映画「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」
「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」 2005年 アメリカ
グウィネス・パルトロウ、アンソニー・ホプキンス、ジェイク・ギレンホールの3人が織り成すピュリッツァー賞受賞の戯曲の映画化。数学の証明を題材にとるというのも気になるところで、ずっと見たいなぁと思っていた映画です。
若い頃に天才数学者として名を馳せたものの、その後、精神を病んでいた父(アンソニー・ホプキンス)が亡くなり、ずっとその面倒をみてきた娘キャサリン(グウィネス)は深い悲しみの底にいた。そこに若い数学者ハル(ジェイク)が父の残した大量のメモを見せて欲しいとやってくる。やがてハルは、1冊のノートに書かれた証明が数学上の奇跡的な大発見であることに気づくが、キャサリンはそれは自分が書いた証明だと主張。父親の持つ天才的な数学能力を引き継いでいた彼女だったが、自分も精神を病んだ父と同じになるのではないかと思いそれを隠してきたのだった。果たして、証明の正体は・・・。過去と現在をいり混ぜながら、主人公の苦悩と再生、そして、その人生の「証明」を描く作品。
数学者のピークが20歳前後だというのは有名な話。分野は違うものの自分も、頭脳のピークは過ぎてるんだよなぁとふと思ってしまう大学院生のANDREでした・・・。
さて、この映画、父の葬儀のために帰って来た姉が、主人公を精神的に病んでいるのではないかと心配し、余計なおせっかいを焼きまくるんですけど、ずっと2人で過ごして看護をしてきた父が亡くなって1週間も経たないのに、落ち込んで塞いでいるのは当然だろうし、それを見て精神的に病んでると心配するというのうはどう考えてもお門違いもいいところではないかと、この姉にイライラしてしまいました。気分転換させたいのかもしれないけど、この姉のふる話題はあまりにもくだらないし、おしつけがましいし。「虚数」の意味も分からずに笑ってるし・・・。
父が精神を病んでいて、その数学の才能を引き継いだ自分が同じようになるのではないかと恐れる主人公の不安、父の死による落ち込み、そんな中にいる自分に必要以上に構おうとする人々へのイライラといった複雑な感情入り混じる主人公はなかなか難しい役どころで、グウィネスも熱演してはいるんですけど、「いつもうるさくわめきたてる人」というような印象ばかりになってしまったのはちょっと残念。
アンソニー・ホプキンスは、某博士のイメージが強いので、もはやこの程度では、精神を病んだという印象はないですよね・・・。しかしながら、とても味のある良い雰囲気を出していました。
ジェイクくんは、自分の中ではいつまでたってもドニー・ダーコ少年のイメージが強いんですけど、もっさりした地味な青年がよく似合いますね。そして、彼、いつの間にすっかり大人ですね。
もともとが戯曲ということで、やはり会話中心で進められてこその話なのだろうね。映画化が成功してるとは決して言えない分かりにくさのある作品だったなぁと思います。
この映画、クライマックスともいえる場面で父の書いたノートを読むんですけど、それが、あまりに切ない。しかし、限りなく美しい内容でした。詩人になればいいのに・・・なんて思ってしまうくらい。
あと、葬式の場面でもはや、遺族がだれもいなくなってからも、その家で人々が騒いでいて、さらには翌日、掃除もなにもせずにみなが帰ってしまってるっていうのはどうなんですか!?そういう習慣なのか!?
グウィネスはやっぱり笑顔の役のほうが似合いますよね。「スライディング・ドア」とか「エマ」とか「恋に落ちたとか~」とか。「セブン」、「大いなる遺産」なんかも含めて、少し前の彼女の主演作品はどれも好きなものばかりです。「スライディング・ドア」はロンドン大好きっ子としてはかなりオススメですよ!
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コメント
こんばんは。お邪魔します。
ANDREさんがイライラされた、あの俗っぽい姉ですが。
わたしもふたり姉妹の姉のせいか、
デフォルメされているものの、よくわかるところがあるんです。
自分が受け継ぎたかった才能が、
妹にだけ受け継がれたことへの羨望もあって、
反面、姉は姉で父と妹にイライラしてたりして、
どうしても、あんな態度を取るしかないんですね。
やや目障りな姉も含め、演劇の匂いが多々残る作品でしたが、
自分の立場に置き換えたり、
いろんなことを感じて考える機会にもなりました。
投稿: 悠雅 | 2006年9月23日 (土) 01時19分
コメント&TBどうもありがとうございます!!
悠雅さんは姉妹のお姉さんのほうなんですね。
自分は、兄がいて、弟なので、
映画を見ながら、自分では大丈夫だと思っているのに
心配されてあれこれとコメントされる主人公の気持ちに
ちょっと共感してました(笑)
うちはそこまで干渉しあうことはないですが。
この「演劇っぽさ」を見てしまうと、
舞台版がどのようなものなのかが気になりますね。
機会があれば見てみたいものです。
投稿: ANDRE | 2006年9月24日 (日) 00時35分