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2006年9月29日 (金)

映画「ワンダフルライフ」

「ワンダフルライフ」 1999年 日本

良い評判をしばしば聞く作品で、以前から気になっていた映画。海外での評価も非常に高いようで、英語のレビューサイトなんかを見てもかなり良いことばかりが書かれているので、割と期待していました。

現世と天国との間にある不思議な施設が舞台。人は死ぬと、その施設に行くことになり、そこで、自分が生きてきた中で一番の思い出は何かと聞かれる。1週間の滞在の間に、人々は、一番の思い出を決めて、最終日に、その思い出を映像化したフィルムを見ながら、天国へと旅立つ。22人の死者と、施設で働く人々のとある1週間を描く物語。

この映画はアイデアがとても面白いと思います。天国へと旅立つ前に自分の生きてきた人生から1つだけ思い出を選ばなければいけない。多くの素人の人々を出演させて、カメラに向かって自分の人生を振り返って語ってもらうというセミドキュメンタリーのような手法がまたかなり良い。演技ではない、飾らないナマの声がある映画でした。

一応、映画のストーリー部分として施設で働く主人公の青年と老人の死者とのエピソードがあるものの、この映画では印象に残るのはむしろ、人々が思い出を語る部分。嬉しかったこと、悲しかったことなんかを、ちょっと照れながら、カメラに向かって話す姿が本当にキラキラと輝いていて、2時間という長さも全く気にならないくらいに、まっすぐに自分の心に響いてきました。赤い服のおばあちゃんエピソードがなんとも言えずに良かった!

でも、ストーリー部分を担ってるほうのパートが実はそこまで面白くありませんでした。個人的には、人々が自分の人生を振り返って語るドキュメンタリーだけでも十分満足できたと思います。

あとこの映画、映像がきれいなのも良いですね。死語の世界ということで、パーっと明るい映像はないんですけど、「光」がとても効果的に演出されていて、なんとも心地の良い映像でした。

タイトルの「ワンダフルライフ」も、誰の人生も素晴らしいものなんだよという優しいメッセージを感じさせて、とても良いんですけど、海外での英語タイトルは「Afetr Life」なんですね。これは恐らく、傑作「素晴らしき哉、人生」の原題「It's a wonderful life」と被ってしまうからなんだろうけど、日本のオリジナルタイトルのほうがやっぱり良いよなぁと思います。

今の自分だったら何を一番の思い出として選ぶんだろうか。なんてことを見ながら一緒に考えるのもとても楽しかったし、「これが一番」と思えるような思い出をこれから作れたらいいなぁなんて考えたりして、いつの間にか、自分も映画に参加してるような気分になれたのもよかったです。

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