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2007年5月

2007年5月28日 (月)

「チルドレン」 伊坂幸太郎

チルドレン (講談社文庫 (い111-1))

チルドレン

伊坂幸太郎

講談社文庫 2007.5.

すっかり大ファンになってしまった伊坂幸太郎の文庫最新作です。これまでは長編作品ばかりでしたが、今回は、連作短編集(でも気分は長編)になっています。

5作品収録されているんですが、どれにも共通しているのは、陣内という男が登場すること。年代も様々で、脇役で登場する陣内が学生だったり、家裁で調査官をしていたり。それぞれが独立した短編として成り立っているんですが、それに加えて、全編を通して読むと、ちょっと謎めいた陣内という男の人生の一部が垣間見えてくるというしかけになっています。

確かに面白かったけれど、これまでの伊坂作品と比べてしまうと、どうしても物足りない感じがする作品でした。

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2007年5月26日 (土)

映画「みえない雲」

みえない雲

Die Wolke

2006年

ドイツ

どうも、最近すっかりドイツ映画ファンのANDREです。昨年末頃公開されていて、映画館で見たいなぁと思っているうちに公開が終わってしまった作品が、DVD化したということで、早速見てみました。

主人公は高校3年生の少女ハンナ。小学生の弟と母と3人で暮らす彼女はごく普通の女子高生。最近、どうやら転校生の少年エルマーが自分のことを気にしている様子だったのだが、ある日、エルマーに呼び出されて行ってみると、突然の告白、そしてキス。しかし、その瞬間、突如けたたましい警報があたりに鳴り響く。近郊にある原子力発電所で事故が発生、大量の放射能が漏れ出したのだ。一気にパニックに陥った町の中、ハンナはエルマーと合流する約束をし、自宅へと戻った。次々と車に乗って近所の人々が逃げ出す中、原発のあるすぐ近くの町に出張で出かけた母からの連絡を待ち、家で待機するハンナ。やがて、彼女は弟を連れて自転車で逃げるのだが・・・。という物語。

このように書くと、原発事故を描くパニック映画なんですが、この作品のポイントは、こういう題材を扱いながらも、徹底して「青春映画」であること。物語後半は、原発事故後の主人公達が描かれ、事故によって訪れた様々な悲劇に直面しながら、力強く、愛をはぐくむ若い恋人達の姿が描かれます。

原作は、チェルノブイリの事故の翌年に出版され、ベストセラーになった小説ということで、予想をはるかに越えて、衝撃の多い作品で、本当に色々なことを考えさせられました。こういう映画ながら、ラストの余韻がとても爽やかだったのが非常に嬉しいですね。

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2007年5月25日 (金)

映画「アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵」

アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵

Mon petit doigt m'a dit...

2005年

フランス

英国のミステリの女王アガサ・クリスティーの原作をフランスで映画化した作品。原作は、トミーとタペンスという夫婦が活躍する「おしどり探偵」シリーズの中の「親指のうずき」です。主なストーリーはかなり原作に忠実に展開しますが、フランスの作品なので、人名が全てフランス風に変更されていました。

舞台はフランスの田舎町。大きな屋敷で悠々自適な生活を送っている国防省勤務のベリゼールと好奇心旺盛なその妻プリュダンスは、ある日、ベルゼールの叔母を訪ねて、彼女の暮らす老人ホームへと向かう。そこでプリュダンスは、ホームに入居している不思議な老女ローズに「あれはあなたの子供だったの?」と不可解な質問をされる。

それから、数週間後、叔母が亡くなったとの知らせを受け、夫妻は再び老人ホームへ。叔母の遺品の整理をしているとき、プリュダンスは1枚の絵を発見する。森の中に佇む一軒の家を描いたその絵を見て、彼女は、その家をどこかで見たことがあるような気がして、叔母がどこでその絵を手に入れたのかを尋ねると、先日出会ったローズが叔母に贈ったものであることが発覚。しかし、そのローズは数日前に突如、老人ホームを去っていた。とりあえず、その絵を持ち帰ったプリュダンスは、不思議な老婦人ローズと絵に描かれた家のことがどうしても気になり、あきれる夫をよそに1人調査を始めるのだが・・・。という物語。

ミステリーなのですが、連続殺人を解決するとか、複数の容疑者から犯人を捜すとかいう類の作品ではなくて、1枚の絵と老婦人の失踪を調査して、やがて、とんでもない事実が発覚するという作品。中盤以降は、怪しげな村が舞台になって、ちょっと横溝チックな雰囲気も感じられる展開でしたが、全体にとても軽い作品なので、気軽に楽しめました。

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2007年5月19日 (土)

