映画「トリスタンとイゾルデ」
Tristan + Isolde 2006年 アメリカ・イギリス・ドイツ・チェコ |
ケルトの伝説が基になっていて、その後、ヨーロッパ各地に伝わった悲恋の定番を映画化した作品。製作にリドリー・スコットも関わっていて、公開時から気になっていたのに、あまりぱっとしない印象のまま公開が終了してましたね・・・。
舞台はローマ帝国衰退後、アイルランドの支配下にあったブリテン島。アイルランドに対抗しようと、複数の部族が同盟を組もうとしていたのだが、その場を襲撃されてしまう。そのとき、孤児となってしまったトリスタンは父の友人であったコーン・ウォール地方を治めるマークに拾われ、やがて、立派な青年に成長する。あるとき、コーン・ウォールを狙うアイルランドの武将に攻めいられ戦いになるが、トリスタンの活躍で無事勝利をおさめる。しかし、その際、敵の剣に塗られた毒によりトリスタンは倒れ、葬船にのせられ海に流されることに。やがてトリスタンをのせた小船はアイルランドの海岸に流れ着き、アイルランド王の娘、イゾルデは海岸に倒れていた彼を介抱するのだが・・・。という物語。
『ロミオとジュリエット』の原型などとして宣伝されてますが、そんな固有名詞を出さずとも、有名な物語だと思うんですけどね・・・。この映画、一般的に知られた物語からはかなり大胆なアレンジを加えてはいるものの、映画としてはなかなか面白い作品でした。
やたらと『ロミジュリ』を出してくるから、アイルランドとブリテンとの間の許されぬ恋なのかと思いきや、いえいえ、もっと近場の(?)許されぬ恋の物語で、非常に切なかったですねー。それもこれも、全ては「理想の上司」No.1的なマーク王の素晴らしさに尽きるわけですよ!!
トリスタンを演じるのは、『スパイダーマン』シリーズの友人役でおなじみのジェームズ・フランコ。憂いを感じさせる瞳と、鍛えられた肉体が印象的でしたが、演技面はもう一歩感が・・・。イゾルデは『サンダーバード』のキュートなペネロペさんだったソフィア・マイルズ。彼女も雰囲気はあるんだけど、何かもう1つ足りない感じ。で、主演2人の物足りなさを全てカバーしてこの映画を引っ張っていたのはなんといっても、マーク王を演じたルーファス・シーウェル。もうね、この人がとにかく良い!このキャラあってのこの作品ですよ。
マーク王、どんだけ良い人なんだ!って話ですよ。そりゃ、トリスタンも忠誠誓っちゃうよね。イゾルデも微妙な感じになっちゃうよね。彼があまりに素晴らしすぎる人物だったがために、なんだか途中から、主役2人がちょっと悪く見えはじめちゃいましたよ。これだけの人格者だったからこそ、トリスタンとイゾルデの葛藤も生まれるわけで、やはり、マークというキャラ&ルーファスさんの名演技が素晴らしかったと思うわけです。
ちなみに印象に残るといえば、少年時代のトリスタンを演じたトーマス・サングスター君。彼、なんといっても『ラブアクチュアリー』なんだけど、良い子役だよね。『ナニー・マクフィー』もよかったし。今後の成長が楽しみな英国俳優です。
そんなわけで、主演2人がぱっとしない印象ではあったんですが、この映画、割と複雑なアイルランドとブリテン島との関係をかなり分かりやすく見せていて、歴史物ながらに前提知識がなくても入っていきやすい非常に分かりやすい作品だったのが良かったなぁと思います。あとは、景色の美しさ!結婚式場面など映像が美しい場面も多くて、全体的にちょっと暗い映像ではあるものの、見ごたえはありましたね。
うん、これ良い映画だよー。主演のインパクトがなかったから売れなかったのかなぁ。もっと広くみられても良いと思うんだけどね。
あ、1つどうしても納得いかないのは、字幕に「イギリス」って言葉を使ってたこと。これってさ、例えば、日本の時代劇の英語字幕に「Tokyo」って出てくるようなものだと思うんだよね。それはやっぱり良くないよー。
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