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2006年12月28日 (木)

「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎

「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎 創元推理文庫

個人的に、今、文庫化が最も待ち遠しい作家、伊坂氏の作品が今月文庫化されたので、早速買ってきて読んでみました。相変わらず上手いです。

物語は2つの時間軸が交互に語られていくというスタイル。1つは、「現在」の物語で、語り手の「僕」は大学に入学し、1人暮らしをするためにアパートに引っ越してきた19歳の青年。隣の部屋に住む男に会うや否や「本屋を襲おう」という話を持ちかけられる。一方で、「2年前」の物語は、ペットショップでバイトをする語り手の「わたし」が、かつての恋人と現在同棲中のブータン人と3人で近隣を騒がせているペット殺し事件に巻き込まれていく様子を描く。

粋な台詞の数々に彩られながら、2つの物語がところどころリンクしつつ、次第にその関係性が明かされていき、クライマックスには大どんでん返しという、伊坂幸太郎の持ち味が存分に生かされた作品でした。メチャメチャ面白かったです!

伊坂作品に仕掛けられたトリックはこれまでの作品では読んでいる途中に気がついてしまって、ニヤリとしながら続きを読み進めていくのが常だったんですけど、今回、初めて、トリックに気づかず、まんまとその手中にはまってしまいました。ところどころで感じた不自然さが最終的に、そのトリックに起因するものだっただけに、見破れなかったのが悔やまれます。

「陽気なギャング~」は違ったけれど、これまで読んだ伊坂作品はどれも映像化不可能な、小説ならではのトリックの仕掛け方をしていて、映像化しようものなら、そのトリックを再現するのは不可能ではないかと思うのがほとんど。この作品も、極めてそういう要素が強いんですけど、なんと来年映画化するんですね!一体どうやって!?てか、無理じゃないんですか!?気になって仕方ないー!

と、トリックのことばかり書いてしまいましたが、内容もなかなか良かったです。「2年前」のパートが「重力ピエロ」と同様にちょっと重たい話ではあるものの、それを「現在」のパートののほほんとした空気が上手く中和してたし。まぁ、最後は2つの物語が1つにつながっていって、全体にどよーんと切なくて仕方ない空気に包まれる作品ではありましたが・・・。

でもね、作中のブータン人が信じているというあることを考えれば、これは悲しい終わり方ではないんだろうね。きっとそうだ。うん。

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