映画「ルディ」

ルディ

Rudy

1993年

アメリカ

面白いという評判をよく聞く作品なので、見てみたかった映画です。

主人公のルディは、家族揃ってアメフトのファンで、少年時代から名門のノートルダム大学のチームに入りたいとの夢を抱いていた。しかし、家の経済状況も良くなく、高校での成績も良くなかったルディは大学進学を諦めざるを得ず、父や兄の勤める青銅工場に就職する。しかし、ある事件をきかっけに、もう一度自分の夢を叶えようと、ルディは、それまでの貯金を手に、ノートルダム大の門を叩く。果たして、ルディは無事ノートルダム大に入学することができるのか。そして、背が低く、身体能力もそれほど高くないルディはフットボールの選手として迎え入れられるのか・・・。という物語。

直球ストレートの熱血ドラマですねー。かなり泣けます!!そして、「夢を諦めない」ことの素晴らしさをこれでもかというくらいに見せ付けてくれる作品でした。

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MONET 大回顧展モネ

MONET 大回顧展モネ@国立新美術館

今週はひょんなことから、スケジュールにかなりの余裕ができたので、かねてから行こうと思っていた展覧会へ行ってきました。

行ったのは5月17日の木曜の昼。こんな何にもないあまりにも平日の昼時は空いているだろうと思って行ったんですけど、会場には並びこそしないものの、そこそこの人が集まってて、ゆっくりと絵を見ることができる雰囲気ではなかったのがちょっと残念。

ちなみに、話題の国立新美術館は噂に違わずガラス張りの立派な建物でした。しかし、地下鉄を降りる際に、直結してる出口とは反対側の出口に出てしまったため、美術館にたどり着くのにかなり時間がかかってしまいました・・・。六本木界隈は道がややこしい。

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2007年5月18日 (金)

舞台「夏の夜の夢」@ITCL

「A midsummer night's dream」
International Theater Company London
2007.5.14

高校時代の友人に誘われて、演劇の公演を見てきました。

イギリスから来日して、全国を巡回する劇団によるシェイクスピアの「夏の夜の夢」。自分が見たのは日本公演初日で早稲田大学の講堂にて行われた公演。初早稲田なので、大学そのものもワクワクしながらぐるぐると見てしまいました。

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「オクターヴ」 田口ランディ

オクターヴ

オクターヴ

田口ランディ

ちくま文庫 2007.5.

原題が「7 days in Blai」だった作品を改題して文庫化したものが先日発売になりました。2~3月にバリ島に行って以来、すっかりその魅力に魅せられてしまったので、バリが舞台というだけで無条件で読んでみました。ちなみに初田口ランディ作品。

主人公は音大を出て、現在はライターをしているマホ。彼女は音大時代の友人ミツコが行方不明になったことを知り、ミツコを知る友人達にその消息を尋ねるが、彼らはミツコの存在すら忘れてしまっていた。彼女の消息を示す唯一の手がかりはミツコがバリ島からマホに送った3通の手紙だけ。それを頼りに、マホは1人バリ島へ向かう。彼女がバリ島で体験した神秘的なできごとの数々が描かれていく物語。

うーん、ところどころオッと思う台詞や文が散りばめられているんだけど、内容が・・・。

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2007年5月11日 (金)

「家なき鳥」 グロリア・ウィーラン

家なき鳥

家なき鳥
(Homeless Bird)

グロリア・ウィーラン  Gloria Whelan
(代田亜香子 訳)

白水uブックス 2007.4.

以前は同時に3冊発売なんてこともあったのに、最近は月に1冊でるかどうかという状況のuブックスの海外小説シリーズですが、やっぱり面白い作品が多いなぁというのを改めて実感できる1冊です。

舞台はインド。主人公コリーはキルトの刺繍が得意な13歳の少女。彼女は家が貧しいこともあり、13歳にして顔も知らぬ少年のもとに嫁ぐことになる。しかし、夫となった16歳のハリは難病を患っており余命いくばくもない状態。一家は花嫁の持参金を治療費にあてるためにハリを結婚させたのであり、お金さえ手に入ればコリーにはもう用はないも同然。そして、ハリは間もなく亡くなり、コリーは未亡人となってしまう。義妹や義父はそんなコリーに優しく接するが、義母からの厳しい仕打ちが続き、そんな中、次々と不幸な出来事がコリーの身に降りそそいで・・・という物語。

上記のあらすじを読むと、なんだかとても悲劇の物語なんですが、意外にも暗い雰囲気はなく、読後感も非常にすがすがしい1冊でした。

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2007年5月 7日 (月)

