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2007年8月13日 (月)

映画「イカとクジラ」

イカとクジラ

the squid and the whale

2005年

アメリカ

ひっそりと公開されてた作品ですが、これも劇場公開時から気になっていた1本。低予算な感じのいかにもミニシアターな雰囲気の作品ですが、うーん、内容もなんだか感想かきづらい感じだぞ。

1986年のNYを舞台に、大学で講師をする売れない純文学作家の父、注目の新人作家として脚光を浴びる母、そして16歳のウォルトと12歳のフランクの4人家族を描く物語。ある日、母の不倫を理由に両親が離婚。子供2人は共同監護ということで、父と母それぞれの家を行ったり来たりすることとなった。両親の離婚による子供たちのショックは大きく、次男フランクは、アルコールに溺れて、やがて、学校で事件を起こしてしまう。一方で思春期まっさかりの長男のウォルトもまた、様々な悩みを抱え悶々とした日々を送る。バラバラになっていく家族に待ち受けるものは・・・。文学・映画・ロックをこよなく愛し、「低俗」を嫌うインテリ文系一家の崩壊を描く。

出てる役者たちがそれぞれにかなりはまっていて、引き込まれてしまう作品ではあるんだけれど、描こうとしていることも、脚本も決して悪くないんだけど、でも、なんだかとても痛くて切ないんだよね。

ところで、これを「コメディ」に分類しているTSU○AYAさん。どのくらい本気ですか?ブラックすぎだよ。

この作品、とにかく次男がヤバイね。ショックをあんな形で表現するとは!!あの歳にして、変態道まっしぐらですか!?こんな役を子供にやらせるのは親もつらいだろうなぁと思ったらさ、この子、ケビン・クラインの息子なんですね。なんだか納得しちゃいました。

一方の長男ウォルト。彼、表向きこそは、今回の事件でのショックは小さくて、どちらかというと、思春期特有の悩みで悶々としている雰囲気ではあるんだけど、逆に弟と違って、両親の離婚もろもろのショックを外に出せていないだけに、彼の心の中の葛藤が切ないよね。そして、思い出の場面に垣間見える彼の深層心理がまた・・・。

そして、父と母。父はさ、昔のプライドに凄いしがみついてて、それが痛々しい。そして、母だって、どこかに、いつも淋しさのようなものが漂ってる雰囲気。この家族、最初からみんなバラバラなんだけど、それがどんどんバラバラになっていく様は圧巻。欠点だらけなのが人間的で良いともとれるけど、なんか1つ1つがブッラクすぎる気が・・・。

みんなの気持ちは痛いほどに伝わってくるんだけど、自分が結婚してないからか、こういうときにやっぱり子供目線でしか見られないんだよね。長男も次男もそのヒリヒリした感じが痛いほどに分かる。両親の抱える悩みだって分からないわけではないけれど、それでもやっぱり、この両親はなしだろ!って思ってしまう自分。自分に子供ができて、親の目線になったときに観たら、また違う感想があるのかもなぁなんて思いました。

この映画のタイトルの意味が分かるラストシーン、ウォルトの成長が分かると同時に、この「イカとクジラ」のチープさ、下らなさが、この家族をそのまま表現してるように思えました。

結局、映画とか文学とかロックとかを我が物顔で語ってるような人間は、自分が高尚だと思ってるけどさ、実際、自分はそんなに偉いのか?って感じだよね。まぁ、でもこの映画そのものが割りとそういうタイプの人に受けそうな作品なのが皮肉的で面白い。そして、僕、今、完全に自分を棚に上げて書いてるね。

あと、何気にサントラが良いね。今からすればややレトロなロックが心地よい。普通にサントラ欲しい。

そうそう、アンナ・パキンが出てましたね。大人になったねー。久々に見ました。

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