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2006年10月

2006年10月28日 (土)

「光ってみえるもの、あれは」 川上弘美

「光ってみえるもの、あれは」 川上弘美 中公文庫

久々にちょっと忙しくて、映画を見る余裕がない今日この頃なのですが、電車で移動する時間が長いので、逆に読書量が増えてます。ちょっとしたら余裕が出るので、そしたらまた見たい映画を消化していきたいですねー。

さて、そんな近況報告はおいておいて、川上さんの作品の最新文庫版です。積読状態の本が沢山あるにもかかわらず、川上弘美ファンとしては、次の作品が読みたいという誘惑に勝つことはできず、無茶苦茶優先して読んでしまいました。

主人公は16歳、高校1年の少年、翠。母親と祖母と3人で暮らしている彼の日常を、クラスメートの花田、恋人の平山、自分の生物学的父親(母は未婚)の大鳥さんなどとの関係を描きながら綴っていく作品。各章の表題が文学作品の詩の一節から抜き出した言葉でつけられていて、様々な詩が物語に彩を添えている。

これまで読んできた川上さんが書いた作品の中ではダントツに長い長編でした。個人的には川上作品は短編の方が好きなんですけど、川上作品の特徴でもある、独特のテンポのある文体、ほんわかとした空気のおかげで、長編でもスラスラっと読めてしまいました。いつも通りに登場人物たちのホンワカとした会話が楽しかったですね。あと、読後感が本当に爽やかでした。

今回の主人公の少年が、いつもの川上作品に出てくるダメダメな色男みたいなキャラじゃないのがちょっと印象的でした。その役割を担っていたのは大鳥さんなんだろうね。

主人公の翠が、高校生にしては、あまりにも達観しすぎているような少年で、友人とのやりとりも、高校生にしては、老けているような印象があって、青春小説として見たときに、個人的には、男子高校生はどんなにクールであっても、子供じみたバカバカしさを含んでいると思っているので、もう少しそういうのが感じられるキャラだとうれしかったなぁなんて思いました。主人公達の雰囲気は、口調こそ違えど、昭和初期くらいの文学作品とかにでてくるような学生の感じに近いですよね。

川上作品といえば、日常を描きつつも、そこにどこかズレているもの達が共存するような、世界観が好きなんですけど、今回も、一癖も二癖もある登場人物たちが良い味を出していました。キャラとしては祖母が好きかな。

後半になってから急展開するんですけど、山の場面はかなり楽しめましたねー。ちなみに、この作品で一番心に残ったのは、実は、小説の内容そのものではなくて、そこで引用されているコクトーの詩。なんだかとても心に響く言葉でした。割と地味に進んできた物語が、この詩と合わせて、なんだかとても印象深い爽やかなラストに収束していくのがとても良かったですね。

川上さん、今年もすごい勢いで新作を発表しているので、今後も楽しみです☆

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2006年10月23日 (月)

映画「プロデューサーズ」(1968)

「プロデューサーズ」 1968年 アメリカ

そういえば、見てたのにレビューしてませんでした。ミュージカル版の舞台が大ヒットし、昨年映画化された作品のオリジナル版です。ちなみに、このオリジナルも、舞台も、リメイク版映画も全てメル・ブルックス自身が手がけています。

このレビューで「プロデューサーズ」を扱うのは、舞台版、昨年の映画に引き続き3回目なので、ストーリーに関してはそちらのレビューを参考にしてください。

舞台版レビュー

ミュージカル版映画レビュー

さて、このオリジナルの映画を見ると、昨年のミュージカル版映画が、舞台の映画化という側面を持ちつつも、かなり忠実にオリジナルの映画をリメイクしたのだということが分かります。とりわけ、舞台版では演出上不可能だったと思われる、事務所→タクシー→セントラルパーク→噴水のくだりなんかは2つの映画でほとんど同じアングル&演出ですね。そして、ミュージカル版の歌詞も割りとオリジナル映画の脚本をベースにしていることも発覚。ただし、これは当然といっては当然だけれど、オリジナル版はメル・ブルックスの監督デビュー作で、映画の作りとしてはまだまだ甘い部分が多いのも事実。B級っぽいんですよね。名実とともに力をつけて、自分自身で40年ぶりにリメイクした昨年のミュージカル版映画のほうが完成度としてはダントツに上だと思います。

奇人変人大集合みたいな部分は、ミュージカルでも面白かったですけど、これはミュージカル無しでも十分楽しめる内容なので、普通にコメディ映画として面白い作品だと思います。ただ、ミュージカル版のほうがキャラ個性がパワーアップしてるので、先にそっちに馴染んでしまってる身としては、ちょっと物足りないのも事実。あと、やっぱり期待してる場面で歌が入らないとちょっと肩透かしなんですよね・・・。まぁ、オリジナルはミュージカル映画じゃないから仕方ないんですけど。あと、オリジナルだとウーラはちょっと地味な扱いでしたね。

ちなみに、脚本家として登場するドイツ人さん、オリジナル版は当初ダスティン・ホフマンが予定されていたものの、「卒業」に出演するためにキャンセルになったそうですね。ホフマンバージョンもちょっと観てみたかったかも。

<ちょっとネタバレ感想(反転させてください)>

後半の展開がミュージカルとオリジナルとでは少し違うんですけど、そんな違いの中でもとりわけ印象的だったのが、劇中劇の部分。ミュージカルでは「ヒトラーの春」が大ブーイングを受けるものの、ヒトラーが登場するやいなや、観客が大爆笑となるわけですが、自分はこの部分にちょっとした疑問を感じてました。あれだけでそれほど笑えるのか!?

