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2006年4月12日 (水)

映画「プロデューサーズ」

「プロデューサーズ」 2005年 アメリカ 

去年来日した舞台を見に行って、それからサントラを何度も聞き返した ブロードウェイミュージカルがついに映画化。しかもほとんどがCDにもなっているオリジナルのブロードウェイキャストのままというではないですか!かなり楽しみにしていたので、頑張って有楽町まで見に行ってきました。やっぱり大きな映画館で見たいじゃないですか!

舞台版の感想はコチラ

ストーリーは、舞台版のまま。新作ミュージカルが失敗して落ち込んでいるプロデューサー、マックスのところにやってきた会計士のレオは、スポンサーから多額の投資を受け付けて、興行的に失敗すれば、粉飾決済をすることで、かなりの額を手にすることができるということに気づく。その話を聞いたマックスはレオとともに、最低の脚本、演出家、キャストを集めて絶対に成功しないミュージカルを製作しようと企てるという物語。で、彼らが集めた脚本、演出、役者たちは皆これでもかというくらいに最悪の超個性的な人ばかり。果たして彼らの作戦は成功するのか・・・。

自分は舞台を見ているので、どうしても各場面で舞台の様子が頭をちらついてしまいます。しかし、この映画、これでもかというくらいに舞台の演出を踏襲していまして、なにやらそのまま舞台を見ているような感じの演出。映画として見た場合も、50年代、60年代のMGM系列のミュージカル映画を髣髴とさせるような撮りかたをしていて、古きよきミュージカル映画の形をとりながらも、それらを強烈にパロディにしているというなかなか面白い作品でした。しかし、自分が楽しめたのは、この映画を見ることで舞台を見たときの興奮が蘇るからというのが大きかったのも事実。単にミュージカル映画として見た場合、「マイ・フェア・レディ」のように永遠の輝きがあるわけでもないし、「シカゴ」のような21世紀型の洗練されたかっこよさがあるわけでもないので、「舞台→映画」の移植をするのならば、もっと「映画」であることを強く意識してもよかったかもしれません。あまりに「舞台」すぎるように思いました。そして、舞台的であるがゆえに、歌が終わるたびに拍手をしたくなってしまうのだけれど、それができないからフラストレーションがたまります。

キャスティング。ユマ・サーマン、恐らくはミュージカルに馴染みの無い人々を引き寄せるための客寄せパンダ的役割を担ったキャスティングだとは思いますが、これがまた、意外にも超ナイスバディです。こりゃ、ゲイリー・オールドマンもイーサン・ホークもぞっこんになって当然だね。あと、主演2人は、舞台版でトニー賞を受賞したオリジナルキャストなんですけど、彼ら、マックスのほうがティモンで、レオのほうがシンバ、そう、ライオンキングで共演してるんです!!気弱なマシュー・ブロデリックとノリノリのネイサン・レインのコンビがこちらでも楽しめますよ♪さらに、強烈なゲイを演じたロジャー・バート、あれれ、「デスパレートな妻たち」の薬剤師じゃないですか!!!知らなかったー!彼はあとですね、やはりディズニーの「ヘラクレス」で、かっこよく「Go the distance」(←彼が歌うバージョンが一番良い)を歌ってるし、ミュージカル「You're a Good Man, Charlie Brown」ではスヌーピー役でトニー賞受賞してるんです!愛聴しているサントラには彼の出演作が多いのです。それだけにデス妻に出演してたと知ったときにはビックリですよ。

以下、内容にもかなり触れる舞台と映画を比較した感想です。反転してお楽しみください。

では順を追って。まずオープニング。これは映画だとオケが豪華になるので、舞台版のこじんまりとした雰囲気がなくなって、華やかになっていましたね。で、オープニングの曲のあと、映画ではすぐにマックスの事務所のシーンへ。おやおやおやおや?という感じでした。1曲カットされてるよ!マックスが自分はかつてブロードウェイの王だったと懐かしむ曲があって、なかなか好きなナンバーだっただけにちょっと残念。しかも、舞台版ではその後もチョコチョコと登場したこの曲のテーマはすべて削除されていて、最初から存在しなかったことになってましたね。舞台ではマックスの登場が先だったのが、映画ではレオが事務所に入るところから始まるので、観客の視点がレオを主人公にしたものになるという効果を生んでいるようにも感じました。これはこれでありですね。

で、舞台どおりに、ガバッと起き上がるマックスで観客の驚きを得て、そのまま「We can do it」。で、このシーンでオフィスの外へ出て、舞台はセントラルパークへ。この辺は映画ならでは。タクシーの場面の合成感が個人的にはかなり好き。で、レオは会計事務所へと戻っていってしまいますが、ここでの「Unhappy~」っていう曲、舞台では4人くらいしかいなかった会計士たちが映画では沢山いて、舞台以上に舞台的な演出がなされていました。そしてそれに続く、「I wanna be a producer」。こんなに長いダンスシーンのある映画は近年ほとんどお目にかかりませんね。映画では結構お金かけて豪華に作ってましたけど、このシーン、自分は舞台版のほうが好きです。会計事務所→妄想の世界へ→姉さん達登場→舞台がブロードウェイに早変わり→何事も無かったかのように再び会計事務所に戻るという一連の演出、場面転換の仕方がとても上手で大好きな場面でした。あと映画ではオチになっている不恰好なお姉さんが最初にしか出ないのがつまらない!彼女が出続けることで、長いダンスシーンも飽きないという演出だったんだけどなぁ。