映画「ロシアン・ドールズ スパニッシュアパートメント2」

ロシアン・ドールズ スパニッシュ・アパートメント2

Les Poupées Russes

2005年

イギリス・フランス

名作「スパニッシュ・アパートメント」の続編。前作の5年後が舞台ということで、主人公達がどのようになっているのか期待しながら観てみました。

5年前、1年間のスペイン留学でヨーロッパ各国から集まったルームメイトたちと楽しい日々を過ごしたグザヴィエももう30歳。ある日、スペイン留学時代の仲間の弟がロシア女性と結婚することになり、かつての仲間たちが久々に集うことになる。駆け出しの作家としてそこそこに活躍をしている主人公は、30歳を目前に自分の1年を振り返るのだが・・・。という物語。祖父からは早く結婚相手を見せて欲しいとせがまれるも、真の相手に出会うことなく様々な女性との情事を楽しみつつも悶々とした日々を過ごすグザヴィエの青春を描いた作品。

「スパニッシュ・アパートメント」の続編ということで、あのワイワイガヤガヤした雰囲気を期待したのですが、もっともっとリアルな続編でした。

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2007年5月 6日 (日)

映画「舞台よりすてきな生活」

舞台よりすてきな生活 ディレクターズカット版

How To Kill Your Neighbor's Dog

2000年

アメリカ・ドイツ

劇場公開されてるときから見たいなぁと思ってた作品(毎回同じ前置きな気がしてきた)。シェイクスピア映画でおなじみのイギリスの巨匠ケネス・ブラナーが主演ということで、結構楽しみにしてました。

主人公はLAで活躍する英国人劇作家ピーター。怒れる若者として80年代に演劇界の寵児として名を馳せたピーターは大の子供嫌い。最近の悩みは子供を欲しがる妻と毎晩鳴き声がうるさい裏の家の犬のこと。ある日、隣に脚に障害を持つ少女エイミーが引っ越してくる。子供が欲しい妻は、エイミーの母が働きに出てる間の子守を買って出るのだが、自宅に子供がやってくるやピーターは離れの書斎に閉じこもる始末。そんな折、舞台用に書いている新作に登場する子供にリアリティがないと非難されたピーターはエイミーの言動を観察し始めるのだが・・・。という物語。

邦題を見ると、ハートウォームな物語かと思うんですが、原題「隣の犬を殺す方法」を見て分かるように、この映画、心温まるヒューマンドラマからは程遠い、ブラックジョークのきいた大人向けのコメディでした。とにかくケネス・ブラナーが偏屈オヤジを熱演。

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2007年5月 5日 (土)

映画「マッチポイント」

マッチポイント 初回限定版 (特別ブックレット付)

Match Point

2005年

イギリス・アメリカ

 

ウディ・アレン作品は苦手なものが多くて割と避けてるようなところがあるんですけど、今回は舞台がイギリスになったこと、スカーレット・ヨハンソンが良さそうな感じだったこと、監督さん本人が出演してないこと(俳優としてあまり好きじゃない)もあって、観てみることに。てか、舞台がロンドンてのが一番の理由だね。

主人公クリス・ウィルトンは、プロのテニスプレイヤーを引退し、ロンドンの会員制テニスクラブのコーチを始め、彼はクラブの会員である財閥一家の長男トム・ヒューイットと知り合い、交流を持つようになる。やがて、クリスはトムの妹クロエと恋仲になり、ヒューイット家の婿としてふさわしい地位として、ヒューイット家の父が経営する会社の重役のポストを与えられるようになる。そんな中、クリスはトムの婚約者であるノラと出会い、その妖艶な魅力にひかれ関係を持ってしまう。やがて、クリスはクロエと結婚。ノラのことを忘れることができないクリスであったが、もはや大財閥であるヒューイット家の一員としての生活を捨てることはできず、愛と名誉の板ばさみになって・・・。という物語。

結構面白かったです☆ちょっと大人のラブストーリーを期待してたんですが、蓋を開けたらジャンルすら違ってました。

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2007年5月 2日 (水)

「鼻・外套・査察官」 ゴーゴリ

鼻/外套/査察官  「鼻・外套・査察官」 ゴーゴリ 光文社古典新訳文庫

相変わらず、目の離せないラインナップが続いている古典新訳文庫ですが、その中でもとりわけ注目度が高かった1冊をようやく読みました。

表題どおりロシアの文豪ゴーゴリの短編を2篇と戯曲を1篇収録。

「鼻」
ある日のこと、突如、鼻が街を歩き始める。自分の鼻がなくなったことに気づいた男は・・・。

「外套」
うだつの上がらない下級役人が外套のほころびをなおそうと仕立て屋を訪れると、しきりに新しい外套の購入を勧められて・・・。

「査察官」
舞台はとある田舎町。ぺテルブルグから役人が査察にやってくると聞いて、市長や判事、病院の院長など町のお偉いさんたちは大混乱。たまたま町にやってきた下級役人を勝手に査察官と勘違いしてしまった彼らは・・・。

この本、画期的なのは全編を落語調で翻訳したところ。江戸っ子言葉で読者に語りかけるようにして進む噺は本当に面白いんです!名訳だと思います。

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