「哲学事典」 クワイン
哲学事典 AからZの定義集 W・V・クワイン W・V・Quine ちくま学芸文庫 2007.4. |
いつものレビューとはちょっと趣向の異なる1冊です。
「哲学事典」って、こんなところで、事典のレビューかよ!と思った人もいるかもしれませんが、実はこの本、エッセイ集です。20世紀の知の巨人の1人と言っても過言ではないであろう哲学者クワイン氏が、様々なトピックについて思うことを、事典のような体裁でアルファベット順に項目を並べて掲載する1冊。
「心対身体」、「自由」のような哲学的話題から、「パラドックス」、「否定」などの論理学の話題、「自然数」、「無限」などの数学の話題、「音素」、「屈折」などの言語学的な話題(恐らくこれが一番充実)などなど本当に多岐に亘る分野に関して、書かれていて、それがまた、非常に読みやすいライトな切り口(それでいて、内容も深い)なので、この手の本は普段あまり読まないという人でも(例えば自分)、十分に楽しめる1冊だと思います。一部ちょっと訳が分かりにくいけど。
一般向きの本を非常に面白く書ける巨匠ってのは本当に偉大だと思います。
実際、自分は哲学系の話題は猛烈に疎いし、苦手なんですが、それでも楽しく読めたし。1つずつの項目が割と短めなので、連続で読むよりも、1日1項目みたいな感じでちょっとずつ楽しみたい1冊かなぁ。
ちなみに「ユニヴァーサル・ライブラリー」という項は、先日の平野氏の「滴り落ちる~」のレビューでも触れたバベルの図書館ネタですね。最近読んだ本の中でこういうリンクがあるとなかなか楽しいです。
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