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2007年7月21日 (土)

「くもの巣の小道」 イタロ・カルヴィーノ

くもの巣の小道―パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話

くもの巣の小道

イタロ・カルヴィーノ 

ちくま文庫 2006.12.

大好きな作家の1人であるカルヴィーノの処女作。発売日には購入していたんですが、パラパラと読んで、ちょっとこれまでのカルヴィーノ作品とは違う雰囲気を感じ、いつの間にやら積読状態になってました。

舞台は第2次大戦末期のイタリア。ドイツ軍が中部、北部を占領し、ムッソリーニによるファシズムの台頭に内乱が起っていた時代。少年ピンは大人たちの集まる場所をうろうろしながら楽しく過ごしていたが、ある日、とある事件をきっかけに投獄されてしまう。そこでで出会ったパルチザンのメンバーと共に脱獄したピンはその後、パルチザンたちと共に生活し始めるのだが・・・。という物語。

自分の知識が乏しく、そもそもパルチザンとは・・・という状態だったので、状況を把握するのに時間がかかってしまいました。要は主人公が国の体制に反対して戦うゲリラの仲間入りをするという感じですね。この物語のキーは、そのパルチザンのメンバーたちが、どこにでもいるような落ちこぼれの大人達で、決して第一線で華々しく闘っていたグループではないというところ。そして、戦いの物語なのに、寓話形式をとっているところ。

つまらなくなはないんだけど、個人的には苦手なタイプの作品です。カルヴィーノは本当に引き出しが多いなぁというのを改めて実感しました。

ゲリラとはいえ、末端にいるもの達は何のために闘っているのか。そもそもこの戦争において、どれだけ信条に基づいて人々が闘っているのかということを考えさせる内容は、カルヴィーノ自身がパルチザンにいたという実体験を考えると、非常に考えさせられると思います。そして、この実体験があるからこその第9章なのでしょう(これは読めば分かります)。

大人たちの世界は結局何だかよく分からない。酒場で騒ぐ男達も、パルチザンのメンバーもみんなみんなよく分からない大人たち。長い長い物語をかけて語られる厳しい現実を前に、このあとのピンがどのような大人になるのかがとても気になります。

情景描写とかも非常に上手いし読ませるんだけど、やっぱりこの作品はちょっと苦手だなぁ。マイベストカルヴィーノは「見えない都市」と「冬の夜ひとりの旅人が」かなぁ。

これが処女作なんですよねぇ。自分よりも若い青年がこれを書いた、ていうか、パルチザンの経験をしているということ自体に驚いてしまう平和ボケな自分でした。

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コメント

こんばんわ
この作品が一番好きというカルヴィーノファンは結構多いですよね。
わたしはこれも「見えない都市」もどちらも好きですが、同じ作家の作品だとは思えないほど開きがありますよね。
「冬の夜・・・」は一年以上積んでます。なんだかもったいなくて。

投稿: piaa | 2007年7月22日 (日) 00時57分

>piaaさん

コメントどうもありがとうございます。

この作品、自分は苦手だったんですが人気が高いようですね。

「冬の夜・・・」は僕は本当に本当に傑作だと思ってるので
是非是非読んでみてください。
カルヴィーノ、来月も文庫で新刊が出るんですよね。
最近結構良いペースで文庫化が進んでいて非常に嬉しいです。

投稿: ANDRE | 2007年7月22日 (日) 01時07分

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