「日曜日たち」 吉田修一
「日曜日たち」 吉田修一 講談社文庫
吉田作品は「パレード」がとても良かったので、なんとなく気になってるんですけど、その後、なかなか良い作品に巡り合いませんねぇ。今回も期待したんですけどちょっと物足りない感じ。
東京に暮らす色々な人たちの日曜日にまつわるできごとを描いた連作短編集で、全ての作品に、謎の小学生くらいの兄弟が登場するのが共通点。全てを通して読むと、この兄弟の物語も完結するというスタイルになっているんですけど、基本的には、各作品は単独で完結しています。
現代人のかかえる悩みや、夜の世界のできごとを描く作品がほとんどだったんですけど、この手の作品は重松氏や石田氏のほうが上手いなぁということを改めて実感しました。この作者特有の視点の描き方(3人称なんだけど、視点は主人公みたいな)が苦手なのか、何故なのかははっきりとしないのですが、何かが物足りないです。あと、ラストの余韻の残し方があまり好みではないというのも一つかな。
「パレード」は、視点が変わることで物語世界がどんどん変化していくスリルを味わせてくれるような作品だったんですけどねぇ。短編よりも長編の方が面白いのかなぁ。でも「パークライフ」もどちらとも雰囲気が違う作品でしたよね。どの作品にも共通するのはリアルな現代社会を描こうとする点かもしれないけれど、それだったら自分は重松氏のほうが好きです。
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