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2006年12月

2006年12月31日 (日)

06年いろいろ大賞(書籍部門)

06年いろいろ大賞もこれで最後、書籍部門です。今年の読書は60冊弱。週1冊以上は読めてましたが、目標である100冊はまだまだ遠い感じです。コミックなんか入れると達成してるかもしれませんが・・・。

そんなこんなで、今年の書籍レビューを振り返ってみましたよー。

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06年いろいろ大賞(映画編)

映画好きです!なんて言いながら、こんなブログやっているのに、1年で見た映画の数と言えば90弱。週2は見たいなぁと思っているんですけど、なかなかそういうわけにもいきません。映画館にもあまり行けてないので、もっぱらDVDでの鑑賞となってしまうので、旬が過ぎた作品ばかりだし。

なんて、ネガティブな出だしですが、今年もたくさんの素晴らしい作品と出会いました。そんなこんなで映画部門の06年色々大賞です。

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06年いろいろ大賞(音楽部門)

06年の音楽を振り返ってみますと・・・

実は今年の3月までCDショップでバイトをしていたので、ここ数年は音楽&DVD情報に関しては、相当詳しかったんですけど、情報の移り変わりが非常に早い世界なので、仕事から離れてしまうと、あっという間に置いていかれてしまいました。以前はテレビの音楽ランキングTOP100なんかを見ても、知らない曲はゼロってのが当たり前だったんですけどねぇ。

そんなわけで、趣向に偏った音楽情報しか手に入れなくなったので、ますます偏りを見せる2006年の音楽レビューです。

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2006年12月30日 (土)

06年いろいろ大賞(その他部門)

映画、書籍、CDに関しては個別にいろいろ大賞を書きますが、それ以外の部門はコチラへ!

観劇、展覧会などに加えて、このブログでは通常取り扱いの無いテレビ部門なんかも用意してますよ。

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2006年12月29日 (金)

映画「ラヴェンダーの咲く庭で」

「ラヴェンダーの咲く庭で」 2004年 イギリス

観たいな~と思いつつ、いつの間にやら時間がたっていた作品です。観る前に思ってたイメージとちょっと違う作品でした。

舞台はイギリス、コーンウォールの海辺の小さな田舎町。年老いた姉妹ジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)はある日、近所の浜辺に倒れている若い男(ダニエル・ブリュール)を見つけ、家に連れ帰り看病をする。青年はアンドレアと名のるポーランド人で、思いがけない特技を持っていた。言葉の通じない青年の看病を続けるうち、アーシュラは自分の中に沸き起こる感情に気づいて・・・。という物語。

もうね、ジュディ・デンチに乙女を感じる日が来るとは思いませんでしたよ。はい。

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2006年12月28日 (木)

「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎

「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎 創元推理文庫

個人的に、今、文庫化が最も待ち遠しい作家、伊坂氏の作品が今月文庫化されたので、早速買ってきて読んでみました。相変わらず上手いです。

物語は2つの時間軸が交互に語られていくというスタイル。1つは、「現在」の物語で、語り手の「僕」は大学に入学し、1人暮らしをするためにアパートに引っ越してきた19歳の青年。隣の部屋に住む男に会うや否や「本屋を襲おう」という話を持ちかけられる。一方で、「2年前」の物語は、ペットショップでバイトをする語り手の「わたし」が、かつての恋人と現在同棲中のブータン人と3人で近隣を騒がせているペット殺し事件に巻き込まれていく様子を描く。

粋な台詞の数々に彩られながら、2つの物語がところどころリンクしつつ、次第にその関係性が明かされていき、クライマックスには大どんでん返しという、伊坂幸太郎の持ち味が存分に生かされた作品でした。メチャメチャ面白かったです!

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2006年12月26日 (火)

映画「V・フォー・ヴェンデッタ」

「V・フォー・ヴェンデッタ」 2005年 アメリカ・ドイツ

ナタリー・ポートマン主演で近未来のロンドン舞台というだけで、ポートマン好き&英国好きの血が騒ぐ作品です。「マトリックス」のスタッフによる作品ですが、映画好きを公言している割に「マトリックス」シリーズは見ていない自分だったりしますので、その辺りのネタには触れられません。

舞台は、サトラー議長による独裁政権により、思想統制がなされ、民衆に自由がなくなった近未来のロンドン。主人公イヴィーはある晩、夜間外出をして自警団に詰問を受けているところを、ガイ・フォークスの仮面を被ったVと名のる謎の男に助けられる。Vは1年後に独裁政権を倒すことを国民に告げ、イヴィーはその渦中へとのみこまれていく。イヴィーを中心に、Vの過去を探る警部の物語も交差し、謎の男Vの正体、独裁国家となったイギリスの裏側が徐々に明らかになっていくという物語。

うーん、なんていうんでしょうか。面白いんだけど、なんだか微妙なのも事実。

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2006年12月25日 (月)

「ウォルター・スコット邸訪問記」 アーヴィング

「ウォルター・スコット邸訪問記」 ワシントン・アーヴィング 岩波文庫

「リップヴァン・ウィンケル」や映画でもおなじみの「スリーピー・ホロウ」などを収録した「スケッチブック」や、「アルハンブラ物語」などの著者アーヴィングによるスコットランド旅行記。19世紀イギリス好きとしてはとてもとても気になる作品です。

19世紀、アメリカの新進作家だったアーヴィングは、紹介を受けて、当時、イギリス文学界の巨匠であったウォルター・スコット宅を畏敬訪問した。スコットランドの風土と歴史に造詣の深いスコットは、近隣を案内しながらアーヴィングに様々な逸話を語って聞かせる。スコット宅での日々を彼の家族や近所の人々の様子、スコットランドの自然、伝説などを織り交ぜながら描く旅行記。

19世紀イギリスファンにはとても楽しめる内容ですが・・・。

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「となり町戦争」 三崎亜記

「となり町戦争」 三崎亜記 集英社文庫

昨年単行本が発売されたときから、面白そうだなぁと思っていた作品が早くも文庫化。他の本もこのくらいのペースで文庫化してもらえると嬉しいんですけどね。

主人公はどこにでもいる普通の独身サラリーマン。ある日、ポストに入っていた町の広報紙を見ていると、そこに、隣町と戦争を始めたとの記述が。翌日以降、色々と町の様子を気にしながら過ごす主人公だが、どうも戦争をしているという実感はつかめない。ところが、次の広報紙には、戦死者数が掲載されている。やがて、主人公は、役所から偵察官に任命されて、役場の女性職員とともに隣町のアパートで暮らし始めるのだが・・・。という物語。

ただひたすらに「設定」が上手い作品でした。

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2006年12月21日 (木)

「浮世の画家」 カズオ・イシグロ

「浮世の画家」 カズオ・イシグロ ハヤカワepi文庫

「語り」とは何かを問い続ける、日本出身の帰化英国人作家カズオイシグロ氏の初期作品が先ごろ文庫化。イシグロ作品はこれまでハズレなしなので、早速読んでみました。今回も、大満足。表紙を見ると、一見、浮世絵師が主人公の作品みたいですが、全然違いました。「浮世」違い・・・。

舞台は戦後間もない1940年代後半の日本。年老いた画家、小野益二が語り手となり、戦前、戦中の家族や、画壇仲間たちとの出来事を振り返りながら、次女の結婚や長女夫妻との関係、いまや決別してしまったかつての仲間や弟子達との関係を語っていくという物語。これだけ書くと非常に地味な印象ですが、イシグロ作品ならではのスリリングな語り口調がキラリと光り、飽きさせることなく最後まで読めてしまいます。

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2006年12月18日 (月)

TVドラマ「ハイスクール・ミュージカル」

ドラマ「ハイスクール・ミュージカル」 2006年 アメリカ

ディズニー製作のミュージカルを題材にした学園ドラマが全米で大ヒットして、その勢いは世界各地に広がっているというような話は知っていたのですが、なんとなんと、本日NHKのBSで放送されてるじゃないですか!!ミュージカル好きとしては見逃せない1本です。

大晦日の旅行先で出会い、カラオケ大会で大盛り上がりしたトロイとガブリエラ。年が明けて学校が始まるとなんとびっくり、ガブリエラがトロイの高校に転校生としてやってきた。トロイは高校のバスケ部の花形選手、一方でガブリエラは超優等生。そんな折、学内ではミュージカル公演のためのオーディションが開催されることに。学内にはミュージカル公演のたびに主役を任されてきたシャーベイ&ライアン姉弟がいて、主役はこの2人でほぼ決定とされていたが、トロイとガブリエラはあの日の歌が忘れられず、ひょんなことからオーディションへ。トロイはバスケ部の試合を控え、ガブリエラは研究コンテンストの発表が。本当に自分がやりたいことは何なのか、皆の思いが入り混じる中オーディンションの幕が上がるという物語。

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2006年12月16日 (土)

更新できない状態が続いてますが

レビューに一切関連しない記事は初めてです。

今月はただでさえ色々と忙しい予定だったのに、12月に入るや、高熱が出る風邪をひき、今週は今流行の胃腸炎系の症状に苦しみ、体調不良が続いているため、レビューどころではなくなってました。ようやく落ち着いてきたので、また少しずつ更新していこうと思います。

とりあえず、更新が滞りすぎて、機能停止したブログだと思ってしまった方もいるかもしれないので、記事を書いてみました。

せっかくなのでフリートーク。

12月は気になる新刊文庫本が沢山出るので楽しみが多いです。「となり町戦争」なんか去年の本なのにもう文庫化!早いですねぇ。他の本もこういうペースで文庫化すればいいのにね。そうそう、年末にはオースターのヴァーティゴ君も出ますね。原書で読んだときに読みきれなかった部分を読めるのが楽しみです♪伊坂氏も文庫が出ますね!他にも気になる新刊が沢山です。読んでない本がかなり貯まってきたのでがんばって読書します。

最近、「観たかったけど映画館にいけなかった映画」が続々とDVD化。レンタル店の新作コーナーに行くとこれでもかというくらいに観たい作品がズラリ!時間が・・・。年末年始はテレビがつまらなくなるので、そのときにでも楽しみますか。

そろそろ研究も忙しくなってくる時期なので、ゆったりペースになるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします。

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2006年12月12日 (火)

06年10,11月に読んだコミックから

風邪で寝込んだり、授業が忙しかったりでエンタメ率が低下してなかなか更新が出来ない状態なのですが、無事生きてますので、気長にお待ちください。一応毎日チェックしてるので、コメントやらTBやらには対応できるかと思います。

で、ちょっと遅れてしまったけれど、定例のコミックレビュー。

・ 「ヴィンランドサガ 3」 幸村誠 講談社

第2巻終了後に掲載誌が変わり、かなりのブランクをあけての待望の3巻。やっぱり面白かったー。なんといっても絵がうまい。そしてストーリーも読ませる。でもまだまだ物語は序盤なので、今後に期待!!

・「チェーザレ 破壊の創造者 1,2」 惣領冬実 講談社 

中世ヨーロッパを舞台にした歴史絵巻。とても細かいところまで研究して描かれているものの、変に教育的な歴史ものという雰囲気もないし、残忍な戦乱の場面もなくて、「人間ドラマ」が面白い作品でした。これもまだまだ序盤なので今後に期待。

・「土星マンション 1」 岩岡ヒサエ 小学館

IKKI連載の作品は自分の好きなテイストのものが多いんですけど、またまたなんとも味のある作品が現れました。近未来の地球、地表に住めなくなって、人類は成層圏に地球をぐるりと取り囲むようにして建設されたリング状の建物の中で生活していて、主人公は、そのリングのガラス製の外壁を拭く窓拭きの仕事をしている少年。なんともユニークな発想のSFと、ほのぼのとした絵柄、そして、ほのぼのとした人間ドラマがとても面白い1冊でした。

・「20世紀少年 22」 浦沢直樹 小学館

ようやく終わりが見えてきましたねー。長かったねー。

やっと1巻の最初に戻ったねー。どこまでが当初想定していた範囲内なんだろ。

無理矢理あの場面にこじつけたのか、全ては最初から決まってたのか。

で、あとどのくらい続くのかねー。

・「神戸在住 9」 木村紺 講談社

自分が一番好きな漫画かもしれない作品の最新刊。もうね、傑作。本当にスゴイ。作者天才。

今回は前巻からちょっと時間を巻き戻して、まだ描ききれてない主人公の大学4年の生活を描く巻。最近は主人公の交友関係がゼミ中心になりつつあったんだけど、今回は久々に他学科の親友トリオが登場。初期のエピソードはこの3人での行動がメインだったので、こうして出てくるとなんとなくほっとしますね。

そうそう、今回は主人公の進路を予感させるようなエピソードも登場。次巻が最終巻になるようなので、なんとなく淋しい気がしますが、最終巻が出た暁には、全巻を通した長ーいレビューを書こうと思ってるのでとりあえず今回はこのくらいで。

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2006年12月 3日 (日)

映画「戦場のアリア」

「戦場のアリア」 2005年 仏独英ルーマニア

熱を出して、寝ながら見たのでちょっとぼーっとしてて、あまり良い感想ではないかもしれませんが、とりあえずレビュー。

舞台は第1次大戦中の1914年のフランス北部、スコットランドと仏連合軍とドイツ軍が3手に分かれて激しい攻防戦を繰り広げる中、12月24日が訪れる。ドイツ兵の元テノール歌手ニコラウスは皇太子の前で妻のソプラノ歌手アンとともに歌を披露し、2人は戦場に向かった。夜、各国の兵士たちはそれぞれにクリスマスを過ごしていたが、ドイツ軍の塹壕ではクリスマスツリーを飾りたて、ニコラウスが高々と素晴らしい歌声を響かせた。そして、それに呼応するように、敵軍であるスコットランド兵がバグパイプを響かせ、やがて、3国の隊長たちが戦場の真ん中で一夜限りの停戦を呼びかけ奇跡の夜が訪れる・・・という物語。

この映画、とりあえず邦題があまりにも微妙です。まず、戦場で歌うのはオペラの曲じゃないし、戦場で歌うってのはこの映画の中でもそれほど重要な部分でもないし。タイトルによって誤解されがちな隠れた名作「恋はハッケヨイ」や「ベッカムに恋して」以来に邦題が大失敗だと思います。「戦場のメリークリスマス」が一番似合うタイトルですけど、これはもはや使えないですからねぇ。

この映画の良かったところ、それは3つの国の兵士達それぞれを丁寧に描き、常に中立の視点で映画が進むところ。激しい攻防戦が描かれる前半では、戦争という行為の悲惨さをどちらが敵とか味方とかといった視点ではなく、兵士たちそれぞれの人間ドラマとして描き出し、それがあるからこそ、後半の奇跡的な展開が、ググッと胸に迫ってきたように思いました。もっともっと感動的に描くこともできたのではないかと思いますが、常にちょっと引いた視線で描かれていたのも、個人的には良かったです。戦場における英雄的行動やその悲惨さを描く映画は沢山あるけれど、この作品のように一人一人の兵士が「人間」であることを実感させて、暖かく優しい気持ちにさせる映画はそうそうないと思います。

戦場で戦っている兵士達だけれど、同じ歌に感動し、同じ神を信仰する仲間なわけで、彼らにも愛する家族があり、自分の帰りを待っている人がいるということに気づいたとき、果たして彼らはこれまでのように敵同士でいられるのでしょうか。だったらそもそも何故戦争が?と思ってしまうほどの美談で、やはりというか、最後には、それなりの厳しい現実も描かれていたのも、とても印象的でした。

ドイツ軍をとりまとめている中尉をダニエル・ブリュールが演じているんですけど、彼、これまでの役どころは繊細な若者のイメージしかなかったので、今回はかなりのイメージチェンジ。厳しい上官を演じていて、ちょっと違和感まで感じてしまうほど。でも、彼の出る映画は良い作品ばかりですね。

殺伐とした世の中で、こういう実話が存在しているということを知ると、人間って悪くないよねと改めて実感できるとともに、今もなお、世界中で戦争が続いているという現実が改めて哀しくなる。そんな映画でした。

で、あれほどまで大胆な口パクだと、逆に感動が薄れてしまうんですけど・・・っていうツッコミもしっかり忘れずに!

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2006年12月 2日 (土)

映画「ぼくを葬る」

「ぼくを葬(おく)る」  2005年 フランス

オゾン監督の映画は「8人の女たち」や「スイミング・プール」など強く印象に残る作品が多いのですが、そんな彼の新作は「死」を題材にした作品。

主人公の写真家ロマンはある日、仕事中に体調を崩し病院で検査を受けたところ、癌であることが分かり余命3ヶ月と宣告される。残された日々を、家族や恋人(ゲイという設定)とどのように過ごしていくのか、そして、彼に訪れる最期とは。という物語。

3ヶ月の命と宣告された主人公の最期の日々を描くというと、「死ぬまでにしたい10のこと」や「生きる」といった映画や、ドラマ「僕の生きる道」など名作が多いジャンルですが、この作品もはじめこそは過去の作品と変わり映えの無い印象ではあったものの、しっかりと個性を持った作品でした。

死を宣告され、悲しみにくれる主人公がはじめてそれを打ち明ける相手が、自分と同様に死が近く、孤独に過ごす祖母だというのがなんとも上手い。そして、子供のエピソード、姉との確執のエピソードなど静かながらもとても丁寧に、繊細に描かれていました。主人公のロマンを演じるメルヴィル・プボーの2枚目っぷりと演技の上手さも必見ですね。あと、祖母を演じるジャンヌ・モローの短い出演時間ながら確かに心に残る名演も必見!

こういうストーリーだと主人公が周囲の人のあたたかさに包まれていくというような展開になるものが多い中、この作品では邦題にあるとおり、主人公は周囲に打ち明けることができず、独りで自らの死に向き合い、最期の日々を過ごしていくことを選ぶのがなんとも切ない。見方によっては死期を悟った猫のようでもありますが・・・。最後のほうは映像も音楽も美しくて、静かに、本当に静かに幕を閉じるのがとても印象的でした。

そしてエンドクレジットのBGMが(注ネタバレ:反転)波の音オンリー!!!全編を通してここに一番ノックアウトされたかもしれません。映画館でこれやられたらヤバイね。ちなみにDVDではそのままメニュー画面につながるという演出が!

そうそう、2度ほどある性描写がどちらもなかなかインパクト大で、見ながら「おぉ、さすがフランス」などと思ってしまったり。

全般的に良い雰囲気の映画で、さらに81分というみじかさが、淡々としたペースでも飽きが来ないベストの長さだったのも良かったのではないでしょうか。

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「プラネタリウムのふたご」 いしいしんじ

「プラネタリウムのふたご」 いしいしんじ 講談社文庫

いしいしんじの長編作品が先月文庫化したものを早速読んで見ました。なんだかんでいしい作品は文庫化するたびに追いかけていますね。先月は月末に新潮文庫でも初期いしい作品が発売になったので、そちらも折をみて読んでみようと思います。

舞台は大きな工場がある町。この町では工場の煙が常に空を覆っていて、夜空を見ることができず、他に娯楽もないので、町にあるプラネタリウムはいつもにぎわっていた。ある日、プラネタリウムに、双子の赤ん坊が置き去りにされ、施設がいっぱいだったこともあり、引き取り手の無い双子をプラネタリウムの館長が引き取って育てることになる。やがて2人は成長し、1人はひょうんなことから手品師になり世界を巡り、もう1人は郵便局で働きながらプラネタリウムを手伝うようになるが・・・。双子の兄弟の数奇な運命を描く作品。

テンペルとタットルという双子の名前、プラネタリウムという舞台設定などからしてなんとも素晴らしい作品で、いつものいしい作品と同様に全編暖かさに包まれた作品でした。長編の「麦ふみクーツェ」はどちらかというと苦手な作品でしたが、今回はとても楽しんで読むことができました。

自分はどちらかというと手品の部分よりもプラネタリウムの部分のほうが話が面白かったんですけど、どちらにもなんとも素晴らしいキャラクタが存在していて、彼らの語る言葉の一つ一つがとても胸に染み入るものでした。とりわけ、マジックの団長が「世界一の舞台」ということについて語る言葉が、自分がかつて舞台上で歌ったりしたときに思っていたことと共通する部分があって、とても印象的でした。

最後に、大きな事件があり、双子がとある行動を起こすのですが、自分は、この作品で描かれた解決策はちょっと不満だったりします。世の中、優しいだけではなくて、厳しい現実と向き合うことも時には必要ではないでしょうか。

なんて思ったりもしましたが、長い作品ながらも、最後までしっかりと楽しむことができたので、オススメの1冊です。

いしいしんじってちょっと宮沢賢治と傾向が似てますよねー。マイベストいしい作品「トリツカレ男」を越える名作に出会えることを期待して今後も読もうと思います。

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2006年12月 1日 (金)

「紅い花」 ガルシン

「紅い花他四編」 ガルシン 岩波文庫

19世紀のロシアの作家の短編を5作収録した短編集。どの作品もロシアらしいというかなんといういか、重々しさがありました。

特徴としては、最後のオチが切ないものが多い印象でした。収録されている作品を1作読んでは、はぁっとため息をつくような感じです。では、収録作品についてサラサラっとコメント。

表題作「紅い花」は、精神を病んだ青年が療養中に紅いケシの花こそが悪の象徴なのだと思い、身を滅ぼしていく様子を描いた作品で、表題作にもなっているとおりに、かなり読ませる作品でした。作者が自身の精神病院での入院経験をもとに書いているそうで、妙なリアルさが。精神を病んでいる主人公が必死に守ろうとしたものが「正義」であったというのがなんとも考えさせます。

「四日間」。こちらもかなりのインパクトのある作品でした。戦場で、足を負傷し倒れて、身動きが取れないまま過ごした4日間を描いた作品。こちらも作者自身の戦争体験がもとになっているそうで、主人公の目に映る、戦場の悲惨な情景がありありと伝わってくるのがとても重く、そしてまた、体験者が語る説得力のある作品でした。

「信号」。鉄道会社の職員が自らの危険をかえりみずに列車を助けようとする話。ちょっと質は違うけれど「紅い花」と同様に「正義」がテーマですかね。個人的には一番地味な印象でした。

「夢がたり」。虫やら動物やらがそれぞれの身の上やら思いやらを話していると・・・。という話。ラストのオチがあまりに酷い。変に民話タッチだから余計にブラック。

「アッタレーア・プリンケプス」。上の「夢~」と傾向は似ていて、コチラは植物園を舞台に、温室の中で育つブラジルからやってきた棕櫚の木の物語。植物同士の会話があったりして、ちょっとファンジックな民話タッチだけれど、これもまた最後のオチが・・・。個人的にはこれが一番好き。でもちょっと道徳の教科書とかに載ってそうな話でしたが・・・。

全般的に読み終わって、すがすがしい気分になれる作品が1つもないので、落ち込み目のときには読まないほうがよいかもしれませんが、作品の質としてはかなり高くて、面白かったと思います。ロシアものってなんだかんで面白いんだよね。

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