そんな疑問を解消しているのがこのオリジナル版。華々しいオープニングで観客がブーイングするのは同じなんですけど、その後、普通に劇が始まって、その劇の中でヒトラーがコントのように振舞って観客が大爆笑という流れなんですね。こっちのほうがずっと自然だなぁと思います。ミュージカル版だとやっぱり「ミュージカル」で笑いを取りたかったんだろうなぁということでしょうか。ちなみに、劇中劇オープニングの「ヒトラーの春」もこっちのオリジナル版のほうがコンパクトにまとまってて面白いと思いました。基本同じなんですけど、こっちのほうがチープ感が漂ってて良い感じ。曲もちょっと短いですね。

<ネタバレ終わり>

この作品、当時アカデミー賞の脚本賞を受賞していますが、今よりももっともっと2次大戦が近くて、さまざまな「差別」が今よりももっと深刻な問題だった68年の作品だということを考えると、この映画の風刺的な内容は当時もっともっと強烈なものだったはず。そう思うと、この作品に脚本賞を与えたアカデミーもなかなかの勇気だなぁと思ってしまいました。

ところで、ミュージカル版映画のDVDが出ましたね。そちらには特典映像として、未公開シーンが収録されていて、舞台版からカットされた冒頭のマックスの歌が見られます。このシーン、かなり舞台版に忠実で、バイオリンやらカートやらダンスやらの演出はまさに以前観た舞台の感動そのままという感じ。なので、逆に言えば、「映画」としてはどうなんだろうという感じもして、そう思うと、このシーンのカットは仕方なかったのかなぁと思います。この曲は前半の曲の中で唯一ちょっと暗い影がある曲だし、無い方が映画がすっきりと引き締まりますよね。

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2006年10月21日 (土)

「家守綺譚」 梨木香歩

「家守綺譚」 梨木香歩 新潮文庫

実はこのレビューには1度も登場していませんが、梨木作品を読むのは4作目。何故これまでレビューを書かなかったかと言いますと、これまで読んだ3冊はどれも合わなくて、途中で読むのを辞めてしまったから。しかし、今回は単行本のときから気になっていた作品ということもあり、初めて梨木作品を楽しめました。

舞台は100年ほど前の日本のどこか。主人公の文士、綿貫は亡くなった親友の住んでいた家に家守として暮らすことになる。そこで、彼は、親友の幽霊と出会い、それ以降、異界び隣人たちと不可思議な日々を過ごすという物語。

人魚、河童、狸、人に姿を変えた植物達など、日本の風土に根付いた様々なものたちが、日常の中にさりげなく存在する感じがとても心地良い作品でした。心がほっと暖かくなる様な微笑ましいエピソードが多くて、ゆっくりと作品に浸っていたい感じでしたね。

最後はどのようにまとめるのかと思って読んでいたんですけど、最後のまとめかたも、すがすがしくて、爽やかな読後感でした。

姉妹編であると思われる「村田フェンディ~」も是非読んでみたいと思います。早く文庫にならないかなー。

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2006年10月18日 (水)

「非・バランス」 魚住直子

「非・バランス」 魚住直子 講談社文庫

発売直後に買ってたんですけど、読むのが遅くなってしまいました。でも読み始めたら1日で読み終えてしまいました。最近の講談社文庫が力を入れてるっぽい、大人も楽しめるティーン向け作品の文庫化シリーズの1つ。

主人公は、小学校のときにクラスで苛められていて、中学入学と同時に引越しをしたので、新天地では、友達を1人も作らずにとにかくクールに生きようと決心した中学2年の少女。家でも学校でもとにかくほとんど口をきかずに、クールに生活していた彼女はあるとき、15歳年上の服飾会社に務める女性と知り合い、打ち解けてく。他人を信じられずに自分の殻に閉じこもっていた1人の少女の成長を描いた作品。

素直に面白かったです。

どんなんい自分は1人で生きるのだとクールに決めても、やはり人間は1人では生きられなくて、でもプライドとかもあって、不安定になってる主人公が心のよりどころを見つけて、感情を爆発させるような場面などとても読み応えがありました。物語も、色々なエピソードが上手く絡まっていて、主要登場人物たちの心の変遷が、色々な伏線とともに、描かれていくのがとても面白かったです。

この物語は現実にはやっぱりファンタジーでしかありえないわけで、リアリティには欠ける作品ではあったんですけど、癒しの物語としてはこのくらいのファンタジーテイストのほうが余韻もあって良いですよね。もともと児童向けに書かれたものだし。

