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2007年4月18日 (水)

「愛する源氏物語」 俵万智

「愛する源氏物語」 俵万智 文春文庫

源氏物語に関する本はたくさんありますが、こちらは、その中でも「和歌」に焦点を絞った1冊。歌人の俵さんが著者ということで、ちょっと気になって購入。

平安時代の恋愛は和歌に始まり、和歌に終わると言っても過言ではないものの、源氏物語を読むときに、歌の部分を現代語訳するのは難しく、結果、我々現代の読者には色々と分かりづらい部分が多いのですが、この本は、源氏物語の冒頭から順に物語を追って解説しながら、様々な場面で詠まれる歌の数々を俵さんが現代語の31語の歌に翻訳し、さらに、その歌を読み解くための解説を非常に分かりやすく、丁寧にしてくれるという内容です。

これまで、自分も何度か色々な人の翻訳で源氏を読んだことがありますが、やっぱり、歌の部分はとっつきにくいこともあって、なんとなく流してしまって深く味わっていませんでした。しかし、この本を読んでそれを大後悔。歌、かなり面白いじゃないですか!!ていうか、歌を軽く見ていた自分は、源氏の何を読んでいたんだ!くらいの勢いじゃないですか!

この本を読むと、紫式部がそれぞれのキャラクターの性格に合わせて、色々な特徴や癖を持たせた歌を詠ませていることがよく分かり今まで見過ごしていた源氏の魅力を再発見しました。また、歌を読み解くことから、そこに隠された複雑な恋愛模様を読み取るというような作業も非常に面白い!

面白かったのは末摘花はその容姿が悪いことで有名だけれど、彼女の詠む歌もまた、見事なまでに下手だということ。この本では、なんと2章も使って、その歌の下手さをじっくりと解説しています。とりあえず色々な手法を取り入れただけの酷い内容だとか、作中で詠む歌のうちの半分が同じ言葉を使っていて、かなりのボキャ貧だとか言うことが説明されていて、紫式部の手の込んだキャラクター設定にむむむと唸ってしまいました。逆に六条さんは非常に上手い歌を詠むらしいです。あと、歌が下手つながりで、女三の宮の歌について書かれた部分もかなり興味深かったです。

あとは、歌の内容から、そこに隠された恋の駆け引きをどのように読み解くかというのをかなり丁寧に書いていて、その中に見え隠れする俵さんの恋愛観を読むのもなかなか楽しい1冊です。

これから読まれる方は、一度、源氏物語を何かの形で読まれることをオススメします。もし、既に読んだことがある人ならば、本当に、非常に面白くてかなりオススメの1冊。俵訳の源氏とか出してくれないかなぁ。

これを読んだら、源氏が読みたくなりました。次読むときは、和歌の部分を深く深く味わって読もうと思います。ちなみに僕は昔から朝顔の君ファンです。

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