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2007年5月28日 (月)

「チルドレン」 伊坂幸太郎

チルドレン (講談社文庫 (い111-1))

チルドレン

伊坂幸太郎

講談社文庫 2007.5.

すっかり大ファンになってしまった伊坂幸太郎の文庫最新作です。これまでは長編作品ばかりでしたが、今回は、連作短編集(でも気分は長編)になっています。

5作品収録されているんですが、どれにも共通しているのは、陣内という男が登場すること。年代も様々で、脇役で登場する陣内が学生だったり、家裁で調査官をしていたり。それぞれが独立した短編として成り立っているんですが、それに加えて、全編を通して読むと、ちょっと謎めいた陣内という男の人生の一部が垣間見えてくるというしかけになっています。

確かに面白かったけれど、これまでの伊坂作品と比べてしまうと、どうしても物足りない感じがする作品でした。

この作品のメイン人物である陣内というキャラクターはいかにも伊坂作品に出てきそうな、自信たっぷり饒舌男で、彼をとりまく人間模様が描かれる作品なので、その辺りは伊坂節が全開でなかなか楽しめるんですが、一応「ミステリ」という体裁をとっている作品なのに、どれもこれも、真相がすぐに分かってしまって、意外性がなかったのが個人的には物足りなかったなぁと。

以下、収録5作品の簡単な感想を。

「バンク」
これが一番面白かった!突然銀行強盗に遭遇した主人公達の物語で、キャラクター紹介的にその後の別の短編に登場するキャラがとても生き生きと描かれていて、緊張感の中にユーモアもある楽しい作品でした。

「チルドレン」
2番目に面白かったのはこれかなぁ。家裁の調査員が少年の万引き事件を担当する話。人情ものとして楽しめました。

「レトリーバー」
これは真相がすぐに分かってしまったんだけれど、陣内というキャラクタが非常にうまく生かされていて、なかなか楽しい作品でした。

「チルドレンⅡ」
こちらは2話目の続編。ふたたび人情劇場的な物語ですね。

「イン」
謎めいたものが登場するんですが、それが、全く持って「謎」だとは感じられないネタで、すぐに真相が分かってしまうので、ちょっとじれったい作品でした。この話はもう、陣内の「あれ」を描くためだけにあるって感じですよね・・・。

ちなみに、この作品のなかでは第1話の主人公の鴨居くんが好きなキャラでした。

来月も伊坂幸太郎の文庫が出るんだよね。楽しみです☆

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コメント

こんばんは~♪
伊坂作品を随分読んで来ましたが、
これも以前にWOWOWでドラマになったものを観た後に読んだこと、
それなりに事件は起こるものの、何だか平和な雰囲気だったことで、
これまでと違った感触の残るものになりました。
特に、ミステリとして一番面白いはずの『バンク』と『チルドレン』を
ドラマで見てネタを知っていたのは少々残念でしたが、
それは仕方ないことですね。

陣内の個性と、彼に振り回される友人たちの会話が楽しく、
強い衝撃などはないものの、軽い味わいもいいな、と思った次第でした。
最近、『小説新潮』に掲載された短篇も、軽めで面白かったです。

投稿: 悠雅 | 2008年7月16日 (水) 23時02分

>悠雅さん

コメントありがとうございます!

これまでの伊坂作品とちょっと違ったテイストで
この感想を書いたときにはやや否定的に書いてるんですが、
「バンク」なんかはかなり面白いなぁと思います。

陣内は伊坂作品の中でもかなり印象深いキャラですよね。

魅力的なキャラクターたちの会話も大きな魅力で、
読んでるときには思い切り堪能してるんですけど、
伊坂作品には、ついつい大どんでん返しに
騙されることも期待してしまってどうもいけません。

投稿: ANDRE | 2008年7月17日 (木) 01時40分

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受信: 2008年7月16日 (水) 22時50分

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