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2006年7月14日 (金)

映画「綴り字のシーズン」

「綴り字のシーズン」 2005年 アメリカ

スペリングの全国大会に挑む少女とその家族を描く映画ということで、暖かなヒューマン家族ドラマの映画だと思っていたのですが、蓋を開けてびっくり、思ってた内容とはかなり違っていました。

イライザは校内のスペリング大会で優勝して、地区予選⇒地方予選と順調にコマを進めていく。それまではあまり彼女のことをかまっていなかった大学教授の父は、娘の才能にひかれ、彼女を応援しはじめる。一方で、ユダヤ教徒である父親が一方的に自分の価値観を押し付けてくることに耐えられなくなった兄と母はそれぞれに悩みをかかえ、やがて、家族の崩壊がはじまるという物語。

スペリング大会というと、スヌーピーでおなじみのPEANUTSの映画の中で、チャーリー・ブラウンがスペリングの才能を発揮して全国大会に出場することになるというエピソードがとても印象的だったのが思い返されます。スヌーピーの映画では、チャーリーがただひたすらに辞書を読みふけったり、英語のスペリングのルールとその例外を死に物狂いになって覚える様子が描かれていてたのだけれど、この映画では、主人公の少女がスペルに対して本当に天才的、神がかり的な何かを持っているという設定で、アニメ映画ですらしっかり描いた現実性がやけに薄かったのが、やけに気になりました。

この映画の大きなテーマに宗教や価値観の押し付けというのがあって、ユダヤ、カトリック、ヒンドゥーと様々な宗教が登場する物語。この題材が割と強く押し出されているので、単なる「ヒューマンドラマ」という枠には収まらない、やけに精神的な色合いが強い作品仕上がっていて、「スペリング大会に挑む少女」という題材とのギャップが大きすぎたように思いました。スペルの勉強が宗教の勉強に摩り替わっていくってのは、やっぱ違和感ありすぎだったし、家族崩壊を起こすにしても、宗教問題はあまりに重過ぎで、もう少しライトな話題で展開したほうが暖かな感動作品になったんじゃないかと思います。製作者の意図とは反するのでしょうけど・・・。

役者さんたちが子役を含め皆本当に上手でした。母親のジュリエット・ビノシュの徐々に精神を病んでいく様子や、宗教に走る兄の葛藤なんかが、リアルに伝わってきて、なかなかの見ごたえがありました。主人公の少女も、ちょっとした仕草や表情がとてもよくて、スペリング大会に臨む姿やら、唐突に現われるホラー映画のようなシーンやらでかなりの熱演でした。父親のリチャード・ギアがそこまで悪者に感じられないのが映画としてはちょっと弱かったかもしれませんね。

とこえどころ映像がとても美しくて、とりわけ、少女がスペリングを感じる映像は必見です。「タンポポ」の映像とかかなり好き。

ちなみに、日本人の視聴者たちは、この映画の最後の最後でかなりのサプライズがあります!

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