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2006年7月17日 (月)

映画「プライドと偏見」

「プライドと偏見」 2005年 イギリス

映画化の話を聞いたときから、気になって仕方なかった作品です。何を隠そう、原作小説も読み、BBCのドラマ版「高慢と偏見」にいたってはDVDまで持っていますからね。あれだけの大作を2時間ほどにまとめることができるのかどうか期待と不安を入り混じらせながら見てみました。

舞台は18世紀イングランド。男子のいないベネット家は父の死後、財産を遠縁の男性に継がれてしまうので、母親は5人の娘達をよいところへ結婚させようと躍起になっていた。そんな折、近所に大富豪ビングリー氏が引っ越してきて、舞踏会が開かれることに。出会いのチャンスに沸き立つベネット家の女性達は舞踏会会場へ赴いて、必死のアピールを試みる。そして、その会場で、ビングリー氏の親友である大富豪ダーシー氏と出会うことに。ベネット家の次女エリザベスを主人公に、そのあまりの高慢さに印象最悪だったダーシー氏と彼女との関係を描いていく。タイトルの通り、登場人物たちの様々な偏見や、プライドが入り混じった緻密な人間模様を描くラブストーリー。

やっぱりというか、なんというか、はっきり言ってしまえば、ダイジェストを見ているような感じでした。500ページ以上ある原作や5時間以上あるドラマ版を先に見てしまっているのも大きな原因だとは思いますが、2時間しかないのに、割と原作の多くを盛り込もうとしていて、結果として、表面的にサクサクと展開していく感じが否めない仕上がりでした。これだけでストーリーを完全に把握するのはちょっと大変な気も。同じオースティンの長編を映画化した「いつか晴れた日に」なんかは、エピソードを絞って、深く、丁寧に映画化していて、素晴らしい完成度だったので、今回の映画化はやはり物足りなかったです。

ベネット家の母の下品さや、エリザベスのはっきりとした性格、ビングリー妹の冷ややかさなど、女性キャラの性格はかなり強調されていて、個性をバンと出していたのだけれど、一方で男性キャラの性格描写がちょっと弱かったような気がしました。ウィッカム氏もそこまで悪印象なかったし。ダーシー氏の心理描写も少なかったので、最後の盛り上がりにかけて、ちょっと説得力が弱かったような気も。あお、ジュディ・デンチは相変わらずの熱演でしたが、ダーシー叔母はもっともっと嫌なキャラのほうが嬉しかったなぁ。オースティン小説の醍醐味は性格がはっきりと描かれたキャラクターたちの個性を最大限に生かした緻密な心理劇なので、このあたりもちょっと物足りなかったですね。

しかし、風景はきれいだし、邸宅やら調度品の美しさにも大満足で映像的な部分ではかなり満足度は高かったです。イギリス大好き人間のツボを刺激しまくるシーン多数でした。キーラ・ナイトレイもなかなか良い感じでしたし。しかしながら、ダーシー氏はやはりコリン・ファースのイメージが強すぎて、どうしても違和感が・・・。

この映画を見て、楽しめた人は、是非是非BBCのドラマ版を見ていただきたいと思います。イギリスでは放送時間にパブから人が消えたとまで言われる大ヒットで、主演したコリン・ファースはこれを機に大ブレイクした作品です。原作の魅力をあますとこなく非常に丁寧に映像化したこのドラマ、本当に面白いのでかなりオススメです!

割と辛口ですが、面白い映画だったと思います。BBCドラマ版がありえないくらいに完成度が高いだけです。なんてたって原作が良いですからね♪

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受信: 2006年10月 4日 (水) 22時31分

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