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2007年6月18日 (月)

映画「プラダを着た悪魔」

プラダを着た悪魔 (特別編)

the devil wears Prada

2006年

アメリカ

昨年の話題作。映画館で見たかったんですけど、タイミングを逃してしまい、今回ようやく見ることができました。話題作にはがっかりすることも多いんですけど、これはなかなか楽しめる1本です!

主人公のアンドレア(アン・ハサウェイ)は大学を卒業し、ジャーナリストを目指しNYで就職活動中。とにかく出版関係の仕事をしたかった彼女は、ファッション誌「RUNAWAY」の編集長のアシスタントの募集に応募し採用される。ところが、編集長のミランダ(メリル・ストリープ)はファッション業界の重鎮で社内の皆が恐れる鬼編集長。かくしてアンドレアは翌日からミランダから命令される大量の仕事に追われることに。最初はチャラチャラしたファッション業界を甘く見ていた硬派なアンドレアだったが、業界の厳しさを目の当たりにし、ミランダの要求に応えるべく、必死で働くのだが・・・。という物語。

最初は冴えない娘だった主人公が、ファッション業界でもまれるうちに、どんどんオシャレな女性に変貌をとげていくんですが、だからと言って彼女が本当に輝く美しい女性になっているとは限らない。キャリアを追う中でプレイベートが犠牲になり、いつしか、自分自身を見失いかけるという映画では何回も語られてきたテーマではあるものの、非常にうまくまとまっていて、とても面白い作品でした。

ちなみに個人的には変身前のアンドレアのほうが好きです。

この映画、恋愛関連の話題も多少は出てくるものの、作品のテーマを徹底して「仕事」に絞っているので、1つの作品としてとてもよくまとまっていて、こういう女性のキャリア映画があれもこれもと詰め込んでお子様ランチ的になりやすい中で、ちょっと傑出した作品に仕上がっているように思いました。

鬼編集長のミランダを演じるメリル・ストリープが本当に好演していて、ほとんど笑顔を見せない役どころなんだけれど、ちょっと目の動きなんかで、ただただ厳しいだけではなく、1つの厳しさの中に、様々な感情を表現していて、さすが大女優の貫禄でした。W主演になってるけど、アン・ハサウェイはくわれちゃってたよね。

ミランダ、「悪魔」だけれど、悪魔でいるからには、彼女自身が一番苦労して、孤独を感じているはずで、それが一瞬だけ姿を見せるシーンはとても良かった!メリル・ストリープの女優魂炸裂でしたね。

あと、その悪魔的な厳しさが理不尽きわまりないものだったら、見ているこっちも不快になるんだろうけど、彼女は、きちんと結果を出せばそれを評価してくれる人物だし、その仕事の采配は上司として、一つの雑誌のトップとしては決して悪いものではないてのも良かったですね。

<ネタバレ感想>

映画のラスト、「人が何を求めてるかを越えて、自分のために決断できる人」というような点でアンドレアに向かって自分に似ていると行ったミランダ。その後、アンドレアは「この世界」で働くことが本来の自分の道とは違っていることに気づき、仕事を辞めますが、これって結局、ミランダの求めていることを越えて、彼女の期待と信頼を裏切って自分のために決断した未来ですよね。絶好のタイミングでミランダを裏切った彼女ですが、そのやり方はミランダ自身が認めた方法だったのではないでしょうか。だからこそ、最後、ミランダは彼女を最大の賛辞とともに送り出すことができたのだと思います。あと、自らは引き返すことができない境地までたどり着いてしまったミランダはアンドレアが羨ましい部分もあったんだろうなぁと。

ミランダとアンドレアの関係はドラマ「女王の教室」の主人公の少女と教師の関係にもちょっと似てましたよね。最後のミランダの笑顔でそれを確信しました。

<ネタバレ終了>

ファッション映画だから、登場人物たちのファッションが華やかなのは当たり前なんだけれど、この映画、5年後くらいには、皆のファッションが古臭く見えてしまうんだろうねぇ。仕方ないことだけど、淋しいですねぇ。逆にそんな栄枯盛衰の激しいファッション業界において、長年トップの座に君臨し続けるというのは本当に凄いことなんだろうなぁ。

そうそう、KT Tunstallの主題歌はオープニングテーマだったんですね!おかげさまでオープニングからノリノリでした。あと、中盤のパーティ会場でジャミロクワイが流れてたのも良いね~。この映画、U2も使ってるしUKよりの選曲がちらほらあって嬉しかったです。

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コメント

こんばんは。ご無沙汰してました。
こちらにこっそりお邪魔しながら、
最近全く本を読んでないのを反省しつつ、こっそり帰っておりました。

どうでもいいコメディじゃないことを祈りつつ観に行ったのですが、
思ったよりもずっといいお話に吃驚!
我が家のコメント欄は、わたしの要らぬお喋りをきっかけに、
女性たちの「ハイヒール」についての一言コメントコーナーになって、
こちらも予想以上の楽しさでした。

投稿: 悠雅 | 2007年6月18日 (月) 23時02分

>悠雅さん

TBとコメントどうもありがとうございます!

どうでもいいコメディなのではという不安、
実は自分も持ってましたが、
なかなか楽しめる作品だったと思います。
こういう作品にしては珍しくこてこてなコメディ場面が
ほとんどなかったのも意外でした。

最近は本のレビューもちょっと続いてましたが
映画レビューもマイペースに更新してますので
またよろしくお願いします☆

投稿: ANDRE | 2007年6月19日 (火) 00時20分

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それは、自分のための、自分の決断。 [続きを読む]

受信: 2007年6月18日 (月) 22時56分

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