「イギリスだより」 カレル・チャペック
「イギリスだより」 カレル・チャペック ちくま文庫
ロボットの語源にもなった戯曲「R.U.R」などで知られるチェコの作家チャペックの旅行記シリーズが連続して文庫化するそうで、その第1弾として発売された1冊。イギリス好きとしては見逃せないタイトルです。
20世紀前半、英国のペンクラブの招待を受けて、ドーバーを渡ってイギリスにやってきたチャペック。ロンドンからはじまり、オックスフォードなどイングランドを回った後に、スコットランドへ、湖水地方なども訪れて再びロンドンへと戻り帰国するまでを、直筆のイラストを多く交えて書いた旅行記。
かつて自分がイギリスを旅行したときのことを懐かしく回想しながら、やっぱりイギリスは良いよなぁなんて思って読みました。
3週間近く滞在したことがあるだけ(しかも全部観光のみ)ですが、基本的にここで描かれているイギリスは今のものとそう変わらないように思います。読みながら、「確かにそうだった!」なんて頷きながら読む感じです。
作家の書く旅行記ということで、イギリス社会に関する深い洞察なんかがあるのかと思いきや、もっともっとラフなスタイルの旅行記で、個人的なイギリスへの感想がつらつらと述べられているだけなのが、物足りないような気もするけれど、気軽に読める感じで良いです。
僕が一生に一度は絶対に訪れたいと思っていて、1週間も滞在してしまった湖水地方に関しても懐かしい地名の数々が名を連ねて、当時の思い出がありありと蘇ってきました。頭をぶつけて気分が悪くなり救急病院で何時間も待たされたこととか・・・。
随所に挿入されている作者本によるイラストも、決して上手くないものの、味わい深くて、なかなか必見です。
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