映画「トンマッコルへようこそ」
웰컴 투 동막골 Welcome to Dongmakgol 2006年 韓国
面白そうだなぁと思っていた作品がレンタル開始ということで早速観てみました。
韓国軍&国連軍と人民軍が激しく戦闘をしていた朝鮮戦争真っ只中の1950年、1人のアメリカ軍の兵士が乗った戦闘機が墜落し、彼は、山間にある小さな村、トンマッコルの住民達に助けられる。時を同じくして、人民軍と韓国軍の兵士達数名がトンマッコルへと迷い込む。最初は村の中で一触即発の緊張状態となった兵士達だったが、やがて、ひょんなできごとをきっかけに、緊張が緩和され、武器など見たこともない素朴で純粋なトンマッコル人々との交流の中で、兵士達も次第に交流を深めて・・・。という物語。
ファンタジーなんだけど割としっかりと反戦メッセージがこめられていて、個人的には、ちょっとメッセージ性が強すぎる気もしました。もともと舞台の作品ていうのもあるかもしれないですが。
争いを好まないトンマッコルという村が本当に桃源郷のような素晴らしい村として登場して、そこで兵士達が交流を深めていく姿は、見ていてとてもすがすがしい気分になるんですけど、終盤、再び、彼らが戦場へと戻るときに、舞台となっている当時というよりか、もっともっと現代の世界情勢に向けてのメッセージがかなり前に押し出される展開になってしまって、ちょっと興ざめというかなんというか・・・。そして、途中で出てくる、結構ショッキングな展開が、この映画を単にトンマッコルを舞台にしたファンタジーではないということを強く印象づけさせるんですが、個人的には、このような展開でそう持っていくのはあまりに、ダイレクトすぎるという気がしてしまいました。
この映画を見ていて感じたのは、朝鮮戦争が、同じ言葉を話し、同じ文化の中で育った人々の間での戦闘だったんだなぁということでした。それだけに、お互いを理解しわかりあうのは簡単なはずなのに、闘わなければいけないという不条理な状況に胸が痛みます。
ラストの展開を見ると、「平和」はもはやファンタジーの世界にしか存在しないのかとさえ思ってしまう作品だったのも、美しい映像ではあったものの弱冠後味が悪かったです。エンドクレジットにはいる前の8ミリで撮影した感じの笑顔の映像もとても良い映像であればあるほど、落ち込む感じですね。
作中で、兵士達の交流のきっかけとなるエピソードとして、イノシシとの戦闘があるんですが、このシーン、どう見ても「スウィングガールズ」を思い出さずにはいられなくて、すごく良い場面のはずなのに一気にコメディ映画な気分になってしまったり・・・。
戦時下の敵同士の交流と言うテーマの作品で言えば、「戦場のアリア」のほうが、人間の温かさを感じさせてくれて、観た後に心がほっとあったかくなる感じがあったように思います。
そうそう、この映画、音楽が久石譲で、終始それがジブリを彷彿とさせて、ファンタジックな村の映像に非常にマッチしていたように思います。
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