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2006年10月17日 (火)

「いつか王子駅で」 堀江敏幸

「いつか王子駅で」 堀江敏幸 新潮文庫

堀江氏は文庫&白水uブックスの堀江作品は全部読んでいて、結構好きな作家です。彼の初長編作品が先日文庫化されたので読んでみました。

大学の時間給講師をしている主人公は、ふとしたことで背中に昇り竜をいれた、印鑑職人さんと知り合いになり、銭湯や行きつけの飲みやで出会っては話をする仲になる。あるとき、この職人さんが荷物を置き忘れたまま姿を消してしまう。という物語を軸にしながら、主人公と町の人々との交流を描いていく作品。

これまで読んできた作品では仏文学者である堀江氏が主にフランス文学を題材にとって、色々な文学作品に馳せる思いを上手く、小説の中に組み込んで、余韻の良い上質の短編ばかりだったので、どのような長編を書くのか想像しづらかったのですが、長編になっても、堀江氏お得意のエッセイのような文体で、ところどころに文学作品に関する考察が入るというスタイルがそのままなのが、なかなか面白い1冊でした。

今回は日本文学への言及が多くて、その点ではちょっと新鮮でしたね。メインで言及される作家さんは読んだことがないから、深くはコメントできないんですけど、「サアカスの馬」とか「スーホ」とかに言及してるところは、かなり頷きながら読んでしまいました。出てくる他の作品も読んでみたいなぁ。

あと堀江作品はフランスが舞台のときも、その町の空気なんかを上手く伝えていて、行ったことも無い土地の香りが感じられるようなところも好きなんですけど、今回も都電付近の風景を見事に切り取っていたように思います。実際行ったことがないから本当のところどういうところなのかは分かりませんが・・・。

堀江作品は、なんともいえない余韻が感じられて、読後感が良いのが好きです。早く他の作品も文庫化してくれー。

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2006年10月16日 (月)

映画「エターナル・サンシャイン」

「エターナル・サンシャイン」 2004年 アメリカ

アカデミー賞でも話題になり、脚本賞を受賞したということで、やや気になっていた作品。近所のレンタル店ではずーっと貸し出し中が続いていて、先日ようやく借りることができました。

ある日、主人公ジョエルが恋人クレメンタインに別れを告げられて落ち込んでいるところに、1通の手紙が送られてくる。そこには彼女が自分に関する一切の記憶を消したとの記述が。その手紙を送ってきた会社では、消したいと思う過去の記憶を消すという事業を行っており、そこに赴いた彼は、自らも彼女の記憶を消したいと依頼する。記憶の削除は、ジョエルの自宅にて、睡眠薬によって眠っている深夜の間に執り行われ、ジョエルは眠りながら、自らの記憶の中を彷徨い、彼女との思い出を振り返っていく。という物語。これをメインに置いて、サイドストーリー的に、記憶を消す作業を行う会社の社員たちの人間模様が描かれる。

なんか思ってたのと大分感じが違いました。もっとSFテイストのラブストーリーだと思ってて、記憶を消すのはすぐ終わって、それから、2人が再び出会うような内容かと思ってたんですけど、「記憶を消す」っていう作業がこの映画のほとんどを占めてましたね。記憶を彷徨うという設定なので、時間軸が飛びまくって、弱冠分かりづらいところもあって、100分ちょっとという短めの時間の割には長さを感じてしまったというのが本音です。

ジム・キャリーはコメディのときよりも、こういう人間ドラマに出るときのほうが良い顔してますよね。あと、ケイト・ウィンスレットの出る作品は「乙女の祈り」から始まり、数々の文芸ドラマ、そして「タイタニック」を含め個人的にはこれまでほとんどハズレが無いんですけど、今回は、ちょっと彼女のイメージに合わない役だった気がします。単に髪の色が似合わないだけかもしれないけど。この2人のキャラクターが、割と180度反対の性格の2人だったので、2人が別れる場面では、「そりゃそうだろうね」と納得してしまったというのも、なんとなくこの映画にハマれなかった要因かもしれません。記憶を彷徨う彼の切なさに共感できなくて、別れて正解!とか思ってしまったもので・・・。

さて、サイドストーリーで描かれる恋愛ドラマなんですが、これがまた、やけに豪華キャスト。その割にあまりぱっとしないストーリーというかなんというか。ちなみに、こっちのストーリーのほうがSF色が強いのね。彼らが仕事中なのに、遊び半分なのが、個人的にはちょっといただけなかったかな・・・。

このサイドストーリーにイライジャ・ウッドが出てますが、自分の中の彼のイメージは未だに「子役」なんですよね。「危険な遊び」とか「フォーエバーヤング」とか「ノース」とか。ちょっと育っても、「ディープインパクト」ではまだ高校生だったし。最近の代表作の指輪さんではホビットだし。なので、こういう「大人」なキャラで出てくるとちょっと戸惑ってしまいます。キルティン・ダンストは作品選びが上手ですね。良い映画にたくさん出てると思います。

