映画「博士の愛した数式」
「博士の愛した数式」 2006年 日本
原作も読んでいるし、映画化したときも、予告の雰囲気なんかから、割と良い感じで映画化してそうだったので、ずっと見たかった作品。というわけでレンタル開始したので早速見てみました。
主なストーリーは小説と一緒。交通事故にあって、80分しか記憶が続かなくなってしまった数学者のもとに、主人公が新しい家政婦として通うことになる。彼女は、彼を博士と呼び、様々な数の不思議な話を博士から聞き、その魅力にみせられるようになる。やがて、彼女の1人息子ルートも博士の家に来るようになり、3人で暖かな日々を送るようになるという物語。映画のオリジナル要素としては、全体が「大人になって数学教師となったルートが、1回目の授業に生徒達に、博士との思い出を話して聞かせるという設定になった点。
小説では色々な数学の話が数式とともに紹介されて、説明が入っていたりして、映画ではそのあたりをどのように処理するのかと思っていたら、ルートの授業というオリジナルの設定を持ち込むことで、見事にそれを成し遂げていて、なかなか面白いなぁと思いました。
博士の記憶の設定がちょっとあやふやだったりするのは原作でも感じた部分で、こうして映像化されると、途中から、博士の記憶が80分などという設定はどこかへ行ってしまったのではないかというくらいに、この設定が生かされてないのが如実に出てしまったのがちょっと残念。「記憶もの」としては、「50回目のファーストキス」が意外にも名作だったのが記憶に新しいので、ついつい比べてしまったのも良くなかったかも。
深津さん、寺尾さん、浅丘さん、吉岡さんと出演者たちの演技は皆とても自然で作品の空気にぴったりで、映像や音楽もとても雰囲気が良かったので、原作のイメージを崩すことなく映画化することに成功した稀な例だとは思うのだけれど、カットされてしまった野球カードのエピソードなんかは原作では割とメインだったような気がするだけに、ストーリー的に物足りない点のある映画化でした。この映画では割と浅丘さん演じる義姉の部分を強く描いてはいましたが、個人的には、ルートとの交流にもっと重点を置いて欲しかったですね。
あと、この映画、割とメッセージが強く前面に出されちゃってたのもちょっと興ざめでした。
原作と比べるとどうしても色々と出てきてしまいますが、映画化としては、暖かな雰囲気がとても心地よい作品で結構好きな作品です。これは恐らくキャスティングの勝利。この作品、国境を越えても十分に再現できる原作だと思うので、是非ヨーロッパでリメイクしていただきたいのですが、どうでしょうか。
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