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2006年12月25日 (月)

「ウォルター・スコット邸訪問記」 アーヴィング

「ウォルター・スコット邸訪問記」 ワシントン・アーヴィング 岩波文庫

「リップヴァン・ウィンケル」や映画でもおなじみの「スリーピー・ホロウ」などを収録した「スケッチブック」や、「アルハンブラ物語」などの著者アーヴィングによるスコットランド旅行記。19世紀イギリス好きとしてはとてもとても気になる作品です。

19世紀、アメリカの新進作家だったアーヴィングは、紹介を受けて、当時、イギリス文学界の巨匠であったウォルター・スコット宅を畏敬訪問した。スコットランドの風土と歴史に造詣の深いスコットは、近隣を案内しながらアーヴィングに様々な逸話を語って聞かせる。スコット宅での日々を彼の家族や近所の人々の様子、スコットランドの自然、伝説などを織り交ぜながら描く旅行記。

19世紀イギリスファンにはとても楽しめる内容ですが・・・。

旅行記として見たときに、この作品よりも後に書かれた長編、「アルハンブラ物語」のほうがはるかに完成度が高いように思いました。「アルハンブラ~」は読んで以来、僕の夢の1つに、この本を片手にアルハンブラ宮殿を訪れるというのが加わったのですが、この「ウォルター・スコット~」は、これを読んだからといって、スコットランドに行ってみたいと思わせるまでの魅力が感じられませんでした。もっとジェントリの人々の生の生活が生き生きと描かれてたりすると嬉しかったんですけどね。

全体的に、アーヴィングがスコット氏から聞いたエピソードを紹介するだけのような印象が強くて、旅行記としてのパンチが弱い気がしました。

ウォルター・スコット氏が当時のイギリスでは本当に文壇の巨匠だったにもかかわらず、非常にのびのびと毎日を楽しんでいる様子がとても新鮮で、そしてまた、その様々なことがらへのとても深い好奇心や知識の深さが垣間見えてくる作品でした。しかし、現在において、この巨匠スコットと新進作家アーヴィングとでは、アーヴィングのほうが知名度が高い気がします。歴史とはなんとも不思議なものですね。

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