映画「夢駆ける馬ドリーマー」
「夢駆ける馬ドリーマー」 2005年 アメリカ
一般公開は5月末ですが、試写会が当たって、1ヶ月くらい早くフライングで見てきました。ダコタ・ファニング主演の競走馬と、とある家族の物語です。
主人公ケールの父ベンは、かつては騎手だったが、今はほそぼそと牧場を経営しつつ、有力馬主のもとでトレーナーとして働いていた。ある日、ベンは娘を自分の仕事場である競馬場へと連れて行き、ケールはそこでソーニャという牝馬に出会い、一目見た瞬間からその馬のことを気に入ってしまう。しかし、その日のレースでソーニャは負傷していまい、ケガをした競走馬は使えないので、馬主から安楽死させるように指示が出るのだが、ベンは、娘の手前、自らの仕事を放棄して、ソーニャを引き取ることに。かくして、ケールの家のボロボロの牧場に1頭の馬がやってくることになるのだが、彼らの前には様々な困難が待ち受けいていた・・・。ケールとベン、そして、かつての意欲をとり戻した夫と、イキイキと馬の世話をする娘を見守る母、ベンとは犬猿の仲だった祖父、ベンの仲間の2人の厩務員たちの夢を乗せたソーニャは果たして、復帰することができるのか!?
実は上映の直前になって猛烈な眠気に襲われ、あまり期待していなかった映画ということもあって、冒頭は睡魔との格闘だったのだけれど、中盤くらいから、映画の面白さに引き込まれて、気づけば、あっという間の2時間弱でした。ストーリーは、「えー!!!」という展開も多々あるし、単に、親ばかにもほどがあるくらいに娘に甘い父親(病的ともいえるくらいです!)の物語ともとれるのですが、「実話に基づいている」といわれてしまっては、その辺はもはや突っ込めません。それを危惧したのか、冒頭のタイトルシーンではっきりと「true story」の文字が出てましたし。でも、「inspired by~」だったので、脚色している部分も多いのだとは思いますが・・・。全体的にはちょっと前にやってた朝ドラ「ファイト」と似た感じのストーリーでしたね。
さて、この映画は、ダコタ嬢がこれでもかというくらいに頑張っているんですけど、彼女は相変わらず「見せ場」を心得ている女優さん。普通に、見てしまっていたんですけど、アップになったときに歯が抜けているのを見て、まだまだ小さい少女なんだということに気づかされてハッとしてしまいました。彼女は確かに上手ではあるんですけど、あどけなく馬と戯れる場面などでは、「演技」っぽさがちょっと気になったの確か。もしかしたら、特に役のない純真無垢な子供を演じるのは苦手なのかなぁと思ってしまいました。他のキャストも、父親を演じるカートラッセルをはじめとして、各キャラクターが丁寧に作りこまれていて、安心してみていられる映画でした。
ただし不満な点も。説明不足な場面が多く、父と祖父との確執が何なのかなど、物語の背景にあるはずの設定が、はっきりと語られないので、なんだかよく分からない感じが残ってしまったのも確か。そして、一番の失敗は、ケールとソーニャの交流を描く作品なのに、ケールがなぜソーニャのことをコレほどまでに気に入っているのか、というのを説得させるシーンがほとんど描かれることなく、中盤のクライマックスを迎えるので、「(ネタバレ台詞なので反転で)家族よ!」と涙ながらに訴える場面の説得力があまり感じられませんでした。
悪いことも書いたのですが、この映画は見終わった後に残る爽快感が本当に素晴らしい作品です。特にラストのシーンは、思わず立ち上がって歓声を上げたくなるような(本気で)素晴らしい臨場感と盛り上げ方でした。スポーツを扱った作品は多くあっても、こういう感じを味わえる映画はそんなに数が多くありません。本当に素晴らしいクライマックスです。このラストの盛り上がりを体感するにはやはり劇場で見るほうが楽しめる作品なのでしょうね。
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