そんなわけで、真ん中の記憶の場面はあまり楽しめなかったんですけど、最初と最後の部分は雰囲気がよくて、結構好きな感じでした。あと、BECKの主題歌が良いね。

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2006年10月11日 (水)

映画「ポビーとディンガン」

「ポビーとディンガン」 2005年 英・濠

映画館でやってるときに無茶苦茶気になっていた映画。やっぱり映画館で見ればよかったー。

舞台は、オパールの鉱山に一攫千金を夢みて集まった人々が暮らすオーストラリアの町。小学生の兄妹、ジョアンとケリーアンは1年前に父の夢とともにこの町にやってきたが、母ともども、いまだ町には馴染めずにいた。ケリーアンには2人の友達ポビーとティンガンがいていつもどこに行くにも3人は一緒に遊んでいたのだが、この2人の友達はケリーアンにしか見えない空想の友達であった。あるとき、この2人の友人が姿を消したとケリーアンは騒ぎ立て、やがて、彼女は体調を崩し始める。兄のジョアンは妹を元気にするために、これまでその存在を信じていなかった2人の友人を必死になって探し始めるという物語。

とにかく優しさにあふれた映画でした。空想癖を持つ不思議な少女ケリーアンに対して、誰もが本当にやさしくて、見えない友達の存在を信じることはないけれど、皆が暖かくそれを受け入れてるという環境がなんだかとてもよい感じでした。クリスマスプレゼントも食事も用意してあげてるのがなんとも微笑ましいです。この家庭、クリスマスのときにお母さんがサンタさんの足跡を一生懸命作ってるし、お父さんは子供に鉱山の話をして仕事場に連れて行ってあげてるし、貧しいけれど、子供への愛にあふれた家庭なのがとても気持ちの良い映画でした。

「見えない友達」とそれが起こす奇跡というとちょっとファンタジックな映画なのではないかという感じがするんですけど、この映画は、その辺はしっかりとリアリティのある作りになっていて、現実的な描写が多いのも印象的でした。それだからこそ、上述した人々の暖かさが際立って感じられたように思います。

あと、この映画で特筆すべきは、ケリーアンの素晴らしいまでの自然な演技。これがはじめての芝居だということですが、この子役は本当に上手いです。彼女の演技力によってこの映画に引き込まれたといっても過言ではありません。

監督は「フルモンティ」のカッタネオ氏。この人の映画、「ラッキーストライク」も見たし、これまで作られた3作品全部見てますが、どれもこれも、現実をしっかりと捉えた上で、人々が織り成す小さな奇跡を描いていて、個人的にはかなり好きな作風です。次回作にも期待。

ヨーロッパの子供映画のお気に入り作品がまた1本増えました。

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「誠実な詐欺師」 トーベ・ヤンソン

「誠実な詐欺師」 トーベ・ヤンソン ちくま文庫

ムーミンでおなじみのフィンランドの作家ヤンソンが書いた大人向けの作品、なにやら彼女の最高傑作との呼び声も高いのだとか。

舞台は冬のフィンランド。24歳のカトリは損得の問題に関して天才的な才能を持っていて、村人から契約などが絡む様々な相談を持ちかけられているが、彼女が信用するのは数字だけという人間嫌いの変わり者。彼女は弟のためにボートを買ってやることが夢であり、そのためにとある策略を立てる。村に住む、御人好しの裕福な老齢絵本画家のアンナの家に住み込みで働きに入り、彼女の価値観を揺るがすことで、あくまでも「誠実に」詐欺を企てたのである。果たして彼女の企ては成功するのか・・・2人の孤独な女性が織り成す、人間ドラマを描く。

冬のフィンランドが舞台ということもあって、とにかく暗い雰囲気が全体を覆っている作品でした。雪に閉ざされた長い長い冬のイメージそのままという感じです。ムーミンシリーズも子供向けにしては、ちょっとダークで暗い雰囲気が漂っている作品だと思うので、これはヤンソン作品のカラーなのかもしれません。

あと、印象に残ったのは全体を貫く妙な緊張感。2人の微妙な距離感がそのまま物語になっているような感じで、読んでいるこちらまで人間不信になりそうな、強烈な緊迫感がただよう作品でした。ひたすらに対照的に描かれるアンナとカトリというキャラクターがとても上手く生かされていて、それだけで最後まで一気に読ませるような作品です。

決して「面白い」とは思わなかったんですけれど、よくできた作品だとは思います。でも僕はやっぱり「楽しいムーミン一家」とか「パパの思い出」とか「彗星」のほうが好きですけどね。子供時代の愛読書です。

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2006年10月 9日 (月)

映画「レジェンド・オブ・ゾロ」

「レジェンド・オブ・ゾロ」 2005年 アメリカ

前作が、80年代のスピルバーグカラーを感じさせる娯楽大作で割りと楽しめたので、忘れた頃にやってきた続編も見てみました。やっぱりスピルバーグはこういう冒険アクションが一番面白いよね。アランドロンとはまた違うバンデラスゾロも定着しましたねー。

