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2007年8月29日 (水)

映画「大奥」

大奥 スタンダード・エディション

大奥

2006年

日本

テレビシリーズを全部見ているので、映画版を見ないわけにはいきません。

時は江戸、7代将軍家継の時代。まだ幼い将軍に代わり、後見人である間部詮房(及川光博)が実権を握り、老中達との対立が見え隠れしていた。大奥では、先代将軍の側室だった月光院(井川遥)が現将軍の生母となったことにより、先代正室の天英院(高島礼子)や同じく側室であった連浄院(松下由樹)は、年寄の滝川(浅野ゆう子)らとともに、月光院を快く思わずにいた。そんな中、大奥総取締であるまだ若い絵島(仲間由紀恵)は月光院を守りつつ、その聡明さから厚い信頼を集めていた。

そんな折、天英院らは、月光院と間部が密通しているという噂を耳にし、これを利用し、自らの勢力を挽回すべく、絵島の失脚を企てる。同じ頃、絵島は役者の生島(西島秀俊)と出会い、その姿に心を奪われていく。大奥最大のスキャンダルとして有名な絵島生島事件を題材に描かれる大奥の女の戦いと悲恋の物語。

うーん、テレビドラマ版のほうが面白かったなぁ。さらにいえば、ドラマ版でも絵島生島事件を脚色したエピソードがあったよね。そして、そっちのほうが面白かった。今回の映画のほうが史実には近いんだろうけど、いまいちぱっとしない印象です。

それでも、豪華絢爛な衣装や、脇役までを実力のある役者さんたちで固めた豪華な配役は見ごたえがありました。うーん、もったいない。

TV版は、CMが途中で入るということも関係しているんだと思いますが、とにかく10分に1回くらいは山場が訪れる超ジェットコースタードラマなんですよね。派手な音楽と、派手なストーリー展開でひたすらにドロドロ人間劇を盛り上げるのがドラマ「大奥」の面白さだったと思います。

ところが、映画になってしまうと、特にCMが入るわけでもないし、複数回に分かれるわけでもないので、2時間じっくりと1つのエピソードを描ける。そうなると、脚本も一緒になって冗長になってしまって、TV版のテンポの良さがなくなってしまっている印象でした。

キャスティングは、TVシリーズのメインキャストのいびり役経験者の女優さんたちを、こぞってイジメ役に回してそれはそれは見ごたえはありましたが、全体が濃くなりすぎて、1人ずつの個性が逆に薄くなってしまったのが残念でしたね。お子様ランチでよくばりすぎちゃった感じです。

物語としては、まぁ、悲恋なんですが、大奥ということだけあって、ちゃっかり男のほうが損してる気がします。あと、将軍はどんなに幼くても将軍なんですね。子供をてなづけたもん勝ちって感じですねぇ・・・。

江戸時代の映像としては美しい映像も多いので、海外の人が見たらそういう意味では楽しめる作品かもね。その点、巨費を投じて映画化した甲斐はあるかもしれません。でもやっぱり、このキャスティングと内容をTVドラマでやってほしかったなぁというのが本音かなぁ。このドロドロ人間関係はもっと時間をかけて描ける題材でしょ。

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