映画「ゲド戦記」
ゲド戦記 2006年 日本 |
天下のスタジオジブリ最新作です。それなのに、劇場で見たという友人達の評価は本当に酷いし、DVDが出たというのに、レンタル店で30本くらい並んでるのに1本も貸し出されてないし。でも、先入観を持たずに素直に見ようと思って見てみました。
国王である父親を刺し逃亡した少年アレンは、ハイタカという1人の年老いた賢人と出会う。ハイタカとともに旅をすることになったアレンは、旅の途中、荒廃した町や腐敗した大都市ホートタウンを通過し、やがて、ハイタカの昔馴染みの女性テナーの家に身をよせ、2人はテナーと共に暮らす少女テルーと出会う。そこで、自然とともに生活を始めるアレン。ところがそんな彼らのもとに、魔法使い「クモ」の魔の手が伸びる・・・。自らの影に脅える少年の成長を描くファンタジー。あれ、ゲドは??
で、感想ですが。
もはや感想書くのも面倒なんですが・・・。1時間くらい見て、どんどん先まで見る意欲が下がるっていうかなんていうか。それでも最後は素晴らしい作品になるかもしれないと思って頑張って見たんだけど。ねぇ。
父親を殺すような場面から始まり、「七光りじゃないぞ!」的な監督吾郎氏の意欲が感じられはしたものの、ジブリ名場面集のような既視感に溢れた映像の数々、キャラクター造詣と、駿氏の影に縛り付けられた吾郎氏。そして、テンポの悪さ、説明不足の多さ、何がいいたいのかよく分からない場面の数々、1時間たっても何も進展しないストーリー、あまりに唐突に挿入される映像イメージばかりが先行して演出しすぎな場面の数々、そして、鳥瞰的な引きの絵の多さ、そもそもの絵の荒さと、先入観にとらわれないようにと思って見たのに、結局、マイナスイメージが強い作品でした。
本当にね、「あれ?何で?」みたいな場面が多いんだよね。説明不足にもほどがある。そして、たとえ説明不足であっても後のフォローがしっかりすればいいのに、それさえおぼつかないから、意味不明なまま終わっちゃうんだよね。しかもそれが、割と物語のキーになるような場面だったりするからねぇ。
特に、「死」がある意味でテーマになってるにも関わらず、あまりに簡単に「死」を描いているように感じたのが残念。特に意味ありげでほとんど言及されない冒頭と勧善懲悪を装ったラスト。
ジブリ作品でも高畑氏の作品は画風も作風も宮崎氏とは違う。「耳をすませば」だって、その作品だけの良さがある。吾郎氏ももっと、自分の作風を模索すればよかったのになぁと。ジブリブランドに捕らわれすぎてるような感じだよね。宮崎氏だって、「カリオストロ」に至るまで、何年も経験を積んでるわけだし、そんな宮崎作品の模倣の中に自分の色を出すのではなくて、ゼロから新しい何かを作ったほうがジブリに新しい風を吹かせることができたんじゃないかなぁと。ちょっと暗い影のある世界観は吾郎氏のオリジナルなんだから、それを既存のジブリの枠にとらわれずに表現して欲しかったですね。
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コメント
ラスト、「千と~」だったでしょ!
投稿: とも | 2007年8月24日 (金) 00時34分
ていうか、え?そうだったんだ?
って思っちゃいました。
噂に違わぬすごい作品だったよー。
投稿: ANDRE | 2007年8月25日 (土) 00時06分