映画「プリティ・ヘレン」
- RAISING HELEN - 2004年 アメリカ
なぜか知らないけれど、原題を無視して日本において「プリティ・シリーズ」という謎のシリーズ化が進められているゲイリー・マーシャル監督×ブエナビスタ配給の作品の1つ。もはや「プリティ」ってのを主人公の名前にかけるようなネタ切れ具合ならばいっそのこと違う邦題つければぁなんて思いつつ、今回はちょっと深いテーマも感じられて、このシリーズとしては異色作。
NYのモデル事務所で働く独身キャリアウーマンのヘレンはある日、3人姉妹の長女の姉夫婦が事故にあい亡くなったという知らせを受ける。彼女には3人の子供がいて、誰もが、すでに結婚して子供達もいるしっかりものの次女が親権を得ると思っていたのだが、長女の残していた遺言には有事の際には子供達の親権はヘレンに与えるとの記述が。こうしてヘレンは、突如として、それまでの生活を全て失い子供たちとの生活を始めることになって・・・。というストーリー。ヘレンと子供達の学校の校長先生との恋愛を絡めながら物語は進む。
「母性に目覚める主人公」を描くのかと思いきや、実は姉妹の物語というカラーのほうが強い作品でした。
物語はこれでもかというくらいに、「お決まりのパターン」で展開していくので、特に目新しさはありません。しかも、「突然の子育て」に加えて、「主人公の恋」、「主人公のキャリアウーマン物語」、「姉との確執」など割とあれもこれもと詰め込んでいるので、エピソードによっては弱冠、中途半端さが否めない印象です。こういうのって日本のテレビドラマみたいに全12話とかで描けばもっとまとまるような気がします。
主人公は所帯じみて、口うるさい次女のようにはなるまいと思い、さらに子供達に嫌われないようにするあまり、「母親」になるのではなく、あくまで、「友達」のような接し方しかできない。それを見て、常に良き妻であり母である次女は何故自分ではなく妹に親権が与えられたのかが全く理解できずモヤモヤした気分になってしまう。この映画は、表向きこそ、キャリアウーマンが突如子持ちになってしまったことを明るく描く作品ですけど、実際はこの姉妹のお互いへの理解が全編を通して強く描かれていて、その点はなかなか面白い作品でした。
で、そんな部分はラストのまとめかたにもよく出ていて、それまで出てきた様々なテーマの数々がどうなったのかがはっきりと示されることのないまま、姉妹の物語をまとめてることで、物語がそのまま終了してしまったので、他のテーマに関してはやや消化不良気味。その後どうなったの?というのがとても気になってしまいました。これは逆に言えば、姉妹エピソードが結構良い感じで描かれているだけに他の部分が印象薄いのがもったいないとも言えます。
あと、意外にもコメディ的な要素が少なくて、かといって、ハートウォームな演出が多用されるわけでもないので、その辺も弱冠パンチが弱い気がしました。
という感じで、真面目に見てしまうと、ちらほらといろいろと気になってしまう部分も多い映画なんですが、主演のケイト・ハドソンの笑顔が終始まぶしいほどにキラキラしている作品なので、見ているだけでなんとなくこちらも前向きな気分になれる映画です。とりわけ、主人公のデート場面の映像は一瞬なんですけど、本当に楽しそうで見ているこちらも笑顔がこぼれるような場面でした。
そうそう、動物園の場面でいきなりS&Gの「At the Zoo」がBGMってのはあまりに安易な気が・・・。
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