舞台は19世紀南北戦争前のアメリカ。カリフォルニアでは合衆国の一つの州として参加するかどうかの選挙が行われいてた。ゾロは加入を阻止しようとする集団から奪われた投票箱を無事奪還の大活躍。一方で、ゾロが帰宅すると、妻は家庭をかえりみない彼に愛想をつかし、大喧嘩。その後、彼の元に離婚届が送られてくる。そんなとき、とあるパーティーで妻がヨーロッパから来たというワイナリーのオーナーのパートナーとして立っているのを発見。ゾロは妻の奪還を目指すが・・・。そこに裏で密かに南北戦争によるアメリカの崩壊を企てる組織がからみ、アクション満載のクライマックスに向けて物語が動き始める。

えっとえっと、ゾロって、「Mr.インクレディブル」とか「Mr & Mrsスミス」とかそんな感じの映画になっちゃってたんですね。うーん。個人的な要望だけれど、前作は「ゾロ誕生」を描いたわけで、2作目でいきなり情けないゾロ&ゾロ・ファミリー大活躍を描くってのはちょっと早いよなぁと思いました。これは3作目くらいのノリでしょ。ゾロが最初から最後まで「ゾロ」として華々しく活躍する回が間に欲しいわけですよ。あくまで個人的意見ですが。最近のスピルバーグはやたらと「家族」を強調するようになっているので、その一環なんだろうけど。

この映画、主人公のゾロが微妙に弱いんです。人間的だといえばそうなんですけど、中盤であまりにゾロが情けないので、彼に感情移入できなくなってしまって、ややダラダラした印象でした。一方でキャサリン・ゼタ・ジョーンズ演じるゾロの妻は無茶苦茶美しい上にカッコイイアクションまで見せてくれちゃって本当に魅力的なんだけれど、やっぱりそこに到達するまでが長い感じ。伏線が長すぎっていうか。もう少しコンパクトにまとめたほうが面白かった気がする。決してつまらないわけじゃないんだけど、なとなく前作のほうが面白かったなぁと。

個人的にはラストくらいで「ちびっこゾロ」みたいなニューキャラが出てきても良かったんじゃないかなぁなんて思ったんですけどやっぱそれはベタベタですかね。でもこういう映画はそれで構わないよね。アクションシーンなんて突っ込みどころ満載だけれど、アニメ感覚で笑って見ちゃえ!ですよね。

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2006年10月 7日 (土)

06年8月9月に読んだコミックから

①「団地ともお」 8巻 小田扉

9月末に出た最新刊。このシリーズは100話を越えて、尚面白さを維持するだけではなく、さらに面白くなり続けているという素晴らしい作品。今回も笑える話からしんみりする話まで非常にバランスのとれた1冊でした。今回はとりわけ面白かったんじゃないかな。

しんみりするエピソードのときでも、よく見てみるとコマの隅のほうに笑えるポイントが多数あって、そのコマでメインになってる部分の外側で起きている小ネタがなんとも言えずに良いです。この漫画基本的にツッコミがいなくてひたすらボケなのも良い。

今回特に面白かったのは、交換日記の話のつづき(漢字の書き間違いに大爆笑)、団地Wカップ(青戸さんがかっこいい)あたり。あと、熱血中学生と小学1年生との交流を描いたエピソードもかなりよかった!

②「アトム今昔物語」 手塚治虫

手塚作品は結構好きで、アトムも昔ほとんどの話を読んだことがあります。これは、アニメ版のアトムのその後の話を新聞連載で描いたシリーズらしいですね。

地球の危機を救ったアトムが別の惑星に行って、そこから地球に戻る際に、光速を越えてワープしたために過去にタイムスリップ、20世紀中ごろにたどり着く。そこから、アトムが紆余曲折の末に様々な冒険をするのを描いているんですけど、コレが本当に面白い!

ベトナム戦争の頃のアメリカを描いていて、戦争の残酷さを伝えるエピソードがあったり、ロボットが人権を獲得するための運動を描くことで人種差別の問題を描いたりと、この作品が1960年代に書かれたことを考えると、まさに当時ホットだった様々なできごとを見事にとらえて、しかもそれが現代の我々にも強いメッセージを投げかけてくるような普遍性を持った作品に昇華させているあたりは流石の手塚氏。

③「岳」 2巻 石塚真一

昨年1巻が出て、その後、ずっと出ないから存在すら忘れそうになっていた作品の第2巻。山岳救助をしている青年を描く作品で、山登りをする人々の命のドラマが描かれるんですけど、この第2巻は1巻に比べてはるかにクオリティが上がったように思いました。かなり面白いです。

この作品は救助に向かったものの、結局は助けられなかったという山の厳しさを実感させるエピソードも多くて、リアリティを感じさせる作品です。それでいて読後感が非常に爽やかなのは、事件を乗越えて、また山に戻ってこようという人々をひきつける山の魅力というものを同時に素晴らしいまでに描いているからだと思います。また少し先になりそうですけど、第3巻が楽しみ。

④「みきおとミキオ」 藤子F不二雄

どうも藤子FファンのANDREです。まさかここにきてF作品の文庫シリーズに新刊が加わるとは思っていませんでした。これはもうこのまま「バケルくん」とかも文庫化してほしいところですね。

これは100年後の世界につながっているタイムトンネルを見つけた少年が、未来に暮らす自分そっくりの少年と入れ替わって未来生活を体験するという物語で、現在と未来のジェネレーションギャップをとても面白くとらえた作品。藤子氏のSFセンスはやはり抜群で安定した面白さがありました。未来と現在、基本的には大きな違いがなくて、それだからこそ、ギャップがある部分が非常に面白おかしく感じられるし、未来がとても身近に感じられるという絶妙の未来具合がとても上手だなぁと思います。

あとは、入れ替わった2人のうち、現在から未来に行くみきお少年のことしか描かれないんだけれど、最後のオチで、未来から現在にきたミキオを描くことで、彼もまた似たような経験をしたんだろうなぁということを読者に想像させて、その物語を我々が自分自身で考えてまた面白さを見出せるという部分も非常に上手いなぁと。

藤子作品はやっぱ良いね!と改めて実感。

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2006年10月 6日 (金)

06年8月9月に聞いたCDから

①The Feeling 「Twelve Stops And Home」

UKバンドのデビュー盤。夏にぴったりの爽やかでキラキラと輝くようなPOPな1枚でした。今風というよりかはちょっと時代遅れな感じなサウンドが妙にハマります。全編遊び心も感じられる憎さがたまりません。しかし彼らの最大の魅力はなんと言っても、ハモリ。こういう畳み掛けるようにハモッてくる歌は文句なしに好きです。一番グッときたのは2曲目。「Never be~♪」っていうハモリにKO。

ちょっと気に入らないのはボーナストラックが2曲入っていること。このアルバムのタイトルなんだから、そこはやっぱり12曲で出すべきだと思うんですよ。こういうのって結構大切じゃないですか?Travisの「12memories」のときと全く同じこと言ってますが・・・。

②Sting 「Songs From The Labyrinth」

Stingは特にアルバムを追いかけるってことはないけれど、嫌いではなくて、割とチョコチョコベスト盤なんかで聞いてるアーティストです。「レオン」の主題歌とかかなり良いですよね。そんな彼の新作を久々に購入してしまったのには理由が。これ、なんと老舗クラシックレーベルのグラモフォンからの発売なんですよ! 

今回はソングライターとしての彼はちょっと封印されていて、歌う曲は1曲をのぞいて全て16~17世紀の作曲家ジョン・ダラウドの作った歌曲。伴奏は全てリュートのみです。なんて面白い企画なんだろうと思い、試聴してみて、予想を遥かに超えて、Stingの歌声と中世ヨーロッパの音楽が合っていたのに驚いてしまったわけです。

イメージとしては吟遊詩人が渋い声で語って歌ってくれているようなアルバムで、哀愁を感じさせつつ朗々と歌っているのが秋の夜長に大人が楽しむ音楽としては最高に良いです。たまにはいる彼の語りナレーションも雰囲気を出しています。

ちなみにダラウド氏はシェイクスピアと同時代人ですね。1歳違い!そう思って聞くとなんだかさらに親しみが増します。

③GANGA ZUMBA 「HABATAKE!」

BOOM&宮沢和史が好きな僕としては見逃せないバンドです。宮沢氏が中心になって立ち上げた多国籍バンドでラテン系のサウンドを聞かせてくれます。無茶苦茶カッコイイです。スカパラとかも結構好きだけど、自分はこっちのほうがずっと好きかなぁ。南米系の曲はなんだか体がムズムズするような感じがたまらないですよね。

洋楽リスナーなら8月9月はもっともっと話題作が目白押しだっただろ!といわれそうですけど、あえて、外してみました。カサビアンとかもともとそんな好きじゃないし。

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2006年10月 5日 (木)

映画「RENT」

「RENT」 2005年 アメリカ

結局映画館を逃してしまった作品がDVD化されたということで、早速見てみました。ミュージカル映画ファンとしては見逃せない1本ですからね。

舞台は1989年のNY。ダンサー、歌手、映像作家などを目指す若き芸術家たちが主人公。貧しい彼らが暮らす地区には家賃(RENT)も払えず(払わず?)夢を追う若者達が集まっていたが、スラム化しつつある地域を再開発する動きがあり、退去を求められていた。ギリギリのところ生活環境で暮らす8人の男女が、エイズ(登場人物の半分)、同性愛(登場人物の半分)、ドラッグなど様々な問題を抱えながらも、愛に溢れた日々を求めて生きていく姿を描くミュージカル。

舞台版はトニー賞に加えピュリッツァー賞も受賞してるだけあってなかなか硬派なテーマなんですけど、それを全編を通して力強いロックやR&B調の音楽で綴っていくというなかなか面白い作品。

ちなみにこの作品を作ったジョナサン・ラーソンは長い長い下積みを終えて自身初の大ヒットとなったこのミュージカルが初演される前日に亡くなっています。そう思って見てみると、このミュージカルの曲や詞が語りかけてくるメッセージがより一層心に響いてきます。

この映画、冒頭5分が本当に素晴らしいです。もう始まった瞬間、とんでもない傑作映画が誕生したのでは!?と本気で思ってしまえるくらいに良い。曲もいいけど、舞台調の演出も良い。このシーンだけ何度も繰り返して見たいくらいに良い。このSeasons of  loveは間違いなくミュージカル映画史に残る傑作シーン。

なのに、その後が・・・。このミュージカルは、基本歌が中心になって展開していきます。しかも、オペラ座やエビータのように、台詞が歌になっているというよりも、もっとちゃんと1つの「歌」になっていて、1つ1つの曲はちゃんと歌いだしと歌い終わりもはっきりとしてることが多いんです。で、結果、映像化によって、ただひたすらミュージック・クリップをつなげて映画にしているような印象がどうしても拭えませんでした。とりわけテレビの画面だと特に・・・。一つ一つの曲は良いし、ストーリーも面白い、それでも、2時間ずーっとPVを見るってのはやっぱりちょっとお腹いっぱいになります。

もっと映像がスタイリッシュでひきつけるものだったら違ったのかもしれないんですけど、この映画、映像は割りと普通です。監督のクリス・コロンバスはファミリームービーを撮らせたら非常に上手いのは数々のヒット作からも分かることですが、この深いテーマに溢れた物語はちょっと彼のテイストとはあっていないようにも感じました。そういう点がちょっと残念。

しかし、音楽の良さ、舞台版オリジナルキャストによる圧倒的なまでの迫力、ストーリーの深さ、メッセージの強さなんかはとても素晴らしいので、「RENT」という作品そのものは本当に傑作なのだと思います。

ちなみにストーリーはかなりそのまま「ラ・ボエーム」でしたね。ベースになっているとは知っていたけれど、ここまでとは思ってなかったよ。そして、そうだとすると、あのラストは個人的には完全になしだよ・・・。

とりあえずしばらくの間、脳内musicはRENTの曲で決まり。Seasons of loveはもちろん、他ではモーリーンのタンゴ(こういう曲面白いよね)、Without you、教会で歌うI'll cover you (途中でsesons~がコーラスで入るのがたまらない)あたりが特にお気に入りです。

<追記>

舞台版のサントラCD(2枚組み)を行き帰りの電車で聞いたところ、無茶苦茶はまってしまいました。弱冠映画とストーリーの組み立てが違う部分もあるみたいですね。ちょうど往復の電車で聴ける長さなのも良い感じ。

ちなみにこのサントラにはスティーヴィー・ワンダーが参加するSeasons of loveが入ってますが、これはそんなに良くないですね。シンプルなオリジナルのほうが良い。

<さらに追記>

セルDVDの映像特典に未公開シーンとしてもう1つのエンディングが収録されていました。僕はてっきり、原作オペラ「ラ・ボエーム」と同じ展開になるラストがあるものなのかと思ってたんですけど、ストーリー上の変更はなくて、演出が違うだけでした。

そのラストというのが、一番最後にコーラスして盛り上がる部分を、オープニングと同じように舞台に8人が並んで歌うというバージョンで、これがまた、傑作のオープニングと同じ雰囲気になっていて個人的にはこちらのバージョンの方が気に入りました。てか、こっちのほうが完成度高くないかい?オープニングだけが浮いてしまうってこともなくなって、一貫性を持った映画として綺麗にまとまってる気がするんだけどな。このラストだったら自分は泣いたかもね。

ボツになった理由の解説も入ってるんだけど、だってこれはミュージカル映画だよ!ドキュメンタリーじゃないんだよ!と僕は思うので、その意見には賛成しかねます。監督自身も、こちらのラストを選べばよかったかもと今でも思うというようなことを言ってるから、このバージョンをばっさりと切るのはやっぱり抵抗あるんだろうね。だって、こっちのほうが良いもんね。

ちなみにこの特典に同時に収録されているドキュメンタリーを見ると、このミュージカルが若くして亡くなったラーソン氏の魂が全て詰め込まれた作品だということが分かり、作品の感動がより一層深まります。

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2006年10月 4日 (水)

「川の名前」 川端裕人

「川の名前」 川端裕人 ハヤカワ文庫

少年達の夏休みを描いた作品。1,2ヶ月ほど時期を逃した感じですが・・・。

主人公は幼いときに両親が離婚し、社員課の父と一緒に世界中を飛び回って生活をしてきた少年、脩。久々に日本の小学校で過ごす小学5年の夏休み、友人たちと一緒に夏の自由研究の課題を探していた脩は、近所を流れる桜川に謎の生物がいるのではないかということで調査をはじめ、やがて、とある生き物を発見し、それを観察し始める。ところが、この観察はやがて、友人達や世間を巻き込んで大きな騒動へと発展して行く・・・。4人の少年たちを軸に彼らが成長したひと夏の冒険を描く物語。

子供達が主人公なんですけど、子供が読んでももちろん面白いだろうけれど、恐らく大人向けの作品なんだろうなと思います。ボリュームも結構あるし。少年達の世界が我々の現実社会の縮図のように様々な問題を持っていて、その中で少年達が少しずつ変化していく姿は読んでいてなかなか気持ちの良いものです。

少年たちの物語というと、「スタンド・バイ・ミー」や「4TEEN」のように、4人組というのが結構多いのはなんでなんでしょうか。この小説も、4人それぞれが違う性格だし、その他の人物も皆どこかにいそうなキャラクターばかりなので、読みながら、登場人物の誰かに共感しながら読み進むことができる思います。自分は手島君がやけに気になりましたね。別に共感とかそういうのではないんですけど。

この小説、読んでいてすぐに思い浮かぶとある誰でも知ってる極最近話題になったできごとがあるんですけど、その描写を読んで、読者である我々がその情景を手に取るように理解することができるのはやっぱり、その現実の事件とのオーバーラップのせいなんだと思います。確かに騒ぎすぎだよなぁとは常々思うんですけど、この小説はかなり否定的にそれを描いていたように思います。

そういうわけでなかなか楽しんで読みはしたんですけど、無茶苦茶面白かったというわけでもありませんでした。その理由は恐らく、ところどころがあまりに説明的&教訓じみていたところ。メッセージを前面に押し出している作品なので、それがちょっとうるさく感じられたのも事実。

「川の名前」という概念はなかなか面白いなぁと思いました。Google Earthとかで自分の住んでる地域をグググっと拡大していく感じですよね。確かにそうだと頷いてしまいました。

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2006年10月 1日 (日)

映画「ヘイフラワーとキルトシュー」

「ヘイフラワーとキルトシュー」 2002年 フィンランド

ヨーロッパの子供映画は、「点子ちゃんとアントン」、「僕セザール」、「ロッタちゃん」、「やかまし村」などとにかく名作が多いのですが、フィンランドからまた1つ心温まる作品が届きました。

小学校入学を控えた少女ヘイフラワーには悩みがあった。母は家事が苦手で、洗濯も満足にできず、ヘイフラワーが家事全般をサポートし、父はジャガイモの研究に没頭していて家にはいるものの家族のことには無関心。そして妹キルトシューは手がつけられないほどのわがままっ子。自分が学校に行くようになったらこの家は大丈夫なの!?と心配の種はつきないのだが、そんなある日、ふとしたことで、ヘイフラワーは我慢の限界に達して・・・。という物語。

かわいい、かわいい、ただひたすらにかわいい。そんな映画でした。

まずは2人の子供がやばいくらいに可愛い。末っ子の理不尽なまでのわがままっぷりがまず可愛い。これが大人だったら誰もがぶちぎれること間違いなしな要求の数々。そして、一日中騒ぎ立てる元気の良さ。一方で、こんなにもしっかりした少女がいるのかと思うほどに「お姉さん」な姉。そんな姉だけれど、神様にお願いしたりするあたりは、本当にまだまだ小さな子供。こういう子供っぽさを描くシーンがあるから余計にこのお姉さんのしっかりした様子がいじらしくなったり。そして、機嫌を損ねた2人の姉妹のブスっとした顔。

これ以上書くと、何かヤバイ趣味の持ち主だと思われかねないので、この辺でやめておきますが、とにかく2人が可愛いのです。近所に住んでる幼い兄弟がケンカしてる声がときおり聞こえてくるのを思いだしたり、うちの甥っ子もしばらくしたらこんな感じになるのかなぁなんて思ったり。

あと特筆すべきは、インテリア!近くにできた北欧の家具チェーンIKEAに行ったときも思ったんですけど、北欧はインテリアのセンスがとにかく良いと思います。そんなポップで可愛い北欧インテリアもたっぷりと楽しめる映画でした。柄物の壁紙とか、カラフルな家具とか下手をすればうるさいだけになってしまいそうなものを非常に上手く組み合わせていて、素晴らしくセンスの良いインテリアになっているのは本当に印象的でした。あと、自然たっぷりな庭も良い感じ。

この家族、両親が一切家事などに無関心なんですけど、家事が苦手という母に対して、それならば家事はよそに頼んで働きに出ればよいとつながるあたりが文化の違いですよね。北欧は男女均等が進んでいる国というイメージで家事の分担率も半々というのを聞いたことがあります。でもこの映画の感じですと、父が家事をしなければ、母も家事をしないでOKということなんでしょうかね。このお姉さん、母が仕事に出るようになったら将来的にもっともっと大変だろうなぁなんて思ってしまいました。

ストーリーはあってないがごとしの児童映画ですが、これほど「かわいさ」がつまった映画は他に知らないというくらいに可愛い映画なので、一見の価値ありだと思います。70分という短めの時間も子供向けに作られていることを考えれば非常に親切ですよね。

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