映画「スパニッシュ・アパートメント」
l'auberge espagnole 2001年 フランス&スペイン
この映画、公開中からずっと見たくて、その後も実は過去2回レンタルしてきたものの、2回とも見る時間がとれずに返却していて、返却のたびに、すぐまた借りるのもなんだかなぁという思いがあって、我慢してきたので、本当に、本当にようやく見ることができた作品です。
主人公グザヴィエは、大学を卒業し、父親のコネで役所の高官と面接。そこで、スペイン経済を学ぶために1年間の留学をするように勧められる。恋人をおいて、大学院で経済学を学ぶために単身パリからバルセロナへ渡ったグザヴィエは、紆余曲折の末、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、デンマークと様々な国籍の若者がルームシェアをしている部屋に入居することになり、やがて、アパートにはベルギー人も加わることに。アパートの仲間たち、スペインで知り合ったフランス人の新婚夫妻、パリにおいてきた恋人などとの日々を通して大人になっていく主人公の1年を描いた作品。
期待の大きかった映画ですが、それを裏切られることなく、非常に楽しめました。
もっと異文化交流の若者が入り乱れてのドタバタコメディ色が強いのかなぁとも思ったんですが、そういうわけでもなく、彼らが、お互いの文化を尊重して、触れてはならない部分には触れず、騒ぎたいときには一緒に騒ぎ、落ち込んだときには一緒に落ち込みという、まさにもっと普遍的な「若者のルームシェアリング」の映画でした。あと、ルームシェアの人々の話からそれて、主人公の恋愛話も結構な時間をとって描かれていて、その部分が御気楽な雰囲気が全く感じられないので、全体に上手くバランスがとれてて見やすかったです。
それぞれのキャラクタが非常によく練られていて、正直2時間では、全員のキャラクターが生かしきれてないように思いました。後半、アパートの住人が皆で仲間のイギリス人女性を助けようと奮闘する場面があるのだけれど、この場面は本当に楽しくて、主人公の1年間、もっともっと色々なことがあったんだろうなぁと思うと、TVシリーズでじっくりと楽しみたいなぁなんて思ってしまう作品でした。若者ルームシェアだと「フレンズ」があまりに有名だけれど、この映画はそこに「全員が違う国籍」というエッセンスを加えているので、もっともっと面白くなるんじゃないかなぁなんて思います。
個人的には、空気の全く読めないイギリス女性の弟がお気に入り。
さて、この映画、イギリス女性が他の同居人たちからはちょっと離れた立場にいる存在。これってまさに「EU」そのままです。さらに、彼女がアメリカ男との情事を楽しみ、その結果起こった事件を皆が助けるっていうのが、世界情勢を皮肉っているようで、実はなかなか上手くできた設定なのだと思います。そうそう、この家での標準語は英語なんだね。スペインで暮らしてるんだからみんなでスペイン語話すってわけじゃないのもなんだか面白い設定。
あんな生活、一度でいいからやってみたいなぁ、楽しいだろうなぁと思わせてくれる作品で、主人公の成長も心地よくて、とても面白い作品でした。
あと、グエル公園やらサクラダファミリアをはじめとして、バルセロナ名所案内みたいな雰囲気もあって、普通にバルセロナに行きたくなりました。ガウディ最高!
さらに、一言付け加えると、テーマ曲的に流れるレディオヘッドがナイス選曲でした!!
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