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2006年9月 5日 (火)

映画「オリバー・ツイスト」

「オリバー・ツイスト」 2005年 英・チェコ・仏・伊

かの有名なディケンズの原作を、巨匠ポランスキー監督が映画化。イギリス好きっ子としては、見逃せない作品です。このブログでも何度か書いてますが、自分、大英帝国時代のロンドンをこよなく愛していますからね。

救貧院で育った孤児オリバー・ツイストは、ある日、葬儀屋にもらわれることになるが、そこでの生活に馴染めず脱走、1人ロンドンへと向かう。彼はロンドンで、スリの少年ドジャーに声をかけられ、彼に連れられて、孤児達束ねて、スリや窃盗をさせている老人フェイギンと出会う。こうして、ロンドンでの生活の場を手に入れたオリバーであったが、一つの出会いが彼の人生を大きく動かす。大悪党のビルや、孤児の仲間達を巻き込んだ大騒動の末、オリバーが最後に手にするものとは?という物語。

実は、原作を読んだことがあります。しかし、割と前に読んだということと、同時期に読んだ「デビッド・コッパフィールド」と激しく記憶が混同していたため、もはや、原作との比較は再読しなければできないような状態・・・。あと、同じ原作を映画化して、アカデミー賞作品賞を受賞している、ミュージカル映画「オリバー!」も見たことがあります。こちらは割りと記憶も新しいんです。しかし、「オリバー!」はやはりミュージカルという性質上、どうしても、今回のような文芸大作といった雰囲気はなくて、歌と踊りを中心に物語が展開していくので、大分イメージは違いましたね。ストーリーはほとんど同じですが。ちなみに、同じ題材をデョズニーが動物を使って映画化したアニメもあるんですよー。ビリー・ジョエルやベッド・ミドラーといった声優がやたらと豪華な作品です。

ポランスキー監督といえば、「戦場のピアニスト」の記憶が新しいのですが、今回の映画化を聞いたときに真っ先に思い浮かべたのは、彼が監督した英文学映画化作品「テス」でした。「テス」はかなり好きな映画だったし、「戦場の~」で1人の男が次々と運命に翻弄されていくのを見事に描いていたこともあって、実はかなり期待していた作品です。ポランスキーといえば、ホラーやサスペンスのイメージのほうが強いというのも事実ですが・・・。

で、見た感想ですが、大満足でした。文句のつけようがないといえば嘘になりますが、サクサクとテンポよく進んでいくので、長さは全く気にならないし、むしろ、3時間くらいの長さにして、もっと色々な場面を丁寧に描いても良いのではないかと思えたくらい。ところどころ、もっと描けばよいのになぁという場面がチラホラありましたしね。テンポが良い分、次々にオリバーに降りかかる様々な出来事には終始ハラハラドキドキでした。そして、ラストは、完全にハッピー・エンドというわけでもなく、しっかりと辛い現実を目の当たりにして、オリバー少年の次なる人生が拓けるというのも良いじゃないですか。ちょっと切なくて哀しくてなんともいえないラストでした。

さて、この映画、主役のオリバー少年は、果たして何かしたんでしょうか?不満をあげるとすると、最大の不満はこの点にあります。主役にも関わらず、彼があまりにも地味。脇役の皆さんが、名優ベン・キングスレーはもちろんのこと、孤児の仲間達の少年少女たちもとても良い雰囲気&活躍をしているのに、主人公が本当に地味なんです。ただひたすらに受身に運命に翻弄されているだけという印象です。彼の心を描くような場面もほとんどなくて、見ている我々が彼に感情移入するような隙がほとんどないのです。観終わった後も、印象として残る場面に、オリバー少年の姿はほとんどないのではないでしょうか?その点が、かなり惜しいと思いました。

映像や音楽は本当に大満足で、ロンドン好きとしては見ているだけで、古きよき時代の大英帝国の空気を満喫していました。余談ですが、この作品のメインの舞台となっている19世紀ロンドンの貧民街にアメリカの作家が潜入して書いたルポ(「どん底の人びと」)がありまして、それはかなり興味深い1冊です。その内容を思い出したりしながら、どっぷりと19世紀のロンドンワールドに浸かれることができました。

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コメント

こちらにもお邪魔します。
わたしは『オリバー!』と『テス』だけの前知識だけで観て、
とても気に入ったのですが、
『戦場のピアニスト』のイメージで観た方は、全く期待はずれだったようでした。

確かに、オリバーは何をしたのか、というと、翻弄されただけで何もしてないのですね。
でも、あのか細く小さな肩を落とし、分かれ道で途方に暮れる背中を観たら
もうそうれだけで、彼を守ってやりたい、とばかり思ってしまいました^^;

同時期に公開された『プライドと偏見』とあまり違わない時代の、
ロンドンの下町では、こんな生活をしていた人たちが大勢いたのだ、と思うと複雑な思いもあります。

投稿: 悠雅 | 2006年9月10日 (日) 00時06分

>悠雅さん

続けてのコメントどうもありがとうございます!
TB、こちらからもしておきますね。

今回のポランスキー、「テス」のイメージで見ると
そんなに期待はずれでもないのは同感です!
もともとこういうイギリス文学ワールドは大好きでしたし。

ポランスキーの英文学映画といえば、
「マクベス」もかなり印象に残る作品ですけど、
これはまた、雰囲気が違う作品で、
かなりホラーテイストに溢れているのが面白いです。

「プライドと偏見」の描くイギリスとはかなり違った雰囲気でしたね。
ジェーンやビングリーがロンドンに行ってしまう場面がありますが、
オリバー少年の世界とあの華やかな世界とが共存する
19世紀ロンドンはかなり興味深い都市ですよね。

投稿: ANDRE | 2006年9月10日 (日) 23時36分

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