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2006年8月21日 (月)

「古道具中野商店」 川上弘美

「古道具中野商店」 川上弘美 新潮社

先日「ニシノユキヒコ~」の感想を書いた際に、早く文庫になって欲しいという旨を書いたところ、単行本を持っているという友人がよかったらどうぞと貸してくださいました。そういえば、「センセイの鞄」も同じ友人が単行本を貸してくれたんですよね。どうもありがとうございました。

都内にある古道具屋を舞台に、店主の中野ハルオ、アルバイトのタケオとヒトミ、ハルオの姉マサヨと、お客さんたちとのやりとりをホンワカと描いた作品。主人公はヒトミで、彼女とタケオとのなんともいえない淡い関係や、女ぐせの悪いダメ中年男の中野さんなどの色恋ごとも、いつもながらの川上節でフワフワと描かれていきます。

骨董屋ではなく、古道具屋だという設定からしてとてもワクワクさせるのだけれど、個人経営の小さな商店で店主とアルバイト店員、そして常連さんたちがホンワカとした日々を過ごすという設定がとても気になって、絶対に読みたい!と思っていた本です。思ったとおりに、この設定と川上さんの文体との相性は抜群でした。

いつも思うことだけれど、川上さんは日本語の使い方が独特でユニークなのだけれど、それがとても上手いなぁと感じます。ちょっとした呼び名とか、口癖から、そのキャラクターの性格や個性、お互いの関係をサラリと表現してしまうあたりはいつもながら、とても上手です。今回はタケオの「~す」という口癖なんとも心地良かったです。これも普通だったら「~っす」としてしまうところを、単に「す」としてるのが良いですねー。あとはやっぱり、カタカナ使いの上手さは今回も特筆すべきものがありました。

これまでの作品との違いといえば、今回は割りと艶かしい色事を多く描いていました。色男を描いた「ニシノユキヒコ」以上になまなましい場面が多かったように思います。そして、この物語の男達は、ニシノユキヒコ並にダメ男ばかりでしたね。川上さんは、相当のダメ男萌えと見た。

とくにスゴイ面白いというわけではないのだけれど、読んでいて心地が良い作品で、まとめて一気に読むというよりかは、毎日1章ずつ、少しずつ読み進めていきたいタイプの作品です。このホンワカした空気をそのまま再現して作ったら良いドラマができるかもしれませんね。

個人的には川上作品は「うそばなし」度が高いもののほうが好きなので、この作品はものすごく気に入ったとかいうわけではないんですけど、一般受けは良さそうな作品だと思います。初期の頃みたいなうそ話をまた書いてくれないですかねぇ。まぁ、ニシノユキヒコのような男の存在や、中野商店のうような店の存在も非現実的といえば、そうなんですけど・・・。

ところで、この本、装丁がかなり良いですねー。装丁の良い本ってそれだけでポイント高いですよね。

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