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2007年9月 6日 (木)

「グランド・フィナーレ」阿部和重

グランド・フィナーレ (講談社文庫)

グランド・フィナーレ

阿部和重

講談社庫 2007.7.

阿部氏の芥川賞受賞作です。以前読んだ「ニッポニアニッポン」が結構面白かったのですが、この作品は扱ってるテーマがテーマなだけに果たしてどんなものかと思いながら読んでみました。

そんなわけで、他の作品も収録されてるんですが、とりあえず表題作レビュー。

主人公は自らの性癖を妻に知られ、離婚され、勤めていた教育教材用のビデオ製作の会社も辞め、実家に戻ってきた小児性愛者の男。離婚原因が原因なだけに、離婚後、愛する娘に会うこともできず、淋しい日々を過ごしていたが、あるとき、彼は地元で思いがけない仕事を頼まれて・・・。という物語。物語は前半と後半に分かれていて、前半は物語の設定紹介といった感じで、後半は主人公の現在の生活がメインで描かれる。

うーん、なんか難しい作品だね。色々と。

うーん、何かさ、この主人公がつかみ所のない男なんだよね。なんでそんなに上から目線?なんでそんなに淡々と過ごしてるの?といった感じです。かなり引いてしまう主人公設定ですが、「ニッポニアニッポン」と言い、こういうはみ出し者を書くのが上手いですね。

主人公のとりとめのなさは、彼が常になんとなく生きてるからなんだろうなぁと。だから割と流されやすいし、かと思えば、自分の世界を守ってるし。常になにもかもが「なんとなく」なのではないかと。妙な冷静さも、自主性のなさというか、そういう「なんとなくさ」が引き起こしてるんだろうね。そう思うと、ラストの展開も自分的には納得。でもそう解釈すると、彼は一生「なんとなく」で終えてしまうんだろうなって感じになっちゃいますね。

現代日本、こういう「なんとなく」は割りと多い気がしますよ。

そうそう、ひっそりと「ニッポニアニッポン」とリンクしてたのが良かった!「神町」を舞台にしたというシリーズの長編「シンセミア」、買ってはいるもののまだ読めてないので、今度読んでみようかな。

ちなみに同時収録作もなかなか面白い作品でしたよ。好きか嫌いか置いておいて、興味深い感じ。

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