映画「踊る大紐育」
「踊る大紐育」 1949年 アメリカ
一度書き終えた記事が消えてしまって、書くのが2度目なので、ちょっとテンション低めです。
当代きってのミュージカルスター、ジーン・ケリーとフランク・シナトラが主演、傑作「雨に唄えば」の監督コンビに、ミュージカル楽曲は「ウエストサイド・ストーリー」のバーンスタイン、さらには、ミュージカル映画史上初のロケ撮りというかなり豪華な作品。コレだけ見ると、どんな映画なのかと思いますが、これがまた、とんでもない娯楽大作でした。
軍艦がNYに寄港し、24時間のフリータイムを与えられた3人の水平たち、ゲイビー(ジーン・ケリー)、チップ(シナトラ)、オジーが主人公。初めての大都会NYに大ハシャギの3人のお目当ては、名所の観光と、ステキなNY美女とのデート。チップは、女性タクシー運転手に一目ぼれされて猛烈なアッタクを受け、オジーは博物館で出会った美人人類学者に見初められる。一方、ゲイビーは地下鉄のポスターで見た「今月のミス地下鉄」の写真に一目ぼれ、広いNYで彼女を捜し求める。男女6人がNYを舞台に、歌い踊りまくる、とんでもなく明るいミュージカル。はっきり言ってストーリーはあってないようなものです。
この映画、やはり音楽が良いですね。バーンスタインの舞台版のオリジナルに、映画用に新しく楽曲が加えられたみたいですが、メインテーマとも言うべき、オープニングの「New York New York」の突き抜けるような明るさとノリの良さがこの映画の全てを物語っていました。そして、このオープニングは、NYの名所をたっぷりとロケ撮りした映像で見るものをあっという間に1940年代のNYに引き込んでしまいます。このオープニング、、かなり好きですねぇ。ちなみに、この曲は、今は終了してしまったTDSの「アンコール!」でも印象的なナンバーでしたね。
この映画は歌のほかにもダンスシーンが見事です。この頃のMGM作品は、「巴里のアメリカ人」を代表として10分をはるかに越える長いダンスだけのシーンがあったりして、正直、そのダンスが見事であっても、終盤はやや退屈になってしまうのも事実なんですけど、この映画は、程よい長さだったし、ストーリー仕掛けで楽しいダンスだったので、それもあまり気になりませんでした。ジーン・ケリーはやっぱ上手いよね!
ダンスといえば、博物館にて女性学者を演じるアン・ミラーが本当に見事なタップを披露していて、この場面も圧巻!このタップを見るだけでもこの映画を見る価値はありです!しかしながら、この場面、個人的にはもっと気になる人がいました。タクシー運転手を演じるベティ・ギャレットがかなり熱い!!目が、演技がすごいことになってます。もともと、原始人気分で皆が羽目を外しまくって踊るシーンですけど、ここでの彼女は完全に原始人になりきってます!!素晴らしいタップと素晴らしい原始人ダンスに圧倒されて、ここだけ何度も見返してしまったほど。
これまでミュージカル映画の神がかり的な熱演といえば、「アニーよ銃をとれ」で私はインディアンだと歌い踊る場面がマイベストだったんですけど、この原始人ダンスはそれに匹敵するくらいの衝撃でした。
あと、印象的だったのは、摩天楼の上でシナトラとベティ・ギャレットが2人でデュエットする曲。歌詞が良い。そして、その後、町に繰り出す6人が一緒に歌い踊る曲も良かったですね!
この映画は、はじめから終わりまで、テンションが下がる場面が皆無に等しくて、ずーっとみんなで大騒ぎしているような印象が強いので、後半くらいになると、ちょいとお腹いっぱいになってくるのも事実ですが、長い海上生活の後に与えられたわずか24時間の休暇を存分に楽しもうとする若い水平たちを描いているわけですから、このくらいのテンションの高さは当然といえば当然かもね。
さらに面白かった点として、水平たちの白いセーラ服と、女性達の原色のドレスが画面に見事に配置されていて、とりわけダンスシーンでのカラフルな画面がとても印象的でした。
ロケで撮影されたNYの町の姿、当時のアメリカを代表する作曲家による音楽、そして、やや男尊女卑を感じるストーリーを含めて、1940年代のNYをこれでもかというくらいに感じるのことのできる作品で大満足でした。
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