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2006年7月16日 (日)

「デッドエンドの思い出」よしもとばなな

「デッドエンドの思い出」 よしもとばなな 文春文庫

世界的に評価の高いよしもと作品ですが、読むのは「とかげ」、「キッチン」についで3冊目。しかも、前に読んだのは相当前なので、かなり久しぶりです。

この本は全部で5つの作品が収録された短編集。洋食屋の娘とケーキ屋の息子の爽やかな関係をつづる「幽霊の家」、社員食堂でカレーに毒を入れられた女性の物語「おかあさーん!」、少女時代のと一人の少年との思い出と地元の町で起きた事件を回想する「あったかくなんかない」、同じビルに勤める男性への片思いを描く「ともちゃんの幸せ」、そして、婚約者の裏切りと新たな旅立ちを描く表題作の5つを収録。

どれも総じて良かったのですが、とりわけ面白かったのはと「幽霊の家」と「あったかくなんかない」あたりでしょうか。どの作品にも共通して感じたのは、暗くはないのだけれど、どこか翳りのある雰囲気、全体を包み込むほんわかとした空気と男女の関係、日常の暖かさです。結構、シリアスな出来事を扱っているものもあるのですが、それを「日常」の中にくるりと包み込んだような短編集。変にハッピーエンドな終わりではないのも余韻があって良いですね。

しかし、なぜかはわからないけれど、どっぷりと作品に浸かることはできませんでした。この手の作品だったら自分は川上弘美のほぅがずっと好きだなぁと改めて実感。

この本を読んでみようと思った最大の理由は、この本に「藤子F不二雄先生に捧げる」の一文が添えられていたからです。藤子ファンとしてはこれは見逃せません。同様に捧げられていた「八月の博物館」(瀬名秀明)とはまた違った点からのアプローチでしたが、この短編集にもよしもとさんの藤子氏への思いが感じられました。よしもとさんの憧れる人間関係はそれなのかぁというのが新たな発見でした。

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