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2006年6月14日 (水)

映画「カーズ」

「カーズ」 2006 アメリカ

ピクサー×ディズニーの最新作。日本公開は7月なので、ちょっとだけ早く試写会で観る事ができました。

物語の舞台は、人間が存在せず、擬人化した車たちが暮らす世界。主人公のマックイーンはレーシングカーで、初参戦で初優勝を目指している都会育ちのクールな人気新人レーサー。そんな中、トレーラーで移動中のマックイーンはふとしたはずみで一人砂漠の真ん中に取り残されてしまい、そこで、地図から消え去った忘れられた町ラジエーター・スプリングスにたどり着く。古きよきアメリカを感じさせるさびれた田舎町には、一癖も二癖もある田舎モノの車たちがノンビリと暮らしていて、それまでレースに優勝してスターになることを夢みるだけだったマックイーンは、自分の知らない暖かなスローライフと出会い、少しずつ変わっていく。という物語。THEアメリカというようなくらいに無茶苦茶アメリカンなストーリーで(良い意味で)、アメリカの中高年なんかにはかなり受けが良いのではないかと思われるような内容でした。アメリカでは記録的ヒットになるかもしれませんね。あとは、各キャラクターの個性がまた恐ろしいまでに上手くて、ちょっとだけしか出ない脇役を使って笑いを持ってくあたりかなり感心しました。

この映画、何がすごいって、一番の感動はCGの素晴らしさ。先日、ようやくピクサーとディズニーの合併が決まりましたが、この作品を制作している段階では、この作品で契約が終了して次回作以降の配給が未定になっていたので、プロモーション目的か!?と思わせるような、特に意味も無くCGの素晴らしさをこれでもかというくらいに見せ付けるシーンがチラホラ。擬人化されてはいるものの、車も質感の再現が神業級で、目や口があるのに、ホンモノの車の実写映像に合成しているんじゃないかと思ってしまうような仕上がりです。そして、自然をCGで描くことにかけては作品ごとにレベルが上がっていて、今作では、画面のあまりの美しさに、もはやこれがCGであることなど忘れてしまって(これって結構スゴイことだと思う)、普通に実写映画を見ているような感覚にまでさせてくれるような素晴らしさがありました。ピクサー、本当にスゴイぞ!

車のキャラクターという設定そのものが、あまりにも大量のツッコミ要素を持っているんですけど、それを突っ込む隙を与えないくらいに、一気に作品世界に引き込むスピード感溢れるオープニングがなかなか印象に残る作品。そして、当初はどうなのかと思っていた車キャラクターたちも実に表情豊かで可愛く描かれていて、世の中にカーズグッズが溢れるのも時間の問題ではないかというくらいに商品展開しやすそうな作品でした。GUIDOグッズ欲しいなぁ。MATERも味があって見てるうちに好きになってきたし。

まるで桃源郷のような、美しい風景の中で暮らす暖かい人々に囲まれてスローライフを謳歌する主人公が、それまでの生き方を問いただすというテーマはピクサー作品としては新しい試み。今回はジョン・ラセター監督・脚本ということもあり、トイ・ストーリーのように、友情に重きを置いた展開もなかなか面白かったです。会場全体が笑いに包まれるようなシーンがチラホラあったり、ジーンとせたり、ハラハラさせたりと見所満載なんですけど、中盤の、暖かいんだけど作品全体を包み込む寂寥感が切ない映画でもありました。ピクサーは相変わらずこういう表現が上手いです。しかし、そのために2時間という割と長い上映時間の中盤がまったりと展開するのでやや中だるみを感じさせたのが残念。最初と最後のスピード感でなんとか持ったというイメージです。

ちなみにこの映画、エンドクレジットが何気にかなり面白いです。ありえないくらいのサプライズが待ってます。そして大爆笑です。こういうファンサービスは嬉しいです♪みんな大スターなのに、その気前の良さにビックリ!!吹替えでもちゃんとやってるんですかねぇ。大スターといえば、レーシング界の大スターも出演してましたね。これは本当に驚いた!

これまでのピクサー作品、自分としては1位トイ・ストーリー2、2位モンスターズ・インク、3位トイ・ストーリー、4位カーズといったところでしょうか。ちなみに前作「インクレディブル」は自分としては「つまらない」領域の作品で、ピクサー外部からの持ち込み企画でストーリー作りの段階からかなり揉めて製作されたと聞いたときはなるほどと納得してしまったくらいです。今回は、ピクサーの元祖ともいうべき、ジョン・ラセターの脚本・監督ということで、ジブリでいう宮崎氏が久々に直接手がけたようなワクワク感がありました。そして、期待は裏切られなかったですね。しかし、トイ・ストーリーシリーズに見られた奥深いテーマが今回は見られなかったり、モンスターズ・インクの持つ究極的なまでの暖かさも感じられず、娯楽作品としては一級品だけれど、ピクサー作品にはもっと期待したいというのが本音です。

ところで、ピクサーといえば同時上映の短編も楽しみの一つですが、今回の「One Man Band」は過去最高傑作です!!本当に面白かった!これで会場が大いに盛り上がって、本編への期待を一気に盛り上げてくれました。むしろ本編よりも印象深いくらいです。

次回作「ラタトゥイユ」、なんだか妙な邦題がついてましたね。ピクサー作品でオリジナル邦題がつくのは初めてですよね。あ、そうか、次回からはピクサー作品もオリジナルのディズニー作品にカウントされるんでしたっけ?

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「カーズ」が、アメリカでは公開3日間の興行収入で6011万ドルを稼ぎ出し、 大ヒットとなっている。ピクサーのCGアニメで、おまけに「トイ・ストーリー」のジョン・ラセター監督ということで、ヒットして当然という気もする。 [続きを読む]

受信: 2006年7月11日 (火) 10時26分

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