関しては賛否両論あるかと思いますが・・・。あと、個人的に好きだったのはチャーリーの住む家の傾き加減。実写でああいう造詣の家を登場させてくれるのは本当に嬉しいですね。さすがティム・バートン作品!

工場に入ってからは、まるでどこかのテーマパークのアトラクションのように、次から次へとイベントが登場、次々と事件が起こるわけですが、途中からは、次は誰がどのようにして巻き込まれるのかワクワクしている自分に気づきます。しかもかなり先の展開は読めるのだけれど、それをどのように演出するのかというバートンマジックへの期待感によって、全く飽きさせない。そして、あの映画のパロディをそこに持ってきたか!!というアイデアも非常に面白い。話題のウンパルンパたちの歌&ダンスは個人的にはそこまで楽しめなかったのだけれど、同時期に公開だった「コープス・ブライド」の歌が割と地味だったのは、歌に関してはこちらの作品に力を入れたからなのかもしれませんね。さらに話題のリスさんは期待以上の素晴らしさで、大満足でした☆

この映画、バートンが歳をとったのか、最後の最後でブラックな空気がかなり薄まってしまいます。ハートウォームな展開にすること自体は、全く問題はないのだけれど、「ナイトメア~」なんかの頃のバートンは、ブラックな世界観を最後まで保持しつつも、なぜか心に染み入る演出を追及していたように思うのだけれど、「ビッグフィッシュ」にしても、この映画にしても、優等生的な感動的なラストになってしまっているのがちょっと残念だったりします。

確かに非常に面白い娯楽大作ですけど、個人的には「ナイトメア~」越えはありませんでしたねー。バートン作品は「ナイトメア~」、「バットマン」、「ビッグフィッシュ」が上位3作品かなー。

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2006年4月12日 (水)

映画「プロデューサーズ」

「プロデューサーズ」 2005年 アメリカ 

去年来日した舞台を見に行って、それからサントラを何度も聞き返した ブロードウェイミュージカルがついに映画化。しかもほとんどがCDにもなっているオリジナルのブロードウェイキャストのままというではないですか!かなり楽しみにしていたので、頑張って有楽町まで見に行ってきました。やっぱり大きな映画館で見たいじゃないですか!

舞台版の感想はコチラ

ストーリーは、舞台版のまま。新作ミュージカルが失敗して落ち込んでいるプロデューサー、マックスのところにやってきた会計士のレオは、スポンサーから多額の投資を受け付けて、興行的に失敗すれば、粉飾決済をすることで、かなりの額を手にすることができるということに気づく。その話を聞いたマックスはレオとともに、最低の脚本、演出家、キャストを集めて絶対に成功しないミュージカルを製作しようと企てるという物語。で、彼らが集めた脚本、演出、役者たちは皆これでもかというくらいに最悪の超個性的な人ばかり。果たして彼らの作戦は成功するのか・・・。

自分は舞台を見ているので、どうしても各場面で舞台の様子が頭をちらついてしまいます。しかし、この映画、これでもかというくらいに舞台の演出を踏襲していまして、なにやらそのまま舞台を見ているような感じの演出。映画として見た場合も、50年代、60年代のMGM系列のミュージカル映画を髣髴とさせるような撮りかたをしていて、古きよきミュージカル映画の形をとりながらも、それらを強烈にパロディにしているというなかなか面白い作品でした。しかし、自分が楽しめたのは、この映画を見ることで舞台を見たときの興奮が蘇るからというのが大きかったのも事実。単にミュージカル映画として見た場合、「マイ・フェア・レディ」のように永遠の輝きがあるわけでもないし、「シカゴ」のような21世紀型の洗練されたかっこよさがあるわけでもないので、「舞台→映画」の移植をするのならば、もっと「映画」であることを強く意識してもよかったかもしれません。あまりに「舞台」すぎるように思いました。そして、舞台的であるがゆえに、歌が終わるたびに拍手をしたくなってしまうのだけれど、それができないからフラストレーションがたまります。

キャスティング。ユマ・サーマン、恐らくはミュージカルに馴染みの無い人々を引き寄せるための客寄せパンダ的役割を担ったキャスティングだとは思いますが、これがまた、意外にも超ナイスバディです。こりゃ、ゲイリー・オールドマンもイーサン・ホークもぞっこんになって当然だね。あと、主演2人は、舞台版でトニー賞を受賞したオリジナルキャストなんですけど、彼ら、マックスのほうがティモンで、レオのほうがシンバ、そう、ライオンキングで共演してるんです!!気弱なマシュー・ブロデリックとノリノリのネイサン・レインのコンビがこちらでも楽しめますよ♪さらに、強烈なゲイを演じたロジャー・バート、あれれ、「デスパレートな妻たち」の薬剤師じゃないですか!!!知らなかったー!彼はあとですね、やはりディズニーの「ヘラクレス」で、かっこよく「Go the distance」(←彼が歌うバージョンが一番良い)を歌ってるし、ミュージカル「You're a Good Man, Charlie Brown」ではスヌーピー役でトニー賞受賞してるんです!愛聴しているサントラには彼の出演作が多いのです。それだけにデス妻に出演してたと知ったときにはビックリですよ。

