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2006年8月24日 (木)

舞台「エドワード・シザーハンズ」

舞台「エドワード・シザーハンズ」@ゆうぽうと簡易保険ホール

ティム・バートン×ジョニー・デップの名作映画「シザーハンズ」を、マシュー・ボーン氏がダンスミュージカルにした舞台の来日公演に行って来ました。昨年の冬にロンドンで初演され絶賛された舞台が、こんなに早く日本で来日公演するというのは嬉しいものです。

ストーリーは弱冠の変更点はあるものの、大筋は映画のままです。この舞台は、台詞を全く使わずに、2時間、ダンスだけで全てのストーリーを展開するのですが、出演者たちの表現力が本当に素晴らしくて、台詞がないということは全く問題にならず、むしろ、言葉では伝わりにくい感情までをも、ダイレクトに見ているものに伝える内容だったと思います。これはもう本当に「すごい!」の一言。かなり感動しました。まぁ、自分は映画を見ているってのもあったので、見ていない人はストーリーを把握できないという可能性もありますが・・・。

コミカルな場面や、シリアスな場面、幻想的な場面が次々に現れるので、かなりメリハリのある舞台で、思わずクスリと笑ってしまったり、美しさにみとれてしまったり、ハラハラしたりと、もはや台詞のない劇であることを忘れてしまうほどに、物語に引き込まれてしまいました。このあたりの演出は本当にうまいですね。

この舞台、全部で6つの家族が出てきて、各4人×6家族=24人に主人公のエドワードが加わった25人が同時に舞台に登場する場面がかなりあります。このとき、この25人がそれぞれ自らのキャラクターを演じていて、舞台の隅から隅まで全てを使って、各自がまるで別の演技をします。たとえば、パーティのシーンで、中央でメインに踊るキャラクターがいるんですけど、それとは別に、後ろの隅の方で、勝手にお酒を飲んで酔ってる人がいたり、横の方にはケンカをはじめた2人を止めてる人がいたりと、メインのストーリーとは別のそれぞれのキャラクターの物語が舞台上ところせましと繰りひろげられていて、25人全てが見どころといっても過言ではない状態でした。

で、どこか一箇所ばかりを見ていると、同時進行で進むかなり多くの場面を見逃すことになり、見ている我々は舞台上をくまなく見なくてはいけません。つまり、一度だけでは、この舞台の全てを見るのは不可能ということですね。しかも、サブストーリー的な隅っこで演じられているコネタがなかなか面白いものが多いのも嬉しいところ。でも、この群集のシーン、結構何度も出てくる割には基本的には全部同じパターンで、最後のほうは、「またか」という雰囲気もありましたが・・・。あと、サブに気を取られすぎていると、メインの動きを見逃してしまって、気づくとストーリーが展開してたなんてところもありました・・・。この辺の見方は難しいですね。

こういうダンス劇やバレエでは、群舞というと、集団全体で1つとなって完全にそろって踊るところに美しさを見出すという印象がありましたが、この舞台では、皆が同じダンスをそろって行う際にも、各自がそれぞれのキャラクターの個性をあらわして、それぞれが微妙に異なった動きをしているのもとても面白かったですね。本当に25人全員が舞台の上で確固とした役割を担っている舞台でした。個人的には、黒づくめのクリスチャン一家(バートン色が強いキャラ)と艶やかな隣の家のおばさん、プロペラ帽子の少年なんかが面白かったですねー。ただ、こういう演出のために群舞による迫力が感じられるような場面はなくて、そういう意味では、全体にちょっとダラダラした印象もありましたが・・・。

舞台の演出はバートンの映画を忠実に再現したものではなくて、あくまでも映画は原作という感じになっていて、独特のバートン色が強いわけではないのですが、幻想的でとても美しい場面もたくさんありました。バートン独特の「悲哀さ」みたいなものは、そこまで演出しきれず、どうしても、幻想的な部分にスポットをあてざるをえないのは、ダンスミュージカルだからでしょうね。その点は、ちょいと物足りなかったのも事実。それでも、バートンとはまた違った「シザーハンズ」の世界を見ることができたのは嬉しかったですね。

そして、そして、最後にはサプライズの演出が!!!自分は前から2列目に座っていたのだけれど、その演出のせいで、大変な状態になってしまいました。しかし、この美しさは本当に言葉では言い表せませんね。素晴らしい感動をありがとう!!!と感動しつつも、頭がすごいことになってしまったし、臭いが割りと強かったりで、一瞬に素になってしまいましたが・・・。

さらにさらに、今日の舞台、なんと、終了後に、出演キャストによる特別トークショーが!!こんな日に当たるなんて本当にラッキーです!しかも、前から2列目ということで、出演者達のひそひそトークもちょっと聞こえたりしてなかなかよい感じ。今、感動の舞台を見せてくれた方々が素になって、我々、観客からの質問に答えてくれるという企画で、舞台のこと、マシュー・ボーン作品のことなど、色々な話をきけて、とても楽しかったんですけど、惜しむらしくは、通訳が邪魔!!!英語⇒通訳と、同じ内容を2度聞くのは割りと退屈だし、通訳は微妙に情報が足りないときがあるし、さらに、通訳する時間をカットすれば、同じ時間で倍の量の話が聞けると思うと、本当にもったいないですよ!彼らのイギリス英語、かなり聞きやすく喋ってくれたしさぁ。と、思ったのにも理由があって、通訳さんと出演者たちとのコミュニケーションがうまくいってなくて、もたつく場面が結構多かったんですよね。それがとても気になってしまいました。

マシュー・ボーンの舞台は以前から気にはなっていたものの、見るのは今回が初めて。で、見てみて、恐らく「くるみ割り人形」なんかはもっともっと華やかでダンスメインで面白いんだろうなぁなんて思いました。今後、来日する機会があれば、積極的にチェックしようと思います。

* * *

物語的な部分のお話。

見ていて気づいたんすけど、「シザーハンズ」って、いまさらながら、ハロウィン~クリスマスの物語なんですよね。これって、「ナイトメア~」と全く同じじゃないですか!!バートン氏、多分、この2つの行事が大好きなんろうなぁとしみじみ。

あと、この物語、「フランケン・ウィニー」とかなり似てますよね。このテーマもバートン氏のお気に入りなんだろうね。

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