映画「春の雪」
「春の雪」 2005年 日本
三島由紀夫の原作を行定監督&妻夫木×竹内という豪華キャストで映画化した作品。言わずと知れた、昨年の話題作です。
舞台は大正時代。侯爵家の子息、松枝清顕は何不自由ない恵まれた環境に暮らす青年。没落しつつある名門の令嬢、綾倉聡子は幼馴染の彼に思いを寄せていたが、清顕は、自らの思いに気づいてか気づかずか、不器用な態度で、そんな彼女の思いを弄ぶかのように冷ややかに接していた。やがて聡子のもとに宮家の王子との縁談が持ち上がり、聡子は清顕に自らの思いを綴るのだが、ふとしたすれ違いが原因で清顕は聡子に腹を立て、彼女の手紙を無視し続ける。そんな中、聡子は王子との婚約を決意するのだが・・・。という物語。
この頃の時代の上流階級の人々の優雅な世界は、ヨーロッパを舞台にした映画ではよく見る好きな題材なのですが、日本の作品はほとんど見たことがないので、自分の中にある大正日本とは全く違うイメージの、西洋文化と融合した和の世界を見ているだけでも、個人的にはなかなか楽しめる作品でした。この世界観と内容だったら、海外でのMishima人気も理解できますな。
上の感想ともリンクしますが、この映画、とても映像が美しくて、ハリウッドの「SAYURI」なんかも、戦前の日本の美しい絵を切り取った場面があったのですが、本家の日本が撮影するJAPANは流石の見事なまでの美しい映像でした。自然の美しさはもちろんなんですけど、建物や人物の撮り方もかなり綺麗だったと思います。
で、肝心の物語ですね。なにが物足りなかったかと言えば、清顕の複雑な感情がよく理解できなかったというのにつきます。自分は原作を読んでいないので、なおさらです。恐らく、もっともっと彼の苦悩があったのかと思うんだけど、この映画を見た感じだと、1人で勝手に弄んで、本気になって、腹を立てて、後悔したけど、ちょっと遅かったというなんとも自業自得感がいなめないキャラクターになっていて、ラストでそこまで感動ができませんでした。なので「悲劇」とか言われてもあまりピンとこなかったのが正直な感想。
あと、清顕の口調が、いかにもな文学作品のインテリ学生たちの口調なんだけど、映画でそれを実際に喋るのを観るとちょっと違和感が・・・。でも古い映画を見て、そういうのを感じることはあまりないので、恐らくは、現代の若者の役者さんたちが、それをするのを見るところに違和感を感じているんだろうなぁ。妻夫木くんは、決して悪くはなかったとは思うんですけどね。やらしい感じでニヤリと微笑むところなんか、意外にもかなりハマってましたね。
ところで、観ながら、竹内さんとだったら、藤木氏なんかのほうが合うのではないかとか思ったんですけど、それは単に朝ドラのイメージだということに後から気づいてみたり・・・。彼、我が家では未だに「はかせくん」です。
気になって、ネットで原作のことを調べてみたところ、どうやら、壮大な時間の流れを描いた全部で4部構成の作品の第1部なんですね。説明を読んで、映画の中で伏線ぽっかたのに、生かされてないところとか、役回りがはっきりしなかったキャラクターの存在意義がなるほど納得でした。面白そうだから原作も読んでみようかな。つづきも気になりますし。結局、原作もの映画は原作を読まないことには何もコメントできないですよね・・・。
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コメント
こんにちわ。TOMOデス!
私も、この映画を見て、清サマの心情が理解できず、理不尽な奴だ!!と憤慨していましたが、原作を読んで少し理解が深まりました。
難しい言葉が多くて、読みづらかったですが。。
でも、やっぱり現代のパンピーには理解不能な点が多いのは確かです(><)
投稿: TOMO | 2006年9月18日 (月) 01時00分
コメント&TBしていただきどうもありがとうございます!!
映画を見て、清顕が相当理不尽だと感じたのは自分だけじゃないんですね!やっぱなぁ。
原作を読むと理解が深まるという情報、どうもありがとうございます!
自分も機会をみて、原作に挑戦しようかと思います!!
投稿: ANDRE | 2006年9月18日 (月) 13時15分