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2007年8月16日 (木)

「森のなかのママ」井上荒野

森のなかのママ (集英社文庫 (い59-1))

森のなかのママ

井上荒野

集英社文庫 2007.5.

この作者のことは今まで知らなかったんですが、解説が長嶋有だったので、ちょっと興味をひかれて買ってみました。その割りに、ずっと積読だったんですが・・・。

主人公いずみは女子大生。有名な画家だった父が5年前に亡くなり、父の美術館兼自宅でママと暮らしている。いずみは離れに間借りしている熟年男の伏見(別居の妻子あり)に恋をしているが、伏見が好きなのはママのほう。家にはママを慕う男達が出入りし、賑やかな日々を過ごしているのだが、ある日、TVで父のドキュメンタリーを放送することになり、それが、一家に波紋を起こす。主人公の日々を淡々とみずみずしい文体で描く作品。

特に物語が面白いわけでもなくて、目新しい何かがわるわけでもないんだけど、なんだかついつい先まで読みたくなってしまう1冊でした。非常に読みやすい文体と親しみやすいキャラクター設定のおかげなんだろうけど、それだけではない「何か」が感じられる作品。でも、だからと言って、すごい面白かったかといわれれば、そんなでもない不思議な作品でした。

この作品には色々な男達が登場するんですが、個人的には主人公とつかず離れずな微妙な関係の照次郎君がかなり好きなキャラ。こういう奴っているよね。

大学生の主人公が、ママの様々な一面と向き合っていくことで、成長していくのがすがすがしいですねー。自分の親としてではなく、1人の女性としての母親に気づいていくんですが、こういう母親は、自由に何でもさせてくれるだろうけど、やっぱり家族としては付き合いづらいだろうなぁと。その点、この主人公は、どこか達観したところがあって、包容力があるよね。

TVドラマとか映画とか、舞台とかにすると、なかなか映えるんじゃないかなぁと思わせる作品だったんだけど、それはやっぱり、1人1人の登場人物のキャラクターの描きかた上手いからなんだろうね。

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