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2006年8月 4日 (金)

映画「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」 2005年 イギリス・アメリカ

ハリポタ4作目です。3作目までは原書で追いかけていたのですが、4作目以降はあまりの分厚さにおののいてしまい、原作は一切読んでいません。邦訳版は上下分冊なのに、原書は無理矢理1冊にしている感じで、新作が出るたびに、辞書のような厚さを見て、「あー、また長くなったんだなぁ」と思っています。

ハリーはいつもの仲間達ともに、Quidditchのワールドカップを観に行くが、会場に闇のもの、デスイーターが現れ、混乱の中、ハリーは闇の紋章を持つ男を目撃。その後、皆は無事、帰還して、新学期が始まる。今年度のホグワーツのメインイベントは、3大魔法学校の代表選手たちが競い合う試合がホグワーツ主催で開かれること。そして、各校の3人の代表に加えて、なぜかハリーが4人目の特別選手として参加することに。様々な難関を乗越えて、競技会で優勝するのは果たして誰なのか?そして、ついに闇の「あの人」の復活の時が迫る!!これに加えて、いつも通りの、授業風景や、クリスマスのダンスパーティの様子などの学園ドラマも描かれるというストーリー。

で、「炎のゴブレット」って何か重要な役目を持って出てきましたっけ・・・。てのが一番の感想。

長大な原作を無理矢理2時間半に詰め込んだのが、原作を読んでいなくてもひしひしと感じられるほどの展開の速さ。恐らく原作には登場したであろう、Dursleyさんたちはもはや出番すらありませんでしたね。でも、おかげで、これでもかというくらいにテンポが良かったので、2時間半の長さも割りと気にならないというのは有りましたけどね。

原作をカットするのは仕方ないとは思います。しかし、映画を観ていて、期待していた場面がごっそりカットされるというのは、いかがなものでしょうか。ワールドカップの場面では、試合前の様子をあれだけの映像で盛り上げて見せておきながら、試合シーンは1つもないとか(Wカップそのものが登場人物紹介のために仕方なく挿入したとしか思えない)、ドラゴンのとの戦いを期待させておいて、いきなりハリーの番ってのは、やっぱり作り方として、あまり上手ではないように思いました。あと、ロンとのケンカがあまりにも唐突に起こった上に、あまりにも唐突に終わるので、ちょっと意味不明でしたね。あのシーンで自分はフクロウじゃないと怒るハーマイオニーは面白かったですけど・・・。

1作目、2作目のクリス・コロンバス監督は、キッズ・ムービーの名手だけあって、無難にエンターテイメントに仕上げましたが、3作目の「アズカバン」では、一転、「雰囲気」重視の重厚な映像美を楽しめる、思い切った方向転換で、監督が代わることによって、それぞれの持ち味の良さを楽しめる、「エイリアン」のようなシリーズになるのではないかという期待を持ちました。で、今作では、「フォー・ウェディング」や「モナリザ・スマイル」のマイク・ニューウェルが監督ということで、どのような仕上がりになるのか、かなり期待してました。

遠くから引いた映像が多いのは。前作と同様ですが、前作では暗く思いイギリス的空気が漂う映像だったのに対して、今回は、「ファンタジー映画」的な映像が多かったと思います。そして、監督お得意の人間ドラマを思う存分に楽しめた、舞踏会の場面は非常に楽しめる仕上がりになっていて、大満足でした。むしろ、この舞踏会をメインにすえて、ずっとやってても良いと思うくらいです。全体的に、人間関係を描くようなエピソードを重視して作られていたようにも感じましたね。それだけに、このテンポの速さでは、人間ドラマを描くにはあまりにも速すぎて、やや消化不良気味のエピソードも多かったのが残念。やっぱり、「詰め込みすぎ」という結論に落ち着きますね。一方で、競技会のシーンはちょっと、物足りないというのが本音。メインのはずなのに、いまいち迫力や緊張感がありませんでした。

あと、今回、いただけなかった点として、人が死にすぎるというのがあります。これは、子供向けファンタジーとしてはどうなのかと。しかもその死が主人公の成長に不可欠な要素とはとても思えないので、もう少し考慮して欲しかったですね。まぁ、原作がそうなんだったら、映画はどうしようもないですけど。

そうそう、ロンの双子の兄たちってあんなに目立つキャラでしたっけ?

さらにさらに、前作のエンドクレジットはあんなに評判が良かったのに、今回は、特に演出もなく、ちょっとつまらなかったのもポイントダウンですね。

総じて、「アズカバン」はこのシリーズ中、屈指の完成度だったということですかね。

さてさて、レイフ・ファインズが登場して、次回作にも微妙に期待がかかるわけですが、次回はどんな感じになってるんですかね。何だかんだいって、次回も見ることになるかと思います。だって、イギリス映画好きとしては、これだけの豪華キャスト映画は見逃せないですよ!!

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