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2007年1月19日 (金)

「笙野頼子三冠小説集」

「笙野頼子三冠小説集」 河出文庫

芥川賞、三島賞、野間賞と史上唯一の新人賞三冠に輝く笙野さんの、その三作品を収録した文庫本。自分は芥川賞受賞の「タイムスリップ・コンビナート」の大ファンなので、同じ頃に書かれた作品を読めるということでとても楽しみにして読みました。

収録されてる三作品は・・・

「タイムスリップ・コンビナート」
ある日突然、マグロからかかってきた1本の電話で、海芝浦の駅に向かうことになった主人公を描く作品。「コミュニケーション」の妙、都会から工場地帯へと移り変わる車窓、そして、めくりめく妄想世界がなんとも心地よい作品。

「二百回忌」
先祖の二百回忌の法事の日、これまでに亡くなった先祖や親戚が蘇り、一族が一同に会するその会場で、破天荒な出来事の数々に遭遇する主人公を描く作品。とにかくイメージの爆発!というような雰囲気の展開と「家」という存在を問いかける力作。

「なにもしてない」
一応ワープロに向かって物書きをしてはいるけれど、世間からみればナニモシテナイ主人公は、世間が天皇即位の儀で盛り上がる中、接触性湿疹が悪化し、手がゾンビのように変化し始める。「引きこもり」の主人公の接触性の病気が社会との接触とかけあわされて描かれる物語。

やっぱり、「タイムスリップ・コンビナート」は面白い!何気に僕の持ってる「タイムスリップ~」の文庫本は直筆サイン本だったりします!!以前笙野さんの講演会にて、その創作にかける思いを聴いたことがあるだけに、いろいろと興味深く作品を楽しむことができました。

笙野作品はそこで語られるテーマはもはやあまりの深さに僕はおいていかれっぱなしではあるんですけど、個人的には、天才的な比喩のセンスが本当に素晴らしいと思います。あとは、成り立っているようでちぐはぐで、無意味な言葉になってしまったりする会話のコミュニケーションのとらえ方がとても好きです。

あとは、やっぱり文章が上手い!しかも今回は、全面的に現代の笙野さんの文体での修正がなされていて、既読の「タイムスリップ~」でさえ、比べてみるとかなりの変更箇所が確認されて、ますます、流れるような文体が洗練されている印象です。

どの作品でも主人公が何か不条理な存在(たいていの場合、それは何かの比喩)と対峙するような状況が描かれるんですけど、それをイメージの氾濫とコミュニケーションの崩壊が感じられる世界でj見事に描くあたりがやっぱりお気に入りでした。

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