そして再びレオはマックスの元へ。で、このとき、舞台では場面転換がなされるやマックスが前に登場したときのままの姿勢で固まっているところで笑いを誘ったんですけど、そういうのがなくて割とあっさりとしてましたね。で、いよいよ個性的なキャラ祭り。ハトさんがCGとかだったらどうしようかと思ったけどチープな感じが保持されてて大満足。ここで残念だったのは、老婆達のシーン。舞台の演出では空中ブランコまで登場してかなりシュールな「老婆の園」だったんだけど、マンションになってるのがちょっとつまらない。そして歩行器ダンスは生のほうが圧倒的に迫力があったね。映画ではその代わりに違った演出で笑いをとってました。で、全てが揃ったわけですが、一番残念だったのがこの後の場面です!舞台ではここで1幕が終了してインタミに入る場面。ここで、「グーテンターク~」、「ゲイ」、「ウーラ」、老婆、「We can do it」の5つのテーマが同時にコーラスされて、最高の盛り上がりを見せる部分があったのに、まるごとごっそりカット。舞台版サントラで一番好きな部分だっただけに、これはかなり残念・・・。

さて第2幕。「that face」です。真っ白にセートンされた部屋で歌われる曲ですが、映画だとかなり退屈な場面でした。ここ、舞台だと、舞台中に大写しになった、間抜けなレオの顔が映し出されて、かなり笑える場面だったんですよね。なんで辞めちゃったんだろう・・・。そして、ストーリーが続いて、舞台が始まる場面です。「オープニングナーイト♪」っていう冒頭の曲が再び流れるシーンもカットでしたねー。で、舞台が始まるわけですが、舞台版だと、我々観客がそのまま劇中劇の観客になるわけですが、映画では、観客の反応を映していました。うーん、これはいらないのでは・・・。と思ってしまいました。映画でも「我々が観客」っていう気分を味わいたかったかも。そして、舞台が終了した後、ここでも1曲カットされてました。この辺はテンポよく展開するので、このカットもほとんど気にならず。拘置所でのマックスの1人芝居。これは舞台でも一番の見せ所。ここでは、「インターミッション!」って叫んで休憩する場面がカット。映画にはインタミが入らないですからねー。代わりの演出を何か入れてもらいたかったかなー。リオの部分は曲が追加されてましたね。これは嬉しい♪あと、一番ラストのパクリ(?)ミュージカル、舞台だと「43rd street」とかもあったような気がします。

全体的に、舞台版のほうがジョークがきつかったと思います。全体的に少しやんわりさせられていたような。まぁ、映画のほうが規制が厳しそうですから仕方ないのかもしれませんが。舞台のほうが民族ネタとかももっと笑いをとろうとしてたように思うし。アイルランドネタは字幕さんが相当頑張ってたましたねー。でも、上手く伝わってなかったような気が・・・。カフカのネタとかも、笑える人にはかなり面白いけど、「?」な人も相当いた様子。自分も全ての笑いを理解してないと感じたし、前提となっているパロディの元ネタを知ってれば知ってるほど面白いんだろうね。うーむ、まだまだ勉強不足。この辺、DVDが出たときにオーディオコメタリーでもつけて解説してもらいたいとこですね。

長くなりましたが、一番最後に。エンドロールが相当良いですね。あの歌が綺麗なバラードになっているだけで、曲が流れている間中笑いが止まりませんでした。しかも極めつけにあの台詞!最後の最後まで笑わせてくれましたよー!!

<追記>

68年のオリジナル版もみました。レビューはコチラ

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コメント

むう。舞台版の方が演出が楽しそうですな。特に、5つのテーマのコーラスはかなり聞いてみたかった! 映画では時間の関係上同じテーマを何度も出せなかったのかもしれないけれど、そんなおいしい曲を切ってしまうとはー!!

投稿: g-cat | 2006年4月12日 (水) 22時36分

映画は舞台の普及版みたいな感じでしたので、やはり舞台のほうが面白かったかもしれないですね。68年の映画版はまだ見てないので、そちらも見てみたいです。

5つのテーマのコーラスはなかなか良いですよー。盛り上がって、そのまま、全キャラ総出で「we can do it♪」と大コーラスして幕が降りる感じでした。恐らくこの曲を入れてしまうと、そこで幕になるのが分かってしまうからカットしたのかもしれません。映画はどこで幕が入るのかが全く分からないような演出だったように感じます。「オペラ座」なんかは、あぁ、舞台はここで幕なのねーってのがバレバレでしたよね。

投稿: ANDRE | 2006年4月12日 (水) 23時33分

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