以下、内容にもかなり触れる舞台と映画を比較した感想です。反転してお楽しみください。

では順を追って。まずオープニング。これは映画だとオケが豪華になるので、舞台版のこじんまりとした雰囲気がなくなって、華やかになっていましたね。で、オープニングの曲のあと、映画ではすぐにマックスの事務所のシーンへ。おやおやおやおや?という感じでした。1曲カットされてるよ!マックスが自分はかつてブロードウェイの王だったと懐かしむ曲があって、なかなか好きなナンバーだっただけにちょっと残念。しかも、舞台版ではその後もチョコチョコと登場したこの曲のテーマはすべて削除されていて、最初から存在しなかったことになってましたね。舞台ではマックスの登場が先だったのが、映画ではレオが事務所に入るところから始まるので、観客の視点がレオを主人公にしたものになるという効果を生んでいるようにも感じました。これはこれでありですね。

で、舞台どおりに、ガバッと起き上がるマックスで観客の驚きを得て、そのまま「We can do it」。で、このシーンでオフィスの外へ出て、舞台はセントラルパークへ。この辺は映画ならでは。タクシーの場面の合成感が個人的にはかなり好き。で、レオは会計事務所へと戻っていってしまいますが、ここでの「Unhappy~」っていう曲、舞台では4人くらいしかいなかった会計士たちが映画では沢山いて、舞台以上に舞台的な演出がなされていました。そしてそれに続く、「I wanna be a producer」。こんなに長いダンスシーンのある映画は近年ほとんどお目にかかりませんね。映画では結構お金かけて豪華に作ってましたけど、このシーン、自分は舞台版のほうが好きです。会計事務所→妄想の世界へ→姉さん達登場→舞台がブロードウェイに早変わり→何事も無かったかのように再び会計事務所に戻るという一連の演出、場面転換の仕方がとても上手で大好きな場面でした。あと映画ではオチになっている不恰好なお姉さんが最初にしか出ないのがつまらない!彼女が出続けることで、長いダンスシーンも飽きないという演出だったんだけどなぁ。

そして再びレオはマックスの元へ。で、このとき、舞台では場面転換がなされるやマックスが前に登場したときのままの姿勢で固まっているところで笑いを誘ったんですけど、そういうのがなくて割とあっさりとしてましたね。で、いよいよ個性的なキャラ祭り。ハトさんがCGとかだったらどうしようかと思ったけどチープな感じが保持されてて大満足。ここで残念だったのは、老婆達のシーン。舞台の演出では空中ブランコまで登場してかなりシュールな「老婆の園」だったんだけど、マンションになってるのがちょっとつまらない。そして歩行器ダンスは生のほうが圧倒的に迫力があったね。映画ではその代わりに違った演出で笑いをとってました。で、全てが揃ったわけですが、一番残念だったのがこの後の場面です!舞台ではここで1幕が終了してインタミに入る場面。ここで、「グーテンターク~」、「ゲイ」、「ウーラ」、老婆、「We can do it」の5つのテーマが同時にコーラスされて、最高の盛り上がりを見せる部分があったのに、まるごとごっそりカット。舞台版サントラで一番好きな部分だっただけに、これはかなり残念・・・。

さて第2幕。「that face」です。真っ白にセートンされた部屋で歌われる曲ですが、映画だとかなり退屈な場面でした。ここ、舞台だと、舞台中に大写しになった、間抜けなレオの顔が映し出されて、かなり笑える場面だったんですよね。なんで辞めちゃったんだろう・・・。そして、ストーリーが続いて、舞台が始まる場面です。「オープニングナーイト♪」っていう冒頭の曲が再び流れるシーンもカットでしたねー。で、舞台が始まるわけですが、舞台版だと、我々観客がそのまま劇中劇の観客になるわけですが、映画では、観客の反応を映していました。うーん、これはいらないのでは・・・。と思ってしまいました。映画でも「我々が観客」っていう気分を味わいたかったかも。そして、舞台が終了した後、ここでも1曲カットされてました。この辺はテンポよく展開するので、このカットもほとんど気にならず。拘置所でのマックスの1人芝居。これは舞台でも一番の見せ所。ここでは、「インターミッション!」って叫んで休憩する場面がカット。映画にはインタミが入らないですからねー。代わりの演出を何か入れてもらいたかったかなー。リオの部分は曲が追加されてましたね。これは嬉しい♪あと、一番ラストのパクリ(?)ミュージカル、舞台だと「43rd street」とかもあったような気がします。

