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2006年6月20日 (火)

映画「イン・ハー・シューズ」

「イン・ハー・シューズ」 2005年 アメリカ

キャメロン・ディアスの新境地などと話題になった作品。あまり良い評判を聞かないのでちょっと心配ではあったんですけど、気になって見てみました。

幼い頃に事故で母を失い、自分の実娘ばかりを可愛がる継母に育てれたローズとマギーの姉妹の物語。妹マギーは、抜群のスタイルと美貌を持ち合わせ、男選びには何の問題もないけれど、学習障害を持ち、自分自身に自信が持てずに、職を転々としている。一方で、姉のローズは弁護士としてのキャリアを持ちつつも容姿に自信がなくいつも恋には奥手で、買い物でストレスを発散する毎日。自分のアパートに入り浸られ、妹にいつもふりまわされっぱなしのローズは、マギーが職につけるようにと色々と世話を焼くが、ふとした問題から、2人は大喧嘩、マギーは彼女のアパートを飛び出す。やがてマギーは一人の老女と出会い、我侭放題だった自分の人生を見つめなおすようになるが・・・。180度異なる2人の姉妹が見つける自分の人生とは?という物語。

言われてるほど悪い映画ではなかったと思います。強いて言えば、ちょっと長い。もう少しコンパクトにまとめれば評価も、もっと高かったかもしれません。2人の姉妹、冬のフィラデルフィアと常夏のフロリダ、人生に迷う若者たちと達観する老人たちなどなど、様々な要素が微妙に入組んで対比されていて、それを「靴」が結んでいくというあたり、なかなかよくできた脚本だと思いました。

キャスティングでは、とりわけ、彼女達に大きな影響を与える老女シャーリー・マクレーンが大女優の貫禄たっぷりで、見事な存在感を見せていました。キャメロン・ディアスはシリアスな役に初挑戦ということでしたが、やはり彼女には笑顔が似合います。老教授の前で詩を朗読する場面で見せる改心の笑みは彼女の魅力全開でした。この場面、映画としてもかなり良い出来で、とても印象深いシーンです。姉役のトニ・コレットは、もしかしたらキャメロンよりも熱演だったかもしれません。主役は彼女と思わせるくらいの勢いを感じました。

うちは男兄弟なので、姉妹間のゴタゴタはよく分かりませんが、180度違う性格という点では恐らく共通しています。時に分かり合えなくて、相手を鬱陶しいと思うようなこともあるけれど、子供時代の様々な思い出を共有してきたし、どこか無言で通じあう部分があり、やはり、大切な存在だったりするわけです。自分に兄弟、姉妹がいる人は色々と思うところのある作品かもしれません。

タイトルの「in her shoes」は掛詞になっていて、文字通りの「彼女の靴を履いて」(これも映画では重要な要素)という意外に、「彼女の身になって考える」という意味を持つ熟語だったりします。2人姉妹、そして、シャーリー・マクレーン演じるエラの3人が他人の気持ちを理解しようとすることで初めて気づく物語という意味のタイトルなのでしょう。うん、なかなか良いじゃないですか。そして、このタイトルにあわせるかのように、「靴」や「足元」を生かした様々な演出が心憎かったです。

ちょっと退屈な場面があったり、2人の和解までの描き方が甘かったり、確かにマイナス面も感じられる映画ではあるんですけど、良い部分も沢山ある映画だと思います。ベタベタなんですけど「プラスA」のシーンは感動しましたよ・・・。

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簡単に失われるような人間関係なら、最初からなかったと諦めた方がいい。人と人の本当の信頼は、一つや二つの事件では揺るがない。そのことを強く感じた映画でした。 女性弁護士ローズ(トニ・コレット)には、対照的な性格の妹マギー(キャメンロン・ディアス)がいます。マギーは定職にもつかずに男を漁りながらぶらぶらとして、突然ローズの家に転がり込んできます。困った妹ですが、二人の絆は子どもの頃から強く、何でも話せる親友のような存在でした。 ある日、マギーはローズの彼を誘惑してしまいます。その現場を目撃し... [続きを読む]

受信: 2006年6月24日 (土) 11時13分

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