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2007年6月10日 (日)

映画「奇人たちの晩餐会」

奇人たちの晩餐会

le diner de cons

1998年

フランス

先日から続いてるカトリーヌ・フロ出演作品を観よう!シリーズです。今回は主演じゃありませんが・・・。今までも存在は知ってたんですが、なんとなく、敬遠していた作品。しかし、観てみたら、思ってたのと内容が違った上に、この上なく面白い作品でした!

主人公のピエール(ティエリー・レルミット)は出版社の社長。彼の楽しみは毎週水曜に行われる晩餐会。そこでは毎回、参加者がそれぞれ、「これぞ!」と思ったバカな人物を1人招いて、そのバカッぷりを皆で観察し、影で批評しあっていた。そんなある日、ピエールは史上最強のバカ男ピニョン(ジャック・ヴィルレ)を発見する。しかし、その日の晩餐会を楽しみにしていたピエールだったが、不慮の事故でぎっくり腰になってしまい動けなくなってしまい、さらに妻は下らない晩餐会に興じる夫に愛想を尽かし出て行ってしまう始末。そんな窮地に陥るピエールのもとを、晩餐会に行くためにピニョンが訪れる。果てさて、2人はどんな夜を過ごすことになるのか・・・。という物語。

タイトルの感じだと、晩餐会にたくさんの変態がやってきて、みんなでバカ騒ぎする映画か、悪趣味な人々がブラックでシュールな笑いを楽しむホラーテイストの映画みたいな雰囲気ですが、全然違いましたねー。もともとが舞台作品だったっぽくて、全編を通してほぼアパートの1室のみで展開して、テンポの良い会話で笑わせてくれる作品です。

正直冒頭10分くらいはつまらないなぁと思ってたんだけど、電話のくだりで完全にノックアウト。あとは気づけばあっという間の80分でした。

驚くべきは、欧米の映画なのに、「ボケ」と「ツッコミ」の笑いだってこと!

この映画に登場するピニョン氏。「バカ」っていうと聞こえが悪いですが、要はメチャメチャ天然ボケでお人好しな人物なんだよね。彼のボケがあまりに激しすぎて、見ているこっちまで思わず「おいっ!」って突っ込みたくなるような場面の連続。しかも、来るぞ来るぞーと待ち構えてたところに気持ちよくそのボケが入るものだから、安心して笑えるコメディです。実際、こんな人がいたら迷惑だけど、ボケてボケてボケまくるピニョンは非常に愛らしいキャラクターだよね。

個人的には、友人が笑いをこらえまくって出たり入ったりするシーンがお気に入り。

というわけで、80分に及ぶ長大なコントを楽しんでいるような作品なんだけれど、特筆すべきは、実に無駄のない脚本だってこと。「因果応報」が非常に緻密に計算されてるし、登場するキャラクター一人一人が非常に上手く描かれてる映画です。

そもそも「バカを観察して楽しむ晩餐会」という倫理的にどうかと思われる設定なんだけれど、映画を見ている我々だって、結局はピニョンのバカッぷりを観察して笑ってるわけで、ふと我に返ると、見ている自分だって、ピエールと変わらないんじゃないかって感じてしまったり。そして、ピエールと一緒になって我々もピニョンのボケにイライラしてしまったり、あきれたり、突っ込んだり、そして、ラストはホロリとさせられるわけで、我々も登場人物と一緒になって、ピニョンの行動にふりまわされてたなぁと後で気づいて、改めて脚本の上手さに感心してしまいました。

ちなみに、当初の目的であったカトリーヌ・フロですが、割と小さな役で、あっさりとしてたんだけど、やっぱり、魅力ある女優さんでした。もっと彼女が活躍してくれても良かったけど、映画そのものは面白かったから大満足です。

あと、ひっそりとオープニングのアニメと歌も良かったね。

気持ちよく笑いたいときにオススメです!

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