全体的に、舞台版のほうがジョークがきつかったと思います。全体的に少しやんわりさせられていたような。まぁ、映画のほうが規制が厳しそうですから仕方ないのかもしれませんが。舞台のほうが民族ネタとかももっと笑いをとろうとしてたように思うし。アイルランドネタは字幕さんが相当頑張ってたましたねー。でも、上手く伝わってなかったような気が・・・。カフカのネタとかも、笑える人にはかなり面白いけど、「?」な人も相当いた様子。自分も全ての笑いを理解してないと感じたし、前提となっているパロディの元ネタを知ってれば知ってるほど面白いんだろうね。うーむ、まだまだ勉強不足。この辺、DVDが出たときにオーディオコメタリーでもつけて解説してもらいたいとこですね。

長くなりましたが、一番最後に。エンドロールが相当良いですね。あの歌が綺麗なバラードになっているだけで、曲が流れている間中笑いが止まりませんでした。しかも極めつけにあの台詞!最後の最後まで笑わせてくれましたよー!!

<追記>

68年のオリジナル版もみました。レビューはコチラ

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2006年4月 5日 (水)

映画「やさしくキスをして」

「やさしくキスをして」 2005年 イギリス

イギリスの巨匠ケン・ローチがはじめて挑んだラブストーリー。彼の作品を見るのは「ケス」、「カルラの歌」、「SWEET SIXTEEN」についで4作目。どれもこれでもかというくらいに素晴らしいので、地味に全作品制覇していきたいと思います。

パキスタン移民の息子カシムは妹が通うカトリック系の学校の音楽教師ロシーンと恋に落ちる。しかし、カシムには未だ会ったことのないパキスタン人の婚約者がいて、両親は、イスラム教徒以外との結婚を許そうとしない。一方で、ロシーンも、異教徒と付き合うことで、カトリック系の学校での教師を続けることに困難を強いられるように。宗教、民族、文化を超えて惹かれあう2人をスコットランドはグラスゴーを舞台に描く傑作。

イギリスのパキスタン系移民の映画といえば新しいところだと傑作「ぼくの国、パパの国」が記憶に新しく、ちょっと古いところでも「マイ・ビューティフル・ランドレット」などの作品が有名。また同じアジア系移民の家族の似たような葛藤を描く作品として、インド系の家族を描く「ベッカムに恋して」なんかも思い返されます。これらの作品を見ていると、この作品の背景となるイギリスのアジア系移民の問題が多少は見えてくるので、作品の理解も深まるのではないかと思いますが、恐らく、そうでなくとも、単体で見て、かなり面白い映画になっていると思います。さすがはケン・ローチ!

ケン・ローチの作品といえば、社会的な弱者を描いて、彼らが、幸せを求めるあまりに、さらなる深みにはまっていってしまうやるせなさを描くことにかけては一流であると思っているのですが、この作品では、主人公達が宗教を超えて愛を求めた結果として、自らの不幸だけではなく、周囲にいる人全てに崩壊をもたらしてしまうという状況が描かれていて、変にハッピーエンドな終わり方でもなく、とてもリアルに描かれた展開が非常に面白い作品でした。これがアメリカ映画になると「ビッグ・ファット・ウェディング」のようなハッピー映画になってしまうのだけれど、ここは社会派監督の腕の見せ所ですね。それでいて、全体のトーンが暗くないのがこれまでのローチ作品と比べてとても印象的でした。やはり愛の物語はやさしい光であふれた映像が似合います。

「家」という概念は、日本でも多少は強く残っているけれど、この映画や、上記の作品などで描かれる移民のコミュニティではかなり根強い問題になっているようです。異国の地にやってきて、みなで協力してやってきた第1世代の親たちにとってみれば、パキスタン人のコミュニティ全体が苦楽をともにしてきた一つの大きな家族のようなものであるのも納得いきます。恐らく彼らは白人たちからの激しい差別とも闘ってきたはずでで、その中で自分たちのアイデンティティを保とうとし、敵であった白人達との結婚を許さないというのは理解できることです。しかし、一方でイギリスで生まれ育った第2世代の若者達にとってみれば、自分達はイギリス人であるという意識が強く、親世代との認識のズレが出てきてしまうのは当然のこと。これはイギリスだけではなくて、例えば、アメリカにおいても「ジョイ・ラック・クラブ」などで描かれているように、移民の多い国ではどこでも見られる現象だと思います。子供たちも決して親とその祖国を憎んでいるわけではなく、自分達のアイデンティティを理解して欲しいという思いは親のそれと同じものですよね。周囲の崩壊を招いてまで自分達の愛をつらぬくのか、はたまた、自分のコミュニティを守るのか、とても難しい問題です。やや帰国子女なところがある自分なので、こういうアイデンティティがかかわる問題は割りと見過ごせません。

