映画「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」
「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」 2005年 米・英・仏
イギリスからやってきた王道ファンタジー映画。何気に豪華なキャストたちが本当に楽しそうにのびのびと演じてるのが印象的な佳作でした。
葬儀屋で働くセドリック・ブラウンは妻をなくし、7人の子供達の世話を乳母に頼んでいたが、子供達はイタズラを繰り返し、次々と乳母たちは仕事を辞めていくという状態。また、セドリックは給料が少なく、亡き妻の叔母から子供達の養育費を援助してもらっていたが、1ヶ月以内に再婚をしなければ、その援助を打ち切ると宣告されていた。そんな折、17人目の乳母が辞めてしまい、街の斡旋所にはもう代わりの乳母がいなくなってしまい、セドリックは困り果ててしまう。そして、ある晩、いつも通り、子供達が大暴れしているところに、ブラウン家の扉をノックする者が。不思議な力を持つナニー・マクフィがブラウン家にもたらした奇跡とは・・・という物語。
この映画、最大の失敗、それは、ポスターやDVDのジャケでしょう。青を基調にして、少年を中心にぐるりと登場人物が配置されて、なにやら、魔法っぽい効果がちりばめられてるって、まんま、「賢者の石」じゃん!これだけ見ると、ハリポタブームに便乗して製作されたB級ファンタジーな印象しかないですよね・・・。キャストも豪華だし、何より、映画としてとても面白かったので、もっともっと上手に展開できたのでは?と思ってしまいました。
乳母をやめさせるイタズラっ子たちのもとに現れる新しい乳母によって、子供達、そして、家族までもが変わっていくというと、40年ほど前だったらジュリー・アンドリュースが歌い踊ってやっていた役どころですよね。「メリー・ポピンズ」と「サウンド・オブ・ミュージック」を足したような設定は、どちらも好きなものにしてはなんとも嬉しいです。
子供達のいたずらはかなり過激で、こんなことまで!と思ってしまうようなものばかりなんですけど、さらりと子供達の本音をきかせることで、悪ガキたちにもすんなりと感情移入するように持っていってくれたので、子供の視点、大人の視点という2つのサイドで映画を楽しめる作りがなかなか良かったですね。ストーリーは教訓的になりすぎることもなく、とても上手にコンパクトにまとめられていて、90分の間、かなり楽しんで見ることができました。エマ・トンプソン、「いつか晴れた日に」も面白かったし、脚本を書かせると、かなり上手いんですね。
で、その脚本も書いているエマ・トンプソンがイボ&だんご鼻&出っ歯という特殊メイクに身を包んで、謎の乳母を演じているんですけど、ハリー・ポッターでの怪演を観た後では、このくらいでは、もはや驚かなくなってしまいましたね。しかし、この方も何をやらせてもステキな女優さんですねー。こんな姿でも魅力たっぷりでした。
そして忘れてはならないのが、子供達の父親を演じるコリン・ファース。彼はなんといっても、Mr.ダーシーなんですが、こういう子供向けファンタジーというのもなかなか良い感じではまってましたね。なんだかとても楽しそうに演じてるのがとても印象的でした。
エマ・トンプソン、コリン・ファースととも「ラブ・アクチュアリー」で、とても印象に残る見事な子役っぷりを見せてくれたトーマス・サングスター少年は、悪ガキのリーダー格を、見事に演じていて、渋々「please」って言う場面なんかとても良かったです。
他の出演者も、ブラウン家のコックは「ヴェラ・ドレイク」での熱演が記憶に新しいイメルダ・スタウトンだし、キーパーソンとなるメイドさんは「トレイン・スポッティング」のヒロイン、ケリー・マクドナルド(ちなみに彼女、僕が一番好きなバンドTravisのベーシストさんと結婚してます☆)。さらに、怖い叔母さんを演じるのは、「美女と野獣」のMrs.ポットこと、アンジェラ・ランズベリー。
イギリス映画を代表するような役者さんたちが、力を抜いて、本当に楽しそうに演じているのがなんとも心地よい作品で、決して大作とは言えないのだろうけど、なんとも心温まる映画でした。
あと、手法としては「レモニー・スニケット」なんかと似てましたが、エンド・クレジットのアニメもなかなか楽しめました。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画「天使の分け前」(2013.06.13)
- 映画「屋根裏部屋のマリアたち」(2013.05.29)
- 映画「ハッシュパピー バスタブ島の少女」(2013.05.27)
- 映画「リンカーン弁護士」(2013.05.06)
- 映画「偽りなき者」(2013.05.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ANDREさん、こんにちは。
何を隠そう、いちばん好きな女優さんであるエマ・トンプソンが脚本、出演、
共演はわたしの理想の男性の体現とも言うべき、コリン・ファースと聞いて、
公開を待ちかねて観に行きました。吹替版しか上映がないのを恨んでいたわりには、
DVDで観直してないわたし…
マクフィーさんが教えるのは、人としてごくごく当たり前の基本の礼儀、
成果はマクフィーさんの顔に現れ、
マリア先生とトラップ大佐のようにはならない展開、
予想をいい意味でちょっとずつ覆され、明るい色彩なのに下品にならない、
とても英国的であったかいお話でした。
今回もまた、ANDREさんの感想に大きく頷きながら読ませていただきました♪
それから、無関係ですが
「今読んでる本」のカテゴリにいしいしんじさんの本があって、これも嬉しい!
まだ読んでないのですが、娘に薦められて読もうとしているのがいしいさんの文庫。
積ん読をいい加減にやめて、読まなくっちゃ!!です。
投稿: 悠雅 | 2006年11月16日 (木) 09時27分
悠雅さん、
TBとコメントどうもありがとうございました。
字幕上映&拡大公開でもっと話題になっても良いような
よくできた作品ですよねー。
こういう作品がひっそりと公開されて消えていくのはもったいないです。
ハリーポッターやロード・オブ・ザリングとはまた違った
メリー・ポピンズなどの系譜のいかにも英国らしいファンタジーで
おっしゃられているように、予想外の展開もあったりして
最後まで楽しめる作品でした♪
いしいしんじさんの本は文庫化されてるものは
全て読んでます。
「トリツカレ男」が自分の中ではベストです。
とても優しい文章を書く作家さんで、オススメですよ。
投稿: ANDRE | 2006年11月17日 (金) 01時29分