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2006年9月12日 (火)

映画「海を飛ぶ夢」

「海を飛ぶ夢」 2004年 西・仏・伊

昨年ヒットしたスペイン映画です。気になりつつも、重そうな題材だったので、やや躊躇していたんですけど、思い切って借りてきました。

28年前に事故で四肢が不自由になり、寝たきりになってしまったラモンが主人公。彼は、この状態のまま生き続けることに疑問を感じ、自ら死を望むようになる。やがて、彼のことはマスコミにも取り上げられ、彼に協力しようとする人々や人権団体が集まるようになると同時に、彼の考えに反対する人々も様々な意見を寄せる。事故で重度の障害を負った主人公の下した決断と、それを取り巻く周囲の人々を描く作品。

もっと泣ける映画なのかと思っていたんですけど、どちらかというと、深く考えさせる映画でした。「ミリオンダラー・ベイビー」のときも書きましたが、こういう問題には正解がないからこそ、余計に、色々なことを深く考えてしまいますよね。

我々視聴者の声を代弁するかのように次々と現れる、反対論者や、賛成論者の人々の声ですが、それでも、当事者でなければ、知ることのできない思いというのも確実に存在するわけで、それを傍観するしかできない我々は、劇中の彼の言葉を借りると、「きみもみんなと同じなんだね」という一言に尽きるのだと思います。この場面、とても強烈に胸に染み入りました。

さて、この映画、そんな考えさせられるストーリーですが、ハッとするような美しい映像がところどころにあって、それが映画の題材の重さをやわらげて見ている我々をドーンと沈めないようにしているように感じられました。そんな美しい映像の中でもとりわけよかったのは、中盤のクライマックスとも言える、ラモンの見る夢の映像。この映像、恐らく、ハリウッド映画だったらラストに持ってきて感動させるんだろうなぁと思うんですけど、中盤に入れて、ラストはひっそりと終わるのも印象的でしたね。この夢の映像は、これだけでも何度も見たいくらい。バックで流れる「誰も寝てはならぬ」もまた見事にマッチしていました。しかしながら、「誰も~」の歌い方が、自分の好みではなかったので、その辺はちょっと残念。この映画の歌手はちょっと軽い(←何様なんだかっていう批評ですな)。

何度も見たいとは思わない映画だし、やはりどうしても納得のいかない部分もたくさんあるんですけど、その分、色々なことを考えることのできる映画だったと思います。

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コメント

スペイン語で見られればねぇ,,,もっと感情が伝わると思うのだけど。たとえば兄とか兄嫁・甥はガリシア語(地元の少数言語ね)でしゃべっているとか、主人公をとりまく環境の閉鎖性(裏を返せば緊密性)などが、なかなか伝わらないところなんだろうなと思うわけです。テーマが壮大(というと語弊があるかもしれん)だから、その辺はスペイン語圏の人間以外には取り上げられないだろうね。歌のところはガリシア人(舞台となっているところの人)の歌い方(ケルト系)だからあまりクラシックにはそぐわないんだろう。そもそもスペイン以外に配給されることを想定してない気がする。

投稿: hiroshi | 2006年9月16日 (土) 13時48分

コメント&解説どうもありがと。

英語の映画見てると、字幕の情報量は半分くらいしかないってのがよく分かるからね。やっぱり原語で理解できるにこしたことはないと思う。あと、その国の背景になる様々な事情を知ってるかどうかも大きいよね。

ガリシア語の設定なんか全然分からなかったよ・・・。

最近の大河ドラマみたいに、映画の前に、背景になるマメ知識の紹介みたいのがあると理解も深まるんだろうけどね。

投稿: ANDRE | 2006年9月17日 (日) 00時13分

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