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2006年4月 4日 (火)

06年3月に聞いたCDから

①Isobel Campbell and Mark Lanegan 「Ballad of the broken seas」

元ベルセバのイザベル・キャンベルとクイーンズオブストーンエイジのマーク・ラネガンのコラボ作品。マークの男くさい低音のボーカルとイザベルのいかにも女性的な高音のボーカル微妙な融合具合が心地よくて、ソロやインストもあるんだけど、2人のデュエットになっている曲がかなり良い感じです。ほぼ同タイミングでベルセバ新作もリリースされましたが、方向性はかなり違いますねー。

②Caroline 「Murmurs」

ビョークがピコピコしたような癒し系な感じの音楽です。ちょっと個性的な女性ボーカルなので、そういうのが好きな人はかなりツボではないでしょうか?まっすぐに染み込んでくるような声がたまらなく良いです。フワフワ・キラキラ☆という感じしょうか。4曲目のWhere's My Loveが特に良い。

③Architecture in Helsinki 「In case we die」

ヘルシンキと言いつつ、オーストラリアのバンドです。8人組で管楽器やらストリングス、男女ボーカルなど色々な音が混ざり合って混沌とした音楽を作ってます。一緒にライブをしたアーティストがベルセバ、デスキャブ、ブライトアイズてところからも分かるように、そういう傾向の音も。でも割とポップな曲もちらほら。1曲目いきなりソプラノボイス&オケっぽい出だしで、ピアノなど様々な音が登場する冒頭でかなり驚きました。楽器を沢山使ってるので、それだけでも楽しいですね。ボーカルよりもインスト部分のほうが良いです。

オーストラリアといえば、今さらっぽい感じでサヴェージガーデンのベストが出ましたねー。アルバム2枚しか出さなかったのにベストを出すところがまたスゴイ。

④Holiday with Maggie 「welcome to hope」

スウェーデンのパワーポップ系のギターバンドですね。これでもかってくらいにポップなのが個人的にはかなりツボ。上記3つのCDとは相反する感じですが、直球ストレートでポップな曲は結構好きなのです。もっと流行ってもよさそうなものにもったいない。

バイトの関係で他にも色々ききました。J-POP中心でしたが。

3月に国内盤が出たDaniel Powterもオススメです♪シンガー・ソングライターが好きな人なら要チェックです。

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2006年4月 3日 (月)

「家庭の医学」 レベッカ・ブラウン

「家庭の医学」 レベッカ・ブラウン 朝日文庫

翻訳の柴田元幸が現代のアメリカ作家9人にイタンビューする「ナイン・インタビューズ」の中でも取り上げられていた作家さんの作品。この作家さんは「からだの贈り物」と、ペーパーナック読みかけの「The end of youth」に続いて3冊目。

母親が癌にかかり、衰弱していって亡くなるまでを、最期まで看病と介護を続けた主人公の視点で描く作品。「貧血」、「嘔吐」、「幻覚」、「モルヒネ」といった用語でつけられた各章のタイトルの下には、「家庭の医学」という名の通りに、それぞれの用語の専門的な解説が添えられています。で、それぞれの章の内容も、可能な限り感情を出さずに極めて淡々と描かれていくのがとても印象的です。しかし、この作品は、語らないからこそ、むしろ、語らないことによって、そのできごとが直球で胸につきささり、結果として、深い感情を引き起こすことに成功しているように感じました。「からだの贈り物」もこれと全く同じような作品だったので、この作者の特徴なのでしょう。癌の母を看取るというと、感動の押し売りのような印象を与えますけど、そうではなくて、とてもリアルに淡々と展開していく作品なのです。

最後は母が亡くなって終わりとなるのだけれど、それに反して、読後感は意外にもそこまで暗くはありません。最後に向かって、死に直面する母親が、ようやく楽になり、天国で待つ人々のもとへと旅立っていけたというように感じさせる展開の仕方が本当に上手なのだと実感します。作者の実体験に基づくという、ノンフィクション的要素の強い作品ですが、このような形をとるにせよ、どのような形であっても、残されたものが去っていったものを忘れないことが大切なのだと思います。自分の親はまだまだ健在ですが、20年後、30年後、そしてまた、自分が老いていく50年後、60年後に読み返してみると、また違った読後感を味わえるのかもしれません。

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