映画「ポビーとディンガン」
「ポビーとディンガン」 2005年 英・濠
映画館でやってるときに無茶苦茶気になっていた映画。やっぱり映画館で見ればよかったー。
舞台は、オパールの鉱山に一攫千金を夢みて集まった人々が暮らすオーストラリアの町。小学生の兄妹、ジョアンとケリーアンは1年前に父の夢とともにこの町にやってきたが、母ともども、いまだ町には馴染めずにいた。ケリーアンには2人の友達ポビーとティンガンがいていつもどこに行くにも3人は一緒に遊んでいたのだが、この2人の友達はケリーアンにしか見えない空想の友達であった。あるとき、この2人の友人が姿を消したとケリーアンは騒ぎ立て、やがて、彼女は体調を崩し始める。兄のジョアンは妹を元気にするために、これまでその存在を信じていなかった2人の友人を必死になって探し始めるという物語。
とにかく優しさにあふれた映画でした。空想癖を持つ不思議な少女ケリーアンに対して、誰もが本当にやさしくて、見えない友達の存在を信じることはないけれど、皆が暖かくそれを受け入れてるという環境がなんだかとてもよい感じでした。クリスマスプレゼントも食事も用意してあげてるのがなんとも微笑ましいです。この家庭、クリスマスのときにお母さんがサンタさんの足跡を一生懸命作ってるし、お父さんは子供に鉱山の話をして仕事場に連れて行ってあげてるし、貧しいけれど、子供への愛にあふれた家庭なのがとても気持ちの良い映画でした。
「見えない友達」とそれが起こす奇跡というとちょっとファンタジックな映画なのではないかという感じがするんですけど、この映画は、その辺はしっかりとリアリティのある作りになっていて、現実的な描写が多いのも印象的でした。それだからこそ、上述した人々の暖かさが際立って感じられたように思います。
あと、この映画で特筆すべきは、ケリーアンの素晴らしいまでの自然な演技。これがはじめての芝居だということですが、この子役は本当に上手いです。彼女の演技力によってこの映画に引き込まれたといっても過言ではありません。
監督は「フルモンティ」のカッタネオ氏。この人の映画、「ラッキーストライク」も見たし、これまで作られた3作品全部見てますが、どれもこれも、現実をしっかりと捉えた上で、人々が織り成す小さな奇跡を描いていて、個人的にはかなり好きな作風です。次回作にも期待。
ヨーロッパの子供映画のお気に入り作品がまた1本増えました。
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