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2006年12月 3日 (日)

映画「戦場のアリア」

「戦場のアリア」 2005年 仏独英ルーマニア

熱を出して、寝ながら見たのでちょっとぼーっとしてて、あまり良い感想ではないかもしれませんが、とりあえずレビュー。

舞台は第1次大戦中の1914年のフランス北部、スコットランドと仏連合軍とドイツ軍が3手に分かれて激しい攻防戦を繰り広げる中、12月24日が訪れる。ドイツ兵の元テノール歌手ニコラウスは皇太子の前で妻のソプラノ歌手アンとともに歌を披露し、2人は戦場に向かった。夜、各国の兵士たちはそれぞれにクリスマスを過ごしていたが、ドイツ軍の塹壕ではクリスマスツリーを飾りたて、ニコラウスが高々と素晴らしい歌声を響かせた。そして、それに呼応するように、敵軍であるスコットランド兵がバグパイプを響かせ、やがて、3国の隊長たちが戦場の真ん中で一夜限りの停戦を呼びかけ奇跡の夜が訪れる・・・という物語。

この映画、とりあえず邦題があまりにも微妙です。まず、戦場で歌うのはオペラの曲じゃないし、戦場で歌うってのはこの映画の中でもそれほど重要な部分でもないし。タイトルによって誤解されがちな隠れた名作「恋はハッケヨイ」や「ベッカムに恋して」以来に邦題が大失敗だと思います。「戦場のメリークリスマス」が一番似合うタイトルですけど、これはもはや使えないですからねぇ。

この映画の良かったところ、それは3つの国の兵士達それぞれを丁寧に描き、常に中立の視点で映画が進むところ。激しい攻防戦が描かれる前半では、戦争という行為の悲惨さをどちらが敵とか味方とかといった視点ではなく、兵士たちそれぞれの人間ドラマとして描き出し、それがあるからこそ、後半の奇跡的な展開が、ググッと胸に迫ってきたように思いました。もっともっと感動的に描くこともできたのではないかと思いますが、常にちょっと引いた視線で描かれていたのも、個人的には良かったです。戦場における英雄的行動やその悲惨さを描く映画は沢山あるけれど、この作品のように一人一人の兵士が「人間」であることを実感させて、暖かく優しい気持ちにさせる映画はそうそうないと思います。

戦場で戦っている兵士達だけれど、同じ歌に感動し、同じ神を信仰する仲間なわけで、彼らにも愛する家族があり、自分の帰りを待っている人がいるということに気づいたとき、果たして彼らはこれまでのように敵同士でいられるのでしょうか。だったらそもそも何故戦争が?と思ってしまうほどの美談で、やはりというか、最後には、それなりの厳しい現実も描かれていたのも、とても印象的でした。

ドイツ軍をとりまとめている中尉をダニエル・ブリュールが演じているんですけど、彼、これまでの役どころは繊細な若者のイメージしかなかったので、今回はかなりのイメージチェンジ。厳しい上官を演じていて、ちょっと違和感まで感じてしまうほど。でも、彼の出る映画は良い作品ばかりですね。

殺伐とした世の中で、こういう実話が存在しているということを知ると、人間って悪くないよねと改めて実感できるとともに、今もなお、世界中で戦争が続いているという現実が改めて哀しくなる。そんな映画でした。

で、あれほどまで大胆な口パクだと、逆に感動が薄れてしまうんですけど・・・っていうツッコミもしっかり忘れずに!

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