映画「バットマン・ビギンズ」
「バットマン・ビギンズ」 2005年 アメリカ
年末に見ようと思っていたところ、意外と長かったので、2度に分けて年をまたいで見てしまいました。
タイトルが示すとおり、バットマンの誕生までと、その最初の活躍を描く映画。井戸に落ちてコウモリに襲われて以来、それがトラウマになってしまった少年ブルース・ウェインが主人公。彼は、ある日、街中で、都市の最大有力者であった両親が目の前で強盗に殺されてしまう。月日が経過して、大人になったブルースは犯罪と向かい合うために、修行の旅に出て、やがて、アジアでの不思議な出会いを経て、生まれ育ったゴッサムシティに戻ってくる。犯罪者達の闇の世界に支配されてしまった腐敗した都市を救うため、彼は、自らの恐怖の象徴であったコウモリの姿を借りて、「バットマン」として立ち上がるという物語。
うーん、世間では評価が良いらしいですけど、自分はやっぱりバートン派かなぁ・・・。
変にシリアスに作りすぎている気がしました。アメコミの映画ではあるものの、心理劇とリアルさを追求したクライムアクションで作りこむことで、「子供っぽさ」を排除している作りなんですが、これまでのバットマンのイメージがボロボロに崩れ去る感じの映画です。ていうか、バットマンは「科学忍者」だったんだね、っていう。
この路線だとさ、もはやジョーカーとかも普通の人なんだろうね。続編希望しません。自分の中のバットマンはさ、こういう「リアル」な人間じゃないんですよ。これだと、バートン版のファイファーさんのキャットウーマンとか有り得ないキャラになっちゃうしね。このビギンズは個人的にはなしかなぁと。ヒーロの特殊能力のネタバレは、こういうリアル路線だと逆にリアルさがなくなるようにも感じました。
自分のなかではティム・バートンが直接手がけた2本がバットマン映画の最高傑作で、とても大好きな作品。ゴッサムシティはダークなんだけど、ファンタジックなあの世界観のほうが好きなんですよ。どこぞのNYの真似っ子都市ってのはやっぱり味気ないです。今回の「ビギンズ」は大人向けの作品などと評されているようですが、バートン版はおもちゃ箱をひっくり返したような演出が印象的ではあるものの、決して「子供向け」でもなかったと思うんだけどなぁ。
もっと「夢」とブラックユーモア、そして、バートン特有の異形のものへの愛にあふれたバットマンが自分の中で完全に定着していたので、今回は違和感を感じまくってしまいました。バートンだったらどういう「ビギンズ」を撮ってくれたのかなぁなんて思ってしまったくらいです。「闇」の描き方が上手いバートン版は、バットマンよりも悪役さんたちのほうが目立ってたのも事実ですが、それと同時に、バットマン自身の闇も感じさせてくれる作品だったと思います。
しかしながら、今回の「ビギンズ」、出演者たちは何気に豪華です。個人的には、ゲイリー・オールドマンのうだつの上がらない感じのメガネ警部がかなりツボ。どこかで狂って実は黒幕でしたとならないかとハラハラ(笑)。あと、モーガン・フリーマンの出演も知らなかったので、いきなりの出演にかなりビックリしてしまいました。執事を演じるマイケル・ケインも相変わらず味のある演技を見せてくれました。ワタナベ氏はなにやらよく分からない役どころでしたね。
あと、2時間半がちょっと長かったです・・・。もっとすっきりまとめてもいいのになぁと。
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コメント
これは、深い悲しみを持っているクリスチャン・ベイル演じるバッドマンに魅了されました。
確かに、バートンに比較すると、バッドマンらしさというかダークな感じが薄れているように思えますが・・・
脇を固めている役者さんに感動しました(渡辺謙だけは??でしたが)
投稿: D | 2007年1月14日 (日) 21時34分
>Dさん
コメントどうもありがとうございます!
これまでのバットマンシリーズとあまりに雰囲気が違ったので
その違和感がぬぐえないまま最後まで見てしまったために
どうも馴染めなかった作品ですが、
これまでのバットマンと切り離して新しい作品だと思えば
芸達者な出演者たちの豪華共演も見事だし
他のアメコミ映画とは一線を画す深い作品だったとも思うのですが
やはり「バットマン」はバートン版が好きなので・・・。
という複雑な作品でした。
投稿: ANDRE | 2007年1月15日